朝ドラファンにはたまらない!? 人口5,200人の町にある個性的な2つの美術館(鹿追町)
十勝にある鹿追町は、国立公園『然別湖』や蕎麦が有名な町です。その町のなかに、特色の異なる「神田日勝記念美術館」と「福原記念美術館」という美術館があります。個性の違う2つの美術館をご紹介します。
「共通入館券」でお得にアートを楽しもう!
最初に訪れたのは「神田日勝記念美術館」。NHK連続テレビ小説『なつぞら』で山田天陽のモチーフとなった画家・神田日勝(1937-1970)の作品を、常設で展示しています。ロゴにもなっている《馬(絶筆・未完)》のシルエットは一度は目にしたことがあるはず。
通常、観覧料は一般530円ですが、「神田日勝記念美術館」と「福原記念美術館」の2つの美術館に入場できる共通入館券700円(一般)がおすすめです。さらに「神田日勝記念美術館」では、『なつぞら』ファンにとくにおすすめしたいのが、山田天陽を演じた俳優の吉沢亮さんによる音声ガイド(貸出:1台500円)。共通券と一緒に申し込んでみては?
馬の絵だけではない!さまざまな画風を味わえる「神田日勝記念美術館」
一般的に神田日勝のイメージというと、“農家をしながら、馬を描いた暗い絵を描く人”と思われがちです。しかし、32歳という若さで亡くなり、14年ほどの短い活動期間に、画風は目まぐるしく変化します。
ベニヤ板とペインティングナイフで描くことが好きだった日勝。最新の美術の流れに敏感だったそうです。そのため、色鮮やかで抽象的かつダイナミックな作品や、まるで筆で描いたような緻密でメッセージ性の高い作品など、同一の作家が描いたとは思えないほどです。
学芸員の杉本圭吾さんに同館の楽しみ方を聞いてみたところ、「先入観を捨てて、一つひとつの作品に向き合ってほしい」とのこと。画家や農家の側面だけでなく、釣りが趣味だったり、ジャズが好きだったりと、さまざまな側面を持った日勝。一つひとつの作品と向き合うことで、より“神田日勝”という人に興味が湧いてくるのかもしれません。
最後にもう一度《馬(絶筆・未完)》を観てほしい!
展示作品をすべて観た後に、最後にもう一度《馬(絶筆・未完)》を観てほしいです。《馬(絶筆・未完)》は、未完成のままアトリエに遺されていた作品。さまざまに画風を変化させた日勝が、この作品をどう描きたかったのか?と想像を巡らせてみるのも面白いと思います。
同館はおよそ3ヶ月に1度、展示作品を変更。常設展示以外にも企画展もあります。2021年11月26日(金)からは、日勝の娘であり自身も画家である『神田絵里子風景画展』が開催されます。一度訪れた人でも、また楽しめるのが「神田日勝記念美術館」の魅力のひとつです。
<施設情報>
■施設名:神田日勝記念美術館
■住所:北海道河東郡鹿追町東町3-2
■電話番号:0156-66-1555
■開館時間:10~17時(展示室への入場は16時30分まで)
■休館日:月曜(祝日が重なる場合は開館)、祝日の翌日(土日が重なる場合は開館)、年末年始(12月30日〜1月5日)
■入館料:一般530円、高校生320円、小・中学生210円
■HP:http://kandanissho.com/
十勝・釧根地方の人にはおなじみ!「フクハラの美術館」
「神田日勝記念美術館」から車で2〜3分ほど走らせると、「福原記念美術館」があります。十勝や釧路、根室を中心に展開しているスーパーマーケット「フクハラ」の創業者である福原治平(1918-2013)がコレクションを一般公開したいという考えから、設立した美術館です。
福原記念美術館はバイキング料理!?
館長の橋本大吾さんに楽しみ方を聞いたところ、「たとえるなら、神田日勝記念美術館がコース料理だとしたら、福原記念美術館はバイキング料理だと思っています」との回答。同館の展示品は幅が広く、油絵・日本画・版画・書・彫刻・ガラス工芸など多種で、展示数も豊富。バイキング料理のように、楽しみ方を観覧者それぞれにお任せするのが、この美術館の魅力のひとつ。
ちなみに、同館は個人目的の使用に限り、館内展示のカメラ撮影がOKです(※フラッシュ撮影は不可)。
福原治平と神田日勝の交流が垣間見られる展示品も!
同館には神田日勝の作品もあります。数点展示していますが、そのなかで『赤い魚』という作品に注目です。作品の横には、福原治平が神田日勝に絵を依頼したときの解説パネルがあり、微笑ましい気持ちになります。『赤い魚』はぜひ美術館で観てくださいね。
低めの展示で、子どもや車椅子に乗った方でも楽しめる工夫
同館で気になったのは、展示位置の低さ。子どもや車椅子に乗った方でも観やすいように配慮しているとのこと。小さいお子さんがいる家族連れでも、一緒に楽しめそうです。
光が降り注ぐミュージアムカフェで一息
同館に併設している「ランチ&カフェえんじゅ」は、美術館の入場に関わらず利用が可能。パスタやハンバーグなどの食事メニューから、自家製ケーキやコーヒーなどのカフェメニューまであり、いろんなシーンで使えそうです。2つの美術館について語り合いながら、一息つくのもいいですね。
<施設情報>
■施設名:福原記念美術館
■住所:北海道河東郡鹿追町泉町1丁目21
■電話番号:0156-66-1010
■開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで)
■休館日:月曜(祝日が重なる場合は開館、翌日休館)、年末年始
■入館料:一般600円、高校生300円、小・中学生200円
■HP:https://art-fukuhara.jp/
農家であり画家であった神田日勝、経営者であった福原治平。同じ鹿追町で育った2人の美術館を訪ねて、生のアートに触れてみてはいかがでしょうか? きっと“お気に入り”の作品が見つかると思いますよ。
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