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炭酸水でロケットを応援!? 新しい産業によるまちづくりへの挑戦【サツドラホールディングス株式会社・富山浩樹社長インタビュー】

北海道の未来を伝える連載「HOKKAIDO2040」。2040年には100兆円の市場規模になるといわれている宇宙産業。これまで『北海道Likers』でも取り上げてきたように、北海道では大樹町を中心に宇宙産業が盛り上がりをみせています。本連載では、北海道の宇宙産業の発展をリードする方々にインタビューを行い、宇宙産業を通して変化する未来、2040年の北海道の姿をお届けします。

今回は、「サツドラホールディングス株式会社」(以下、サツドラ)の富山社長にお話を伺いました。

富山浩樹(とみやま・ひろき)。1976年札幌生まれ。札幌の大学を卒業後、日用品卸商社に入社し福島や東京で勤務。2007年「株式会社サッポロドラッグストアー」に入社。営業本部長の傍ら2013年に「株式会社リージョナルマーケティング」を設立し、北海道共通ポイントカード『EZOCA』の事業をスタートする。
2015年5月に代表取締役社長に就任。2016年より新ブランド『サツドラ』の推進をスタートする。同年8月には「サツドラホールディングス株式会社」を設立し代表取締役社長に就任。その他、「AWL株式会社」、 「株式会社コンサドーレ」、「バリュエンスホールディングス株式会社」、「株式会社出前館」にて社外取締役を務め、「QUALITY HOKKAIDO一般社団法人」では代表理事、「EO Hokkaido」では副会長を務める。
また、2020年6月より北海道経済コミュニティ「えぞ財団」を立ち上げて活動中。

※取材はマスク着用のうえ十分な距離を確保したうえで実施しております。
※記事中の役職名は取材当時のもの

サツドラ×宇宙!? 大樹町から取り組むまちづくりとは

北海道Likersライター遠藤 嵩大@ISC(以下、遠藤):北海道における宇宙ビジネスのポテンシャルについてどのように考えていますか?

富山社長:新しい産業が生まれてまちづくりが進むことに期待しています。既存産業のようなしがらみや慣習がない、ゼロベースの新しい産業を中心として、北海道がデジタルを活用した新しいまちづくりに挑戦できる場所になるといいなと思っています。

大樹町は宇宙産業を中心にまちづくりに取り組んでいますが、こうした取り組みに感化されて北海道全体に波及していくことを期待していますし、一緒に取り組みたいと思っています。

北海道Likersライター遠藤:大樹町が力を入れている宇宙のまちづくりが、北海道全体に広がっていくことを期待されているのですね。

富山社長:そうですね。まちづくりなど官民連携の取り組みでは事例がとても重要です。モデルケースがあって初めて意思決定ができる自治体がほとんどで、「ほかにどこもやったことが無いから」という理由で新しい取り組みを断られることは多いです。いかにファーストペンギンをつくるかということがとても重要なのですが、大樹町はその役割を担っていると感じています。

ポイントカードに炭酸水も!サツドラならではの取り組み

北海道Likersライター遠藤:自治体との連携も多いサツドラさんならではの視点ですね。大樹町では“宇宙版シリコンバレー構想”を掲げています。構想の実現によってまちづくりの事例をつくるために、どのように関わっていきますか?

富山社長:宇宙産業に直接関わる「インターステラテクノロジズ株式会社(以下、IST)」さんや宇宙関連企業さんだけでなく、いろいろな角度から意思を持って障壁を突破していくことが大事だと考えています。サツドラも宇宙版シリコンバレー構想の実現を後押しできる存在となるため、サツドラを起点に北海道の企業を巻き込んでいきたいです。「IST」さんをはじめ、ほかの企業さんと私たちのリソースや提供している場を掛け合わせることで、コラボレーションを生み出せるかもしれません。

EZOCA

共通ポイントカード『EZOCA』は会員200万人に使われている 出典: サツドラホールディングス株式会社

全道各地のサツドラ店舗を利用すれば、宇宙産業に対する一般の方の認知拡大に貢献することができると考えています。例えば、『サツドラ超炭酸水』のロケットファンディング*をやっていますし、共通ポイントカード『EZOCA』も200万人以上の会員に使っていただいているので、認知拡大のために活用できるかもしれません。

*超炭酸水のロケットファンディング・・・サツドラ店舗で売上No.1の商品でもある『サツドラ超炭酸水』各種商品1本の売上につき1円を、「IST」のロケット事業(観測ロケットMOMOの開発・製造)に還元する取り組み

北海道Likersライター遠藤:ロケットファンディングはとても面白い取り組みだと思います! ほかの領域での取り組みはお考えですか?

富山社長:例えば「AWL(アウル)株式会社」*という画像解析やAI技術を得意とする企業とは、衛星画像の解析で取り組めることがあると考えています。画像解析技術を活用して、第一次産業をはじめほかの産業との協業を考えていく場合に、すでにサツドラとして行っているさまざまな産業とのプロジェクトの中に、宇宙の要素を加えていくことで関わっていけるのではないかと感じています。

*AWL株式会社・・・北海道大学発ベンチャー認定企業で、元サツドラのグループ会社

今の取り組みが花開く2040年へ

北海道Likersライター遠藤:さまざまなかたちでの取り組みを考えられていることがわかりました。今回の取材テーマは“2040年の北海道”です。2040年には北海道がどのような地域になっているとお考えですか。

富山社長:2040年ってわからないですよね(笑)

現在、デジタル地域通貨をつくるためのプロジェクトを「QUALITY HOKKAIDO一般社団法人」という団体で行っており、その活動が花開いていればいいなと思っています。この団体では「北海道の産業と暮らしの質を、地球最先端へ。」をコンセプトに掲げてさまざまな取り組みをしており、デジタル地域通貨がそのなかのひとつです。将来的にデジタル地域通貨を発行し流通させ、そこにさまざまな機能をつけていくことを構想しています。

デジタル通貨は機能を付けることができるのが特徴ですが、なかでも教育の分野に一番力を入れたいと思っています。デジタル地域通貨の流通によって教育にファンディングされれば、最先端の教育を所得の差に関係なく誰もが受けることができる状態ができて、北海道に還元されるようになります。こうした取り組みが花開き、宇宙の活用も含めた新しい教育を受けた世代が出てくるのが、2040年くらいなのかもしれません。

北海道Likersライター遠藤:デジタル地域通貨と教育が関連することに驚きました。この取り組みによって北海道を地球最先端の地域に変えていく人材が生まれ、2040年の北海道でたくさん活躍していてほしいですね。本日はありがとうございました!

連載「HOKKAIDO 2040」では、”2040年の世界に開かれた北海道(HOKKAIDO)”をテーマとして、大樹町を中心に盛り上がりを見せている宇宙産業関係者へインタビュー。宇宙利用によって変わる北海道の未来を広く発信します。連載記事一覧はこちらから。

【参考】超炭酸水×MOMO応援プロジェクト/satudora×IST‐PJ
エゾカ・サービス/株式会社サッポロドラッグストアー
QUALITY HOKKAIDO/QUALITY HOKKAIDO一般社団法人

【画像】サツドラホールディングス株式会社