金田利貴騎手

高校球児から騎手へ!ばんえい競馬若手のホープ金田利貴さんの魅力に迫る

2021.12.03

帯広市で開催されているばん馬のレースばんえい競馬。ばん馬の歴史は古く、明治初期にはじまる開拓時代の労働力として活躍しました。

ばん馬の体重は1トンあまり。一般の競馬で走るサラブレッドも500キロ前後と大きいのですが、ばん馬はさらにその2倍近くあります。

ばん馬たちの砂煙を立てながらソリを曳き進む強靭な馬体、圧倒的な存在感、そして共に生活をする人間たちとの信頼関係の深さ。それらは当時の面影を残す北海道遺産として、今もその文化が継承されています。

今回お話を伺ったのは、昨年デビューしばんえい競馬の騎手として活躍する金田利貴さん。金田騎手が感じるばんえい競馬の魅力や未来にかける想いについてお聞きしました。

金田利貴(かねた・りき)1998年生まれ、帯広市出身。ばんえい競馬騎手、父である金田勇厩舎所属。ばんえい競馬厩務員を経て2020年騎手デビュー。“元高校球児”という異色の肩書を持つ若手騎手期待の一人。

白球を追いかけた少年時代から、いざばんえい競馬の世界へ

金田利貴騎手

今回の取材はオンラインで行いました。

金田騎手の父はばんえい競馬の元騎手で現在は調教師。物心ついた時にはばんえい競馬が身近にある環境でしたが、小学生の頃から野球一筋で、2015年夏に北北海道代表・白樺学園高校の捕手として甲子園の土を踏みました。

北海道LikersライターKawahara:騎手を志したきっかけを教えてください。

金田騎手:子どもの頃、冬休みなどは厩舎の手伝いをしていましたが、ばんえい競馬には実はあまり興味がありませんでした。2006年に起こった存廃問題を振り返ると、当時は大人たちがみんな暗い顔をしていたなというのが記憶に残っています。

金田利貴騎手厩舎での様子

厩舎での様子 出典: ばんえい十勝

ばんえい競馬を意識するようになったきっかけは、札幌大学に進学するために地元を離れてから父の職業に注目してみるようになってからです。かっこいいなと感じるようになった矢先、人手不足、特に若い人が不足しているということがわかって、若い力でばんえい競馬の力になれればいいなと思いました。

最初は厩務員になりました。仕事をしていくなかで騎手を間近で見て憧れるようになり、騎手を目指しました。

若手としてばんえい競馬を盛り上げるために

北海道LikersライターKawahara:厩務員を2年間経験した後、2020年12月ついにばんえい競馬の騎手デビューを果たします。これまで苦労したことで特に印象に残っているのはどんなことですか。また、どのように乗り越えてこられたでしょうか。

金田騎手:苦労はまだあまり感じてないです。これからもっとたくさんしていくのだろうなと思います。ただ、10キロ減*というハンデが無くなった最初の方が大変でした。乗り越えたという感覚はなく、まだ途上にいる感じです。

金田利貴騎手

デビューイベントでの様子 出典: ばんえい十勝

*10キロ減・・・ばんえい競馬における男性騎手は、騎手免許を取得してから5年以内、もしくは通算勝利数が50勝~100勝までの間は、その年の10勝目までは他の騎手より背負う斤量が10キロ減で乗れるというハンデがもらえるが、11勝目以降はそのハンデがつかなくなる。金田騎手は早くも通算85勝を達成し、ほぼ他の先輩騎手と同じ条件で戦っている。(2021年11月15日現在)

北海道LikersライターKawahara:金田騎手の感じるばんえい競馬の魅力を教えてください。

金田騎手:騎手同士の駆け引きは見どころの一つだと思います。止まったり、周りの馬から離されないようにしたりなど、一つの動きも絶対ミスできないという緊張感があります。ばん馬たちの力強さもばんえい競馬ならではの魅力です。

北海道LikersライターKawahara:馬一頭一頭に対してどんな向き合い方を心がけていますか

金田騎手:馬の性格に合わせて騎乗姿勢を変えるなど、いろいろと工夫しながら乗っています。(馬の視界は350度ある特性から)馬の視界から隠れた方が早く走れる馬もいるので、あえて低い姿勢で乗ったりしています。

騎手の先輩方からは馬の動かし方について教わっています。若い馬にはレースの仕方を教えながら乗り、一方レースに慣れてしまった馬には大きな声を出して馬の気合を出すようにするなどです。

ばんえい十勝

レース中の金田騎手(左から2番目) 出典: ばんえい十勝

北海道LikersライターKawahara:冒頭で「若い力でばんえい競馬の力になれれば」というお話がありましたが、今後若い方たちとばんえい競馬をどのような形で盛り上げていきたいですか?

金田騎手:技術ではまだ先輩方に追いつけないからこそ、元気いっぱい働いて場の雰囲気を良くするのは大事なことだと思うし、それを心がけています。今年は若い人たちがばんえい競馬の世界に入ってきて、雰囲気はフレッシュになってきた感じがあります。

今後も若い人たちがばんえいの世界に入ってきてくれるように、自分も騎手として活躍していきたいです。先日職業体験で中学校に講話に行き、ばんえい競馬に興味のある子どもたちに会いました。そういう子たちの夢になれるように頑張りたいです。

北海道LikersライターKawahara:これからの目標を教えてください。

金田騎手:一勝でも多く勝つことです。この12月にデビューして1年が経つのでそれまでに90勝をしたいです。

北海道LikersライターKawahara:全国の北海道ファン、競馬ファンにメッセージをお願いします。

金田騎手:これからばんえい競馬が盛り上がるシーズンです。重賞レースが増え「これぞばんえい競馬!」というレースが多くなります。ぜひそういうレースを見てばんえい競馬を知ってほしいです。ばんえい競馬は生で見た時の感動がすごいという自信があるので、徐々に移動も緩和されてきたら、ぜひ帯広競馬場に来てほしいです。

金田騎手がおすすめする帯広グルメ2選!

北海道LikersライターKawahara:最後に金田騎手が住んでいる十勝・帯広市には魅力がいっぱいあると思います。金田騎手が選ぶおすすめを教えてください。

金田騎手:帯広は食べ物がすばらしいと思います。北海道名物のジンギスカンであれば競馬場の近くにある「じんぎすかん北海道」は昔から大好きで、よく仲間と行きます。

またスイーツならソフトクリーム。夏に十勝でソフトクリームのスタンプラリーを大々的にやっていてどれもすごくおいしいのでおすすめです。

 

―――金田騎手の原動力は、住み慣れた帯広から離れたからこそわかった父の偉大さ、ばんえい競馬の素晴らしさをもっと知ってもらいたいという想いにあると思いました。どの質問にもしっかりと落ち着いて答えてくださった姿がとても印象的でした。金田騎手のこれからの活躍を期待しています!

【金田騎手からの帯広おすすめ情報】

焼肉・ジンギスカン
■店舗名:じんぎすかん北海道
■住所:北海道帯広市西14条南12丁目3番地
■電話番号:0155-23-6389
■HP:http://www.zin-kita.jp/

スイーツ
■ソフトクリームラリー
毎年6月頃から8月頃にかけて十勝全域で行われているソフトクリームのイベント。広い十勝をドライブしながら、ソフトクリームを買うともらえるスタンプを集めてプレゼントに応募しようというもので、2021年は82店舗がエントリー。中には全店舗制覇した人もいる、人気のイベント。

【画像】ばんえい十勝