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「年間100日登っても知らない表情がある」大雪山を撮り続ける写真家が語る、本当の魅力

“大雪山”とは、特定の山の名前ではなく、北海道の最高峰・旭岳(2,291m)をはじめ、黒岳や北鎮岳、白雲岳、愛別岳など2,000m級の山々が連なる火山群のことです。

大雪山には、ダイセツトリカブトやエゾオヤマノエンドウ、エゾイワツメクサなど大雪山の固有種をはじめ200種以上の高山植物が生育し、アイヌの人たちが「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼んだ美しい景観が広がります。

そんな大雪山の自然に魅せられたのが、「写真の町」東川町在住の写真家でアウトドアガイド・山岳ガイドの大塚友記憲(おおつかゆきのり)さんです。

大雪山に魅せられたきっかけ

大塚さんは千葉県野田市の出身です。北海道にはじめて来たのは、人生に迷っていた20歳のとき。漠然と田舎にあこがれて、大雪山のふもとにある旭岳温泉の『大雪山白樺荘』で住み込みで働くようになりました。

もともと高校生のときから写真を撮っていましたが、本格的に写真にのめり込むようになったのは、偶然にある動物を撮ることができたから。

あるとき、友人から“エゾモモンガ”の写真を見せられてその可愛さに一目ぼれ。エゾモモンガが棲むという森にカメラを持って行くとビギナーズラックで遭遇。冬には氷点下20℃を下回るような厳しい自然のなかで、手のひらにのるほどの小さな動物がたくましく生きる生命力に感動したそうです。

大塚さんが感じる大雪山の魅力

大塚さんは、年間100日ほど大雪山に登っています。そんな大塚さんに大雪山の魅力について伺うと、出てきた答えは「ひとことでは言い表せない」でした。

大雪山を中心とする『大雪山国立公園』は、面積2,268km2と国立公園のなかでは最大の広さを誇っています。これまで数え切れないほど大雪山に登っていても、まだまだ行っていない場所がたくさんあるそうです。

また、同じ場所であっても四季折々、大雪山はまったく違う表情を見せてくれるそう。一面真っ白な雪に覆われた長い冬が明け春から秋に向かう季節は、とくに変化が大きく日々違った景色が広がります。同じ場所に通い続けるからこそ、気づくことができる魅力があるのだとか。

大雪山の魅力が詰まった写真集「ブラボー! 大雪山 カムイミンタラを撮る」

2018(平成30)年に出版された『ブラボー! 大雪山 カムイミンタラを撮る』(新評論刊)は、大塚さんが10年以上にわたって撮り続けた大雪山の写真130点が掲載された写真集です。

写真集には、大雪山の写真が季節ごとにまとめられていて、四季折々の大雪山の魅力を紹介しています。また、写真には撮影場所や動植物の解説なども書き加えられているので、大雪山のガイドブックとしても活用できます。

193ページのオールカラーで価格は3,300円(税込)。東川町の「道の駅ひがしかわ道草館」のほか、Amazonで購入できます。

 

長年にわたり大雪山と向き合ってこられた大塚さん。作品を通じて、みなさんもぜひ大雪山の魅力を再発見してください。

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