中村屋

老舗の歴史と温かみに心底癒される。十勝のカフェオーナーが愛してやまない温泉宿(上士幌町南区)

十勝には多数の良質な温泉が点在しています。そのうちのひとつ「ぬかびら温泉郷」では、雄大な自然の風景と厳選かけ流しの湯を楽しめる温泉地で、多くの人が訪れます。

ぬかびら温泉郷にある「糠平温泉 中村屋」さんは、ノスタルジックな空間と心温まるおもてなしが評判の宿。心も体もほぐれる温泉に、火鉢で仕上げるおやつ、そして自分のために欲しくなるお土産の数々など、たくさんの魅力があるんです。

今回は、カフェオーナーでもあり、ぬかびら温泉郷を愛してやまない筆者が「糠平温泉 中村屋(以下、中村屋)」さんをご紹介します。

秘境の地、ぬかびら源泉郷

ぬかびら源泉郷へは、車かバスでのアクセスが便利ですが、観光名所としても有名な「タウシュベツ橋梁」をはじめとする、旧国鉄士幌線時代に使われていたアーチ橋や大自然を満喫するなら断然車でのおでかけがおすすめです。帯広市内からは1時間30分ほどの距離で、ちょうどよいドライブコースですよ。

途中で士幌町や上士幌町を抜けるため、それぞれの道の駅に寄るのも楽しいです。上士幌町の町を抜けてながーいまっすぐな道を進むとだんだんと道が坂になり始め、大きなカーブが続く道へと変わっていきます。

途中で「ぬかびら源泉郷」の看板が見えてきたらもうすぐです。いくつかトンネルを抜ける途中、どの携帯電話会社の端末も一旦圏外になります。このあたりで、外界とぬかびら源泉郷が分けられているように感じ、毎回圏外になったスマホを見て特別な場所に来たんだと実感します。

ゆるりとした時間が流れる「糠平温泉 中村屋」

ようやく、「中村屋」さんに到着しました。駐車場に車を停めて大きなのれんをぐぐると「中村屋」さんワールド全開の館内が広がります。

馬そりを使ったスリッパ棚、アンティークな家具達にさりげなく飾られた温かみとセンスの光る小物たち。一気に気分が高揚します。

レトロな調度品の数々には、「中村屋」さんの前身となる昭和6年創業の「富士見館」時代のものもあるそう。

中村屋

案内板の下に敷かれたテーブルランナーは鹿革でつくられたもの。細かいインテリアにセンスが光ります 出典: 北海道Likers

エントランスを入って右側にカウンターがあり、ここで受付をします。日帰り入浴は大人ひとり600円。ショップのみの利用の場合は、スタッフの方に伝えると無料で入館できます。

客室や温泉へと続く廊下。心くすぐる小物や糠平の光景を切り取った素敵な写真がずらりと並んでいるので、ついつい足を止めて見入ってしまいます。

「中村屋」自慢!源泉かけ流し温泉へ

いよいよ楽しみにしていた温泉タイム! 優しい明りが灯され、「中村屋」さんの作り出す空気に少しずつ引き込まれていきます。

浴場の入口には温かみのある手作りののれんがかかっています。男風呂と女風呂は時間で入れ替わります。

中村屋

※お昼前の清掃の時間に撮影しました 出典: 北海道Likers

のれんをくぐって一歩入ると、そこは天井から棚から床まですべて木でできた温もりあふれる脱衣所。一気に肩の力が抜ける感じがします。この空間は「中村屋」さんの皆さんがご家族でせっせと大工仕事をしてできあがった賜物です。

平成19年に「源泉かけ流し宣言」をして以来、糠平温泉にある宿のお風呂はどこも源泉かけ流し。温泉は空気に触れた瞬間から劣化が始まるそうで、「温泉そのものの恩恵を授かるならば100%湧き出したままの新鮮な温泉が何よりも良い」という考えから源泉かけ流しにこだわっています。

「中村屋」では、大きすぎず小さすぎず”ちょうどいい”サイズの浴槽に、適した量の温泉が毎日湧き出しています。泉質は「塩化物・炭酸水素塩温泉」で無色透明、無味無臭。昔から皮膚や美肌に効果があるといわれているそうです。

混浴の外湯もあります。照明を全部消せるボタンがあるので、明かりを消してしばし経つと夜空いっぱいに広がる無数の星を見ることができます。

隣接している小さな木造小屋は野外サウナ。露天風呂を貸し切りにしたときにだけ使用することができる特別なサウナで、熱された石に水をかけて温度や湿度を調整するフィンランド式のロウリュと呼ばれるスタイルになっています。

ずらりと並ぶこだわりのおやつを楽しんで

お風呂あがりには、ほてった体を休ませながらロビーでゆったりくつろぎましょう。ロビーでは、「中村屋」さん自慢のこだわりおやつが楽しめます。

中村屋

筆者が一番好きな席。囲炉裏とサイドテーブルとソファの座り心地がベストマッチ 出典: 北海道Likers

火鉢を使ってあぶって食べるポテチや、スコーン、おやきなど、ひとつひとつ「中村屋」さんが選りすぐった食材で作っています。

『十勝しんむら牧場の牛乳』や『はちみつジンジャー』などの有料ドリンク以外に、無料のそば茶なども用意されているので、湯上りのほっと一息にぴったり。

「おみやげのまるみ」でお気に入りを見つけて

館内ショップ「おみやげのまるみ」のコンセプトは「中村屋」さんで過ごした時間や体験を買って帰ること。温泉まんじゅうやキーホルダーなどは売っておらず、「中村屋」さんの中で実際に使用しているものばかりが並んでいます。

社長である中村健次さんのイチ押しは鹿革製品。牛革の3倍強度が強いそうで、ここには中村屋オリジナルの鹿革でできたティッシュケース、バブーシュ、クッションカバーなどの商品がずらりと並びます。

食品は宿のレストランで使用されているものばかり。地元のものを中心に、安心安全の調味料や食材が並びます。「中村屋」さんのセレクトなら安心!と、ついついあれもこれもと買いたくなってしまいます。

今回は、日帰り入浴の楽しみ方をご紹介しましたが、本来は温泉宿の「中村屋」さん。もっとその”深さ”を知り、“中村屋時間”を味わいたいのなら宿泊してみるのもおすすめです。

 

まだまだご紹介しきれない魅力がたっぷりの「中村屋」、そしてぬかびら源泉郷という町と大自然。ぜひこの特別な空間であなただけの大切な時間を過ごしてみてくださいね。

<施設紹介>
■糠平温泉 中村屋
■住所:北海道河東郡上士幌町字ぬかびら源泉郷南区
⇒マップで見る

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