信念を貫いて35年。全国からレビュー2,000件が集まる小さなパン屋さん(旭川市末広)
旭川市末広に、大きな王冠のような形の『鍋パン』が名物のパン屋さんがあります。その名は「王様のパン」。
砂糖、卵、油、添加物はもちろん、添加物に分類されないエキスや調味料などを一切使用せず、パンを作っています。
開業35年。お店のオープンに至った理由と魅力に迫ります。
「王様のパン」の原点
卵がパンパンに詰まったサンドイッチに鮮やかな断面が食欲をそそる『鍋パン』。35年にわたって人々に愛されるパンを作るのは、「王様のパン」オーナー・竹原フジ子さんです。
パン作りは、アトピー気味のお子さんのためにはじめました。そのため、竹原さんのパンには、砂糖、卵、油、添加物、そのほか添加物に分類されないエキスや調味料などを一切使用していません。
「子どものために食材を吟味しながらパンを作りはじめました。はじめは自宅でひと月に25キログラムもの粉を使いパンを焼いていましたね。友達や知人にプレゼントしていたのですが、売ってほしいという要望をいただくようになりました」
それからは、お子さんの同級生のお母さんに手伝ってもらいながら、イベント会場で販売することに。
レビューは2,000件以上!インターネット販売で全国へ
イベントでの販売のみだったにもかかわらず、そのおいしさは口コミで広がり人気が高まっていきました。しかし、それでも売れ残る日も。そこで考えたのがインターネットでの販売です。価格はお客さんに決めてもらい、販売をはじめたのだとか。
すると、天然酵母にこだわる人、持病があり食べ物の制限をしている人、アレルギーのある人など、想像より多くの人の声が集まりました。パンの人気は全国へと広まり、食べた方のレビューはすでに2,000件以上!
「レビューをいただくのはとても励みになりますね。また、購入してくださった方もレビューを書くことが、“食に関する自分の想い”に向き合い、アウトプットするきっかけになっているようです」と竹原さん。
ニーズに応えながら、自分の大切にしていることは崩さない
旭川市末広にある「王様のパン」は、建物1階が店舗で2階が竹原さんのお住まいになっています。店舗兼自宅にしているのはパン作りへの想いの強さから。
「パンありき。パンの奴隷ですね。パンを作るには下準備、計測、片付けなども含めて作る時間と販売とで時間がかかります。自宅でやらなければ難しい。パンのことが気になり休みの日も働くことがほとんど。子どもの小さなころは学校行事にもなかなか参加できずにいました」
それでも竹原さんは自分流を大切にしています。季節の旬の素材を使うこと。パンによっては、道産小麦や平飼いの有精卵、自家製の果物や野菜を使うことも。
「いつもの定番のパンのほかにも、“今日はこんなパンもあるんだ!”と思うとお客さんが楽しくなるでしょう。時折新しい商品を作り、ニーズに応えながらも、自分の大切にしていることは崩さないようにと思っています」
新しいのはパンだけではなく、お店の内装にも! DIYがお好きとのことで、お店のなかにも自ら手をかけます。
レジ前にある図書カードの棚には、お客さんのポイントカードが名前順に収納されています。お客さんは会計の際、自分のカードを引き出しから出しスタンプを押してもらいます。筆者もカードを作ってきました。なんだかとてもうれしい気持ちになりました。
地元の旬のものを食べてほしい
「時代と共に“安いから、お得だから、量が多いから”という理由でパンを選ぶ人が増えている気がします。そういう方向でお店作りをすると、そういうお客さんが集まる気がしますね」
全粒粉100%の「王様のパン」を食べて「こんなに食べやすいとは思いもしなかった」と驚くお客さんは多いそう。本当に体にいい食べ物とはなにか。「王様のパン」は、食について考えるきっかけも提供しているのです。
竹原さんは「食べ物の旬がわからない人が多くなって、旬に対する意識が低くなっていると感じますね。長生きするには、旬のもの、暮らしている土地のものを食べることが大切だと思っています」と食に対する想いを聞かせてくれました。
同店のパンはオンラインショップでも購入できます。お店の素敵な雰囲気は「王様のパン」の公式サイトからも感じ取れるでしょう。あなたも一度、自然食のパン屋さんの味を試してみては。
<店舗情報>
■店舗名:王様のパン
■住所:北海道旭川市末広2条3丁目3-19
■電話番号:0166-54-8080
■営業時間:9時〜18時
■定休日:日曜・月曜・火曜・祝祭日
■駐車場:あり
■公式ホームページ:https://osamapan.com/