どんなに遠くても食べに行きたい「贅沢すぎる牛丼」って?牧場でいただく希少な肉グルメ【えりも町】
北海道・えりも町の高橋牧場では、「幻の和牛」と呼ばれる短角牛を一貫生産しています。国内和牛流通において年間1%ほどのシェアしかない希少な牛で、脂肪分が少なく、良質の赤身肉が味わえます。2代目牧場主である高橋祐之さんに話を伺いました。
北海道と東北の一部で育てられる希少種「短角牛」
高橋牧場は、風速10m以上の風が吹くえりも岬の高台にあります。ミネラルを含んだ潮風が栄養たっぷりの牧草を育て、短角牛(正式名称:日本短角種)はそれを食べて育ちます。
起伏に富んだ大地はストレスを感じさせない運動場。出荷前の数カ月は牧草で作ったサイレージや乾草、厳選した餌料を与え、安全で美味しい肉に仕上げています。
短角牛は、旧南部藩領で運搬に使われていた南部牛にアメリカから輸入したショートホーン種などを交雑したのが祖とされています。現在は北海道と東北の一部で飼育・生産されています。
短角牛とともに歩む「高橋牧場」の歴史
「祖父が襟裳岬の東側東洋地区でコンブ漁を始め、父の代で漁業との兼業で短角牛の飼育を始めたのが高橋牧場のはじまりです。仔牛を出荷すれば出稼ぎにいかなくてもよく、厳しかった生活を支えてくれました」
一時は町内各地で短角牛の飼育が行われていました。しかし、1991(平成3)年に牛肉輸入自由化が始まると、畜産を断念したり、黒毛和牛飼育へ転換したりする牧場が増え、今では高橋牧場が唯一となりました。
「先代に対する敬意や、短角牛への愛着、意地などもありますが、何よりも多くの人に短角牛のおいしさを知ってほしいとの想いから飼育を続けています」と高橋さん。
2001(平成13)年に発生したBSE(牛海綿状脳症)問題では大きな打撃を受けましたが、仔牛生産から飼育までの一貫生産であることや、厳選した餌を与えていたことなどが消費者に安心を与え、逆風のなかにありながらも短角牛ファンを増やしていきました。
短角牛の販売のほか「雄大な景色を見ながら料理を味わいたい」というニーズを受けて、2002(平成14)年に「ファームレストラン守人(まぶりっと)」をオープン。翌年には敷地内に「焼肉ハウス短々」も開店しました。ゆっくりとくつろぎたい方に向けて「ファームイン」も開設。
あたりに明かりがなく、天気がいい夜は満天の星空が広がります。
短角牛のおいしさが詰め込まれた「短角よくばり牛丼」
「ファームレストラン守人」のメニューには、すべて短角牛を使用。ステーキやハンバーグなどどれを食べようか迷ってしまいます。そのなかから『短角よくばり牛丼セット』を選びました。甘辛ダレで味付けしたたまねぎと、タン・サガリ・カルビの3種の焼肉をのせたオリジナルです。
シンプルな味付けが短角牛の旨味を引き出し、とても美味。高橋牧場の短角牛は肥育数260頭、年間出荷数は80頭と少なく、この一杯を味わうために訪れても損はありません。
ちなみに短角牛は角が短いわけではなく、交配種である“ショートホーン”=“短角”から命名されているそうです。
「ファームレストラン守人」では、肉の販売も行っています。ここで直接購入する場合、足を運んでくれたお礼として最大10%オフ。その場で発送もできるので、もっといろいろな肉を食べたい方や、誰かとおいしさを分かち合いたい方は購入してみてください。
短角牛の脂肪は黒毛和牛の3分の1程度。タンパク質となるアミノ酸も豊富で、体の恒常性を保つために重要な働きを助けるタウリン、体の酸化を防ぐカルノシン、コレステロールを減らす作用があるオレイン酸が多く含まれており、美味しくて体に優しい食材です。
通販も行っているので、一度食べたら二度、三度と食べたくなる短角牛を味わってください。
<施設情報>
■短角王国えりも 高橋牧場
■住所:北海道幌泉郡えりも町えりも岬406-1
■電話番号:01466-3-1129
⇒営業時間など詳細はこちら
【画像】高橋牧場
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