北海道宇宙サミット2021

宇宙食3.0とは?北海道の食の未来【北海道宇宙サミット2021・カンファレンスSession6・全文掲載】

2021年11月4~5日で行われた、北海道発の宇宙ビジネスカンファレンス「北海道宇宙サミット2021」。2日目に行われたカンファレンスでは、日本で宇宙に携わるキーパーソンが一堂に会し、さまざまな熱い議論が交わされました。

今回は、Session6「宇宙を通して見る、農と食の未来」の内容をお届けします。

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登壇者:

JAXA 新事業促進部 J-SPARCプロデューサー / 一般社団法人SPACE FOODSPHERE 理事 菊池優太氏

株式会社TOWING代表取締役 西田宏平氏

サグリ株式会社代表取締役社長 坪井俊輔氏

インターステラテクノロジズ株式会社代表取締役社長 稲川貴大氏(モデレーター)

登壇者紹介

司会:それでは始めます。このセッションは、「北海道の未来をICTで作る 地域のICTソリューション企業」株式会社NTT東日本-北海道の提供でお送りいたします。セッション6 Sponsored by NTT東日本-北海道「宇宙を通して見る、農と食の未来」よろしくお願いいたします。

稲川氏

©北海道宇宙サミット2021

稲川氏:インターステラテクノロジズ株式会社(以下、IST)の稲川と申します。宇宙×食という文脈のセッションのモデレーターをいたします。

やはり帯広で開催しているので、十勝地方、当然みなさんご存知の通りですけれども、非常に食豊かな地域です。十勝地方の食料自給率はいまだいたい1200%ぐらい、北海道全体で合わせても食料自給率はだいたいいま200%あるといわれていて。日本全体は30%台だったり、もっと低かったりするような食料自給率ですけれども、圧倒的に桁違いの場所というのがこの北海道だと。やはり全国を見てもこの地域性というところに、食に大きな特徴があるということは、みなさん間違いなくご存知のところかと思います。

個人的な話ですが、2013年以降ISTができて、ロケットをやろうということで、私は元々埼玉出身で東京に住んでいたんですけれども、そこから十勝に引っ越してきて、ご飯が美味しい。牛乳でこんなに感動することがあるのかと。トウモロコシの美味しさに震えるみたいなことは、なかなか来なければわからないなと思います。実際に体重も10キロ以上、引っ越してきて増えました。それだけ食が美味しい地域ですね。宇宙×食というところのテーマでお話しさせていただければと思います。

北海道は課題先進地といわれるように、人手不足を中心に農業においても大きな課題というのがあって、それに実際に解決をしているというのが北海道の大きな特徴だとも思っています。大規模農業だとか、人手不足を解消するように自動化、スマート農業が非常に発展してきていて、そういった意味ではより先端産業をやっていると思います。

私もさいたま市で育って、東京の大学へ行っていたので、農業にあまり関わりがなかったので、イメージがそんなに湧いていなかったんですけれども、やはり生産者さんとお話すると非常に科学的ですし、本当に科学者だなと感じているのが、ここに来ても体重以外に大きく変わったところだと思っています。

宇宙×食といったときに、どうしても宇宙食だと国際宇宙ステーションに行ったときの宇宙飛行士が食べるものというイメージする人がすごく多くて。実際に北海道でも宇宙食のプロジェクトが数件立ち上がって、実際に成果を上げているものもありますけれども、それだけじゃないんだということをとくにご登壇されている3名の方々、実際にいろんな動きをされていて、宇宙食というものだけじゃない広がりをすごく最前線で進められている方々です。その辺りの話をみなさんにぜひ今日持って帰っていただければと思います。その発展として、宇宙×食の北海道での取り組みというものがもっと出てくるといいなと期待しています。何か湿っぽいことばを喋ってしまったんですけれど、まだ自己紹介のタイミングなので、席の順番に簡単に自己紹介をそれぞれしていただきたいと思いますので、菊池さんお願いいたします。

菊池氏:みなさんこんにちは。菊池と申します。昨日、豚丼、ジンギスカン、飲まないはずだったんですけれどサッポロビールを飲んじゃいましたね。出張自体がかなり久しぶりなので、私も昨日美味しくいただきました。食べない人はいないということで、みなさんも1日3回、1週間に21食食べていると思うんですけれども、非常にいままさに有人宇宙旅行とか、そういったニュースがどんどん駆け巡るなかでも注目されています。

JAXAのなかで企業、自治体、大学、さまざまな方々の連携をしています。新事業促進部というところで、“J-SPARC”のプロデューサーをしています。宇宙ビジネスといっても本当に幅広い、今日1日のなかでもいろいろな方が登壇されたと思いますけれども、宇宙ベンチャー企業の方々もほとんどと、いま私たちは共創、共に創る取り組みとして、いろいろやらせていただいています。

地球観測もそうですし、宇宙輸送、稲川さんともいろいろご一緒させていただいていますけれども、その先には月探査もあります。「宇宙を楽しむ」というところで宇宙旅行だったり、なかなかこれまで国の事業としては、こういった領域というのは税金を投じてやっていくことはなかったと思うんですが、本当にこの有人宇宙旅行の時代というのがあって、衣食住という領域が非常に注目がありつつも、なかなか大きなビジネスにならなかったというところをなんとかできないかというところですね。

この“J-SPARC”自体は十数名のプロデューサーでやっているんですが、私はこの衣食住というものを当初立ち上げて、いまいろんな方と協業しています。そのひとつが、一般社団法人SPACE FOODSPHEREという、これは2019年に当初SPACE FOOD Xというところからスタートして昨年法人化をしたんですけれども、まさに今日横にいらっしゃる西田さんも入っていただいていて、だいたい60くらいの企業、大学、研究機関、さまざまな方と一緒に、月面での食というものを考えながら、月、宇宙と地球、両方の課題解決を進めていけるようなことをいろいろ議論しています。

そのなかで、植物工場ですとか、食料を生産するところもそうですし、最終的にそれを美味しく食べていく。やはり食というものは、最終的に私たちのQOLにも大きく影響してくるので、この辺りの取り組みをするためには本当に多岐に渡る企業さん、大学のみなさんの力が必要ですので、いまそういったなかでの新しいものを生み出そうということで活動している状況です。よろしくお願いします。

稲川氏:菊池さんは、我々ISTのロケットエンジンの開発でJAXAさんと一緒に共同研究、共創活動というものを行なっているんですけれども、その窓口として、うちからの無茶振りというか変なお願いをJAXA内で非常にうまく処理をしていただく調整役として、神がかり的な動きをしていただいています。一方で、こういう宇宙の食というところでも活躍されています。それでは続いて西田さんお願いいたします。

西田氏:みなさんこんにちは。株式会社TOWINGの西田と申します。私は元々滋賀県で生まれて、『宇宙兄弟』というマンガ、ご存知の方も多いと思うんですけれども、それが本当に大好きで、ちょうど中学生のときにこのマンガが始まって、そこで宇宙に興味を持って、名古屋大学の地球惑星科学科というところに入って、宇宙の勉強をしようと思って天文学者になるために勉強したんですけれども、けっこう授業が難しくてなかなかついていけなくて、たまたま近くに宇宙で農業できるような、そういった技術を開発している研究室があったので、そこに所属しまして、その後いろいろ企業に入って副業で会社を立ち上げたりしたんですけれども、最近独立して、プロジェクトをやっている状況です。

具体的に何をやっているかというと、うちは土壌の研究をしているような、土壌の研究チーム、そこで開発された技術を社会実装するというプロジェクトをやっています。月の土とか火星の土、いわゆるレゴリスというものですね。レゴリスで作物を栽培するのは実はできないんです。なぜかというと、粒がめちゃくちゃ小さかったりとか、水はけが全然よくなかったり、水がもたなかったりで、それで作物が育たないんですけれども、それを農業ができるような形に変えていくような、そういった土壌をつくる研究開発をやっています。

実は土壌って身のまわりにあったり、北海道だとその辺に大量にあったりするものなので非常に身近なものなんですけれども、実は土壌の微生物、いわゆる有機物を分解するような微生物の環境を再現してあげるようなところとの開発技術というのがつい最近まで開発されていなくて。そこを初めて明らかにしたような技術を用いて、月の土、火星の土を農業の土に変えるようなプロジェクトをやっております。

いまそういった宇宙向けに作っている技術ではあるんですけれども、それが日本の農業ですとか、ゆくゆくは世界の農業をどんどん変えていくようなポテンシャルがあると弊社は考えています。地球での農業プロジェクトを併せてやっている状況でございます。ぜひ北海道の農業のプロジェクトとも併せてお話できたら面白いなと思っていますので、本日よろしくお願いいたします。

稲川氏:西田さんの年齢を先ほどお話ししたら27歳ということで、若くやっているなと思いますけれども。同時に27歳同い年、続きまして坪井さんですね。実は学生だという話もちらっと聞きましたけれども、その辺も含めて会社のご紹介と併せてしていただければと思います。

宇宙サミットセッション6

©北海道宇宙サミット2021

坪井氏:サグリの坪井と申します。いま横浜国立大学4年生をしている学生でございます。サグリという会社なんですけれども、SATELLITE・AI・GRIDという3つからサグリという名前をつけています。やっていることというのは、人工衛星のデータを宇宙からとってきて、地球上の農地を見るというお仕事をしています。

そのためには良いモデルが必要なんですけれども、AIに食わせるための教師データというのをしっかりと作って、良いモデルを作って、現場の状況をしっかり見えるようにするということをしています。

私自身、大学では土壌を自動でサンプルできる機構というものを自分の研究では作っています。それを会社にも接続しようとしている会社です。現状私たちの会社は何をしているかといいますと、日本全国で5,000万ぐらい圃場があるなかの耕作されていない農地というものを衛星から見つけることができます。

またその作物が、例えば耕作されているときに何の作物が植わっているかというものを、ある程度、穀物形であれば推定するという技術を持っています。そうすると行政さんがやっている農地パトロール調査、これは農業委員会様がやっていますけれども、そういうところの改善に繋がったりとか、作付け調査、これは経営所得安定対策という業務のなかで、作物がちゃんと植わっていることを確認して補助金を給付するという事業、各市町村でやられていますけれども、それら全部目視でいま確認されているんですね。それを全部衛星で置き換えるということをしています。現在45市町村様と一緒にやっています。

また、高解像度の衛星を使って、海外の農地を自動で区画化するという技術を持っています。AIポリゴンと私たちは呼んでいますけれど、衛星データで解析した技術というものを地上で使ってもらうためには、こういった区画が必須なんですね。農地ごとに農家さんに登録してもらってデータを供給したいですので。その区画というものを、アフリカであったりとかインドであったりタイで、自動で作ることができるという技術です。

北海道の新篠津村でやっているんですが、これは土壌のpHを衛星データから推定するということをしています。pH以外にもCCであったり地力ですね。地力なので炭素量であったりとか、可給態窒素というものの推定を精度誤差15%から20%圏内で行うことができます。

新篠津には8,000筆ぐらいあるんですけれども、70筆ぐらいの土壌をとって、中赤外スペクトルを当てます。FTIRで。それで、その土壌の特性を、70筆を教師データにして残りの7,930を予測するという、そういったお仕事をしています。この技術を、僕たちはいまインドに子会社を持っていまして、日本で作った技術を海外に持っていくことで、いわゆるグローバルの農業というところに貢献していきたいなと思って行っております。よろしくお願いいたします。

稲川氏:ありがとうございます。宇宙×食というところで、宇宙食だけじゃなくて、菊池さんは企業間の連携も含めて宇宙と食の問題解決をしていますし、西田さんのほうでは土壌という本当に土だというところで、坪井さんのほうではAI技術と合わせての農業のいわゆるスマート農業になると思うんですけれどもやられているということで。やはり食べるだけの世界ではないところがあるという、宇宙×食だというのがあらためて自己紹介だけでもわかったかなと思います。

宇宙と食。食と宇宙のかかわり方、宇宙食の時代から何がアップデートされたのか?

稲川氏:それでは最初の質問です。これまで宇宙食だけじゃないということを散々言ったんですけれども、またあらためて宇宙食というのも大きな産業のひとつではあります。宇宙食の振り返りを菊池さんのほうから、歴史も踏まえて、現状も踏まえて聞きたいと思いますし、過去現在、さらに未来も含めてどういう状況、何がアップデートされたかみたいなところを教えていただけますでしょうか。

菊池氏

©北海道宇宙サミット2021

菊池氏:今日は20代の方が2人ということで、僕はおじさんの役割だなと思いながらですね。私は来月40歳なりますね。宇宙食といっても、実はこの9月にJA帯広さんのほうからいまJAXAの宇宙食担当で出向していただいているということで、そういった人事交流もいまいろいろ広がっていて、本当に宇宙×食ってポテンシャルが高いと思って、今日そのあたりもいろいろお話できればと思うんですけれど。

まず宇宙食というところで、まだ一般のイメージとしてはチューブ食とか、大体フリーズドライなんでしょうってイメージを持たれることが多いんですけれども、全然そういうものはなくて。

それこそアポロ時代、1960年代はそういったものから、そもそも無重力空間で食道を食べたものが通るのかっていうところから、いろいろ開発を重ねていて、いまはだいたい300種類ぐらいの宇宙食が宇宙ステーションで作られて食べられています。実はこの宇宙食を開発する過程で生まれてきた、レトルトですとかフリーズドライという技術は、宇宙へのチャレンジをするからこそ、そこで少しでも美味しいものを、なるべく小さく運ぶために、そういった技術が加速されたともいわれていますし、もう一般的になっているようなHACCPという食品衛生の基準はNASAのそういったところから、地上で訓練を重ねていった宇宙飛行士が食中毒になってミッションできないなんてことが起きてはなりませんので、そこを徹底していったというところが、いま地上にも返ってきているんですよね。これはたぶんどこの領域もそうだと思うんですけれど、実は宇宙食を開発する過程のなかで生まれたものが、どんどん地上に降りてきているというのがこれまでのところですね。

これからのアップデートという話でいいますと、まさにいまSPACE FOODSPHERE等を通じていろいろな方と議論しているんですけれど、これまでは地上で作ったものを持ち込む。その持ち込むものも、やはり日本が作ったものが非常に美味しいといわれていて。宇宙日本食もいまだいたい47種類ぐらいあって、宇宙に行くとロシア、アメリカのクルーから物々交換という形で取られる。非常に好評なんです。

やはりそこに対して、例えば調理をする、クッキングをするというものがひとつ入ると、一気にバリエーションが増えてくるわけですよね。南極の場合はシェフがいて、南極料理人という映画もありましたけれども、おそらく今後の宇宙での食というなかには、そういった料理、クッキングというものが入ってくるんじゃないかと。

ただ、さらにその先、それこそ月、火星ということを考えていくと、より距離が遠くなりますので、まさにここは輸送技術であり、輸送コストがどう変わってくるかにもよるんですが、すべてを地上から持ち込むことができないので、現地で、地産地消、JAXAではよく月産月消みたいにいいますけれど、やはり現地で食料もすべて育てていかなければいけない。まさにTOWINGさんが取り組まれているような、そこにあるレゴリスが使えないんだったら、それで植物が育つものを作らなければいけない。そこで新たに生まれた技術が地上に降りてくるような、そういう循環になればというところで。宇宙食も、僕ら1.0、2.0、3.0というバージョンも言ったりするんですけれども、これからは調理の行為、そして現地で育てた食材を使って、それで食を作っていく新しいフードシステムが必要になってくるんじゃないかと考えています。

稲川氏:なるほど。宇宙食1.0、2.0、3.0まで行ってる、もう1.0でだいたい止まっているなか、もうそこまで進んでいる。

菊池氏:いまは1.0ですね。

稲川氏:2.0、3.0って、具体的にどこがどう違うんですか。

菊池氏:2.0が食材を持ち込んでそこで調理をするなんらかの作業ですね。ですから、例えば南極の場合はすべてを日本で調達して、約1年分ですね。何万トンの食材を持ち込んでやるわけですね。現地で育てるというのは南極の場合は制約があるからできてないですけれども。月に行くと食材も含めて現地で育てちゃおうと。それを完全にすべて宇宙側でやろうということをいまのSPACE FOODSPHEREのメンバーでいろいろチャレンジしようとしています。

稲川氏:すごいアップデートがされているなというのがあらためてよくわかりました。その地産地消、月産月消という文脈で言うと、西田さんのやっている事業というのがまさに生きてくるかなと思うんですけれど、そのアップデートされてるものというのはどこらへんなのか、もう少し簡単に、少し詳細に教えてもらえるとありがたいです。

西田氏:そうですね。最近ニュースに上がっていると思うんですけれども、化学肥料がめちゃくちゃ高くなってしまっているとか、あとはみどりの食料システム戦略ですね。できるだけ有機肥料を活用した畑、オーガニックな畑を増やしましょうというところで、いま2050年のところで目標を立てられていると思うんですけれども。

実際にそれはいまの延長線上では絶対できないんですね。なぜかと言うと、やはり農家さんは1年後とか2年後とかそういうところでなかなかチャレンジングなアプローチって難しいと私は思っています。

そんななか、宇宙のプロジェクトという形になると、それが10年後とか20年後の単位で計画を立てて、いろいろチャレンジングな研究開発をやれるという側面がございます。

弊社としても、例えば有機肥料をいかに高効率に分解できる土壌を作れるかというのは、そういったプロジェクトをすることによって、将来的なみどりの食料システム戦略で立てられている持続可能な食料システムが転換していくような技術開発につながってくると考えています。

いままさに宇宙のプロジェクトでやっているのが、そういったアップサイクルな、できるだけ資源を現地で循環型で生み出していくにはどうすればいいか、というようなプロジェクトです。あとはもっと言うと、植物の品種のところですね。いわゆるゲノム編集ですとか、遺伝子組換もそうですね。通常だとやはり法規制等があって、なかなか社会実装というところや予算も付きづらい部分があるんですけれども、将来的にという形であれば、どんどんそういったチャレンジングなアプローチもやれていけます。

保守的な取り組みというのは非常に大事ではあるんですけれども、宇宙のそういったチャレンジングなアプローチをすることによって、新しいイノベーションがどんどん生まれていって、それが将来的には北海道や日本の農業をさらにアップデートするところに繋がると私は考えています。

稲川氏:さっき楽屋で1時間ぐらい前から盛り上がっていたんですけれども、宇宙空間ってすごくいろんな制約がありますと。物量もすごく制限されているし、部屋というか面積も非常に制約されている。物質がすごく制限されているなか、植物を持続可能に育てていかなきゃいけないということを、西田さんは本気で考えている。

だからその細かい科学的なところまで質問したんですけれども、超高効率な仕組みというのも、ゲノム編集とかも含めて考えていくというのがこの宇宙での新しい農業というところになるんだなというのをあらためて感じましたし、土壌という面でキーワードになるのは微生物なのかなと思ったんですけれども、微生物あたりでも高効率みたいなところに活きてくる技術だとか、やられていることはあるんですか。

西田氏

©北海道宇宙サミット2021

西田氏:そうですね。実はうちの技術というのがバイオテクノロジーなんですけれども、 ある狙った微生物がより活性化しやすいような環境を作ってあげましょうというような技術なんですね。

例えば地球上で一番いい働きをする微生物たちが活性化する環境をどうすれば作れますかというところは、いまある程度技術の積み上げができて分かってきているんですけれど。それが宇宙になったとき、重力が変わってしまったときにどうなるかとか、それによって作物に与える影響がどうなるかとか、そういったことをある程度シミュレーションで明らかにしていくためには、さらに深い植物の生態のメカニズムですとか、土壌の微生物群のメカニズムですとか、そういったところをしっかり明らかにする必要がございます。

従来だと、なかなかそこまで深掘りして研究開発はできないんですけれども、宇宙の文脈での研究開発をしていきますという、長期的な、中長期的なプランを立てていくことによって、そういったこともあり得るかなといま考えています。

稲川氏:ですよね。農業って本当にサイエンスだなと思っているんですけれども、まさにそのシミュレーションとか、無重力での環境とか、そのメカニズムを考えていくのが宇宙×農業というところだというのはすごく面白いなと思いました。宇宙空間だけじゃなくて、地上との関わりでいうと、坪井さんのほうかなと思うんですけれども、そのアップデートされている宇宙×食、農業というところをご紹介いただければと思います。

坪井氏:そうですね。宇宙食の時代からですけれども、私たちは人工衛星を使っているわけですよね。人間が作って打ち上げたものがたくさんデータとして得られる状況になっているわけです。

いままでの農家様、例えば戦後GHQの施策によって、1農家さん3ヘクタール以下になったんですね。農家さんの数は日本に1千万いたわけです。いまは165万人ぐらいになっているわけですね。

これまでは小規模だったものが、日本の農業はどんどん法人形態に移行しているんですね。農家さんの年齢は高齢化してきていて、平均年齢67歳を上回りました。その状況になると、農家さんの頭の中にあって持っているノウハウを伝承していかなければ、日本の農業は衰退していきます。

その時に我々は、食を当たり前に食べているわけですけれども、この宇宙でも生産できる技術のほうにシフトしていくのか、あるいはいままでの農業、我が国の農地は水稲と露地栽培でおよそ99%を占めるわけですが、そこで生産し続けるのかというところだと思うんですね。

環境の状況もあるわけですけれども、農家さんが持っているノウハウをデータで再現することは一定数できると考えています。先ほどの土壌の微生物とかにいくと、さすがに難しいんですね。アンモニア態窒素から硝酸態窒素へ脱窒する仕組みなんかを菌レベルで把握しないと難しいわけで。

菌自体もまだ土壌学では分かっていない領域なので、そういうところはデータでは置き換えられないと。一方で、例えば気象衛星を使うことで、『ひまわり』とか1キロメッシュで使うことができるわけです。こういったデータの積算を使って、例えばお米の出穂とか、幼穂形成期を予測する、あるいは先ほどのリモートセンシングという技術を使って、画像自体の波長データを使って、NDVIとかみなさん聞かれたことがあるかと思いますけれども、作物ごとの状況を把握する、こういった技術がいま起きようとしています。

アメリカや欧州では、例えばトウモロコシですね。アメリカのトウモロコシがすごい栽培されている場所では、25%が衛星を使って農機にそのデータが接続されて行われている状況なわけです。日本だと北海道が非常に海外に近しい農業ですけれども、例えばお米1ヘクタールあたりだいたい肥料代を10万円とか12万円分撒いているわけですね。

それをリモートセンシングのデータを使えば、2、3割ぐらい削減できるポテンシャルが占められていると。そういうところに私たちはデータとしてアクセスして、農機が勝手にやってくれる時代というのが来るんじゃないかなと思っています。

稲川氏:実際に思っているだけではなくて、データ解析もやって事業までされているというところが、本当にアクティブに動いているんだなと思いました。

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食べ物大国、北海道(十勝)との掛け合わせ

稲川氏:次の質問です。「食べ物大国、北海道(十勝)との掛け合わせ」という文脈で、こちらも菊池さんから聞いていきたいと思うんですけれど、いきなり北海道との掛け合わせって難しいかもしれないんですけれども、いかに宇宙がチャンスで、我々北海道の人間が宇宙食以外の、新しい宇宙食でもいいですけれども、関わるチャンス、きっかけみたいなところのヒントをぜひ教えていただきたいと思うので、お願いいたします。

菊池氏(写真左)、西田氏

©北海道宇宙サミット2021

菊池氏:冒頭もお話したんですけれど、野口さんが宇宙に行きましたとか、ヴァージン・オービットが宇宙旅行ですね、都度、メディアの方々が食×宇宙にすごく注目されるんですよね。

どこを切り取っていくかというところで、一般の生活者と密着につながっているからということだと思うんですけれども、僕はやはりまずこの北海道で、かつこの十勝でと考えると、まさにスペースポートがあるということはすごく大きいことなんじゃないかと思っています。

ISTさんもそうですし、SPACE WALKERさんもここを射場として、将来はここに有人の拠点ができてくることを考えると、そこで持ち込む食というものは、当然ですけどここのもの、地産地消のような形で持っていくこともそうですし、当然それに関連していろんなお客さんが来て、ここで食を消費して帰っていくというようなことで考えると、当然北海道の食が美味しいということは僕も物産展とかいろんなところで見るんですけれども、このスペースポートを起点に日本全国でもいろんな広がりをもたらすこともできると思っています。

やはり僕はそこに人がいることが食に関してはキーだと思っているので、ユーザーというか、消費者だと思うんですけれども、そういう観点でこれからのスペースポート事業と関連させてやっていく取り組みはいろんな可能性があると思っています。

いま大分県でもそういった取り組みが始まっていると聞いていますし、ぜひこの食×スペースポートというひとつの新しい仕組みというかビジネスをいちはやく作って、いろんな所で活用できるといいなと考えています。

稲川氏:我々ISTも将来的に宇宙旅行といわれるような有人宇宙飛行もやりたいと思っていますし、SPACE WALKERさんもやろうとしているというのはまさにその通りで、それを起点に宇宙食が広がっていくんだろうなと思いました。

やはりいま北海道でよくいわれるのは、生産はするけれどそのまま売ってしまって、高付加価値化できていないということですけれども、この付加価値のキーワードのひとつに宇宙というのがあり得ると、ありがたい示唆だったと思います。西田さんも北海道との掛け合わせみたいなところでいかがでしょうか。

西田氏:私、北海道は日本で最強の食料生産拠点だと思っているんですけれど、それがこれからさらに向こう50年間最強の食料生産拠点にするためには、やはり持続可能にこの広大な農地を変えていく必要があると思うんです。

その時に、さらに良いことに北海道は野菜だけじゃないじゃないですか。もちろん畜産もやられていますし、魚介系の肥料とかもあるんですね。いわゆる食べる部分と食べない部分があって、その食べない部分をできるだけ肥料に変えていくとか、そういった研究開発は非常に宇宙にもつながってくるところがあります。

というのも、宇宙は超閉鎖空間での持続可能なシステムを作っていく必要があるので、ちょっと汚いですが宇宙飛行士の方の出すものですとか、あとはもちろん野菜の食べない部分とか、そういうところもできるだけアップサイクルで作って利活用していかないといけない。

その時にいろいろと明らかになってくる、研究して実は農地にも使えるよねという技術開発のところはやれるんですね。そこで生まれてきた技術を、ぜひ私としてはこの北海道、食が大量に集まってくる北海道の場で実証することができれば、まさに日本の、もちろん農業も変えることができますし、ゆくゆくは世界の農業も変えることができるような、世界のリーダー的な役割を北海道が果たすことができるんじゃないかなと思っています。

稲川氏:本当にSDGsの究極ですよね。やはり高効率でないと生存できない宇宙空間で試された技術というものが地上に還元されていって、それがSDGsだとか、食料で強い、農業で強い北海道をさらに強くすることができるだろうというところで、なるほどなと。

やはりサーキュラーエコノミーとかSDGsというのは、これから絶対避けては通れない時代にもなっているので、そこの組み合わせというところは少し視座が広がったような気がします。では坪井さんにも北海道との掛け合わせというところでお願い致します。

宇宙と食。食と宇宙のかかわり方、宇宙食の時代から何がアップデートされたのか?

©北海道宇宙サミット2021

坪井氏:そうですね。いくつかこのテーマを見て思いついたことがあるんですけれども、北海道ってかなり大きいわけじゃないですか。大きい中で作物を、何の品種を誰が作るかみたいなところをちゃんと把握できていないと、作り過ぎるという現象が起きると思うんですよね。

日本の生産体系だと、最終的にJAさんが買ってくれるわけなのでなんとかやっていけるんでしょうけれど、今度はここで何を育てるべきだよねというところを行政さんがレコメンドしてあげると、けっこう農家さんが圃場から生産できる付加価値を高めていくことができると思うんですよね。

結局農作物って、自分たちで顧客を持っている方は別ですけれども、出荷してから価格がついて初めて利益が確定するわけです。その辺が、欧州ではすでに衛星データで全体の圃場を見渡した時に、何がどれくらい作られていそうだと、じゃあこれを育てたらいいよねと、ある程度推測してここの圃場はこれを作って下さいと。あるいはさきほどの土壌で、こういった状況だからこれを作ってくださいみたいな形で、データを活用した農業の生産流通体系を実現していく必要があると思っています。

また政府のほうで、かなりカーボンニュートラルの実現が促進されていて、農業と非常に関わっていると感じています。例えば、土壌でいえば、さきほど脱窒という言葉が出ましたけれども、N2Oですね、一酸化二窒素が排出されると、これは地球温暖化の原因のひとつになりますし、あるいは炭素を固定化させるために、それこそバイオタンなどをまいて炭素を固定化させるということを広大なエリアでやるからこそ、インパクトが起きるんですよね。

これを本州で小口でやったら、あまりインパクト性を持たないから誰もやらないんですよ。だから広大な面積を持っている農家さんたちを束ねる行政さんたちが、そこを評価する基盤を作るということは非常に重要だと思っております。

稲川氏:なるほど。いわゆる宇宙で一次産業というとリモートセンシングで高効率化というところだけが語られるけれども、流通だとかカーボンニュートラルというところと行政を含めたリーダーシップみたいなところがすごくインパクトがあるんだという話で、ここもやはりすごく視座が広がったような気がしました。

現状の取り組みの課題は?

稲川氏:次の質問で、現状の取り組みの課題ですね、ここが課題だ、こういうことがあったらいいなというところをそれぞれ聞いていきたいと思います。

菊池氏:課題というか、本当にこの食×宇宙をちゃんと、どうしても宇宙食というのは打ち上げ花火的にPRとか広告的に使われることが多いんですけれども、これを本当に一企業もそうですし、こういった自治体での継続的なビジネスにできるかというところが、この新しいモデルをひとつでもふたつでも多く出していくということをやらなければいけないんだろうなと思っています。

まさにISTさんのほうで、『MOMO』を活用して日本酒やコーヒーを打ち上げて。あれは実は10年前ぐらいには広告代理店でもできないかなというのはあったんですけれど、その時に乗せられる場所、乗せられる物、すぐに相談できる場所がなかったんですよね。

でもいまこうやってまさに『MOMO』の打ち上げが増えてくると、なにかやろうと思った人がすぐできると。そうすると2回目3回目と計画も立てていけると思うので、できる環境も作りながら、とにかくひとつふたつビジネスを形作っていく。これがないと、なかなか入り口で止まってしまうこともあると思いますし、何かやりたいと思っていた人も手探りでやっていくしかないと思うので、そういうものを早く生み出していくことが長期の課題かなと思います。

稲川氏:なるほど。我々『MOMO』を使って、紀土(きっど)という日本酒だとか、サザコーヒーさんのパナマコーヒーという、世界一高級な豆を使ったコーヒーを宇宙に打ち上げることをやっていたわけですけれども。

楽屋でも同じ話を菊池さんから聞いて、なるほど、大手広告代理店さんと国の研究機関さんが組んでもできないことが、『MOMO』を使ってできたんだというところは、やはり民間企業や新しい宇宙のプレイヤーが出てきたところで、活性化した部分だというのはあらためて思ったところでした。西田さんからも現状の取り組みの課題についてお願いいたします。

西田氏:僕たちの課題はやはり、技術開発とか農業農家様向けのシステムの開発とか、こういう実証を一緒にやったら面白いよねというところでいろいろアイデアは出るんですけれど、やはり農家さんは、そういう実証に対してお金を払わないというか、効果が出るか出ないか分からないものになかなかチャレンジしたがらないというところが正直なところです。

そういった時に、やはり企業様が一緒に農家さんと手を組んでやりましょう、ある程度リスクは企業様が取りますという形で研究開発が進んでいくことによって、新しいイノベーションが多々生まれてくることがあります。

ですので、そういう農家さんの現場と、企業さんと、あとはベンチャー企業とか、大手さんとベンチャー企業というところで、いろいろなところがコンソーシアムといいますか、新しい結合を生み出してプロジェクトをやれていくと非常に面白いなと思っているところがまず1点目ですね。

2点目が、勇気。元々チャレンジして失敗した方が多いので、もう一度やりましょうという方が現状少なくなってきてしまったりとか、先入観でなかなか難しいよねとなってしまっていて。

いませっかく農水省がみどりの食料システム戦略というものを掲げたんですけれども、「本当にこれできるのか、やれないでしょ」という声のほうが多いんですね。そこをやはりポジティブに捉えて、みんなで力を合わせて、それこそチーム北海道とかチーム日本でいろいろ技術を掛け合わせれば、実現できることだと私は思っていますので、やはりもっとポジティブに考えて未来を一緒に作れていくといいなと思っています。

それがやはり宇宙という文脈だと非常にポジティブにつながることもありますので、そういった宇宙の場でいろいろと手を組んで、プロジェクトやれると面白いんじゃないかなと思っています。

稲川氏:本当にアグリテックはものすごく盛り上がってきていて、技術革新がすごく起きているんだというのは素人ながら僕も傍から見ていてすごく思っています。まさにTOWINGさんはそこのど真ん中をやっていて、さらに宇宙までもう先を広げていると。「宙農(そらのう)」というと未来の話だけど、この地べたの話というか、地に足のついたことを本当にやられているので、やはりいま北海道のなかでなんらかのコラボレーションができて実証できていくと、我々としてもすごくいいなと思うので、どこかとコラボレーションしてもらいたいなと思いました。坪井さんからも現状の取り組みの課題についてお願いいたします。

坪井氏

©北海道宇宙サミット2021

坪井氏:自社での課題と、全体の業界をとおしての課題の2つでいきます。まず自社の課題としては、さきほどのモデルを作る時に、AIに学習させるための教師データ、これが一番大事なんですね。

土壌であれば、例えばモデルを作って、新篠津で作ったモデルを北海道全体に広げられるかなということを検証するわけです。そうすると帯広で使えなかったら、帯広でもモデルを作らなきゃいけないんですね。こういったことが実際に起きます。なのでその時に各地でしっかりと連携できる体制がないと実際難しいんですね。

一方で、新規の領域に入っていった時に、正直スタートアップでなかなか名前も知られていないと、そういった連携が進まなかったりすると。そういったテクノロジーを持っていても、なかなか知られていないベンチャーさんというのは実証フィールドを求めているところがあるので、そういったものを受け入れられる体制をしっかりと北海道でも構築してほしいと思うんですよね。

例えば、北海道で業界の話にいきますけれども、いまスタートアップから感じている業界の課題というのは、衛星データに非常に興味を持っている企業さんは多いと思うんですね。ただ誰も本気でやっていないと思っています。なので、実際に本当に現場に課題があっても、そのためのアプリケーションが作られない状態なんです。研究とかPOCで止まっているんですよ。これって日本が本当に衰退していく一途をたどってしまうと思っていて。

海外は何百社とそういうデータを使って解析して提供するプレイヤーがいるわけですね。こういうプレイヤーさんなんかどんどん出てきてほしい。堀江さんもセッション1で言っていましたけれど、衛星でも同じような状況です。プラネットで毎日観測してデータをとれる状況ができています。センチネルでも無償で衛星データをとれる状況ができています。

けれども、使って誰かに対して何かサービスを提供して、お金をもらうということをしている人が少ない。これが本当に業界としての課題だと思っていますね。たとえば私たちは茨城県さんが最初に委託でお金を出してくれたんですよ。いま45市町村のアプリケーションまで広がっているんですね。

だけど3年前に私達がこれを作った時にみんなから否定されました。そんなの実際に研究では進んでいるとか、できっこないみたいなことをいろいろ言われて。けれどやってみたらできるわけです。こんなちっぽけな会社でも。なのでぜひみなさんも、何か衛星とかに興味を持っていたら触ってみる、そして何かプロダクトに落として、1人のユーザーさんでも納得させてみる。その後にビジネスに持ち込むということをしてほしいなと。そうするとすごい業界が盛り上がるんじゃないかと僕は思っています。

稲川氏:やはり衛星データは本当にうなぎのぼりというか、指数関数的に増えているというのがここ数年の大きなパラダイムシフトです。衛星データ写真1枚100万円かかっていたような時代から、プラットホームを使うとある程度無料枠もあるし、そんなにめちゃくちゃに高い金額じゃなくて解析データというか生のデータが見られるような時代になってきているという。

そういうやっぱり時代の変化っていうのは実は急激に起こっていて。アンテナ相当感度高く持っていないと、そういう衛星データが全然変わってきてるんだとか、世界の状況もそのアグリテックだったりとか、宇宙使ってのリモートセンシングの技術のアップデートっていうのをちゃんとわかっていないと、置いてかれるんですよね。そういう情報提供も北海道内ではやっていたりしますけれども、それだけではなくて、実際に手を動かしてみましょうっていうのが大事と言う指摘で、本当にその通りだと思いました。

北海道宇宙サミットに残したいメッセンジ

稲川氏:最後にみなさんからメッセージですね。それぞれお願いしたいと思います。

菊池氏:結局食って人の暮らしと密接なんですよね。閉鎖空間、極限という言葉が出ていましたけれども、そこで暮らすのは同じ人間なんです。

だから宇宙の課題は、実は地上見た時に、災害時の避難所の課題とか。あと本当に身近なとこで言うとこのコロナ禍で家からなかなか出られない生活も、実は共通する部分がけっこうあって議論しているところです。

普段みなさんが感じていらっしゃる課題、家族との人間関係、それもしかしたら宇宙でのクルー同士の関係性にも通じてきたりだとか。やっぱりどういう課題を解決して行こうかというと、とにかく食の話で考えています。ですので、宇宙って特別なものと思うのではなくて、そこで暮らす人間に対してどう課題解決をしていくか。それがおそらく宇宙も地球も共通するようなものが出てくると、必然的にその時に取り組むべきものがあって、最終的にそれが将来ビジネスに繋がっていくんじゃないかなと思いますので、とにかく一度やりきるということは、この北海道でも出てくると非常に嬉しいなと思いますし、なにか私もご一緒できたらなと思います。本日はありがとうございました。

稲川氏:ありがとうございます。それでは西田さんからもお願いします。

西田氏:私としては、茨城のほうにもいろいろ宇宙の拠点がありますし、北海道以外のところでも、こういった宇宙の拠点っていうのはできつつあると思っています。

そんな中で、北海道でしかできないこととか、北海道だからできることが私はあると思っていまして。それを具体的にここで言うつもりはないんですけれども、今日聞いていただいたみなさんの胸のなかに、このセッション6までに聞かれた中で、たぶん何かしらアイデアが生まれてきていると思うんですね、それをぜひアクションを起こしていただくことによって、やはりこの北海道の宇宙っていうところが盛り上がってくると思います。私が言うことではないかもしれないですが、ぜひアクションを起こしていただけると嬉しいなと思います。

稲川氏:ありがとうございます。それでは坪井さんお願いします。

坪井氏:これはサグリの要望なんですけれども、2つですね。行政さんとぜひいろいろ連携してお話したいなと思っています。私たちもやっぱり本州のほうが圧倒的に多いんですよね。私こう見えて農水省のデジタル地図委員をしているんですけれども、行政課題を解決できるよう、しっかり作ってきたいと思っています。やっぱり北海道と本州で全然課題が違うので、一緒に探っていきながらどうすると最適かを落としてきたいと思っているので、その実証フィールドがほしいです。

一方で、新篠津様もいまご一緒していますけれども、農家様の声がすごい大事なんですね。私たちはそこで事例をちゃんと作りながら、インドとかアフリカへとその技術がしっかりグローバルに日本発で作れるようにしていきたいので、農家様とも繋がってきたいなと思っています。ぜひ行政様、農家様をご紹介いただけると嬉しいなと思っております。

北海道宇宙サミット2021集合写真

©北海道宇宙サミット2021

稲川氏:実際にアクションにつながるといいなと思う、良いセッションだったなと自画自賛してここで締めたいと思います。それでは本当に朝から晩まででしたけれども、これが最終セッションということで、最後北海道っぽさをあらためて出せて、北海道宇宙サミットのセッションをこれで終了したいと思います。朝から晩までご清聴どうもありがとうございました。

司会:ご登壇者のみなさま、本当にありがとうございました。みなさま、最後に大きな拍手をよろしくお願いいたします。

以上をもちまして、北海道宇宙サミット2021カンファレンスを終了いたします。総勢24名のゲストのみなさまに世界の宇宙ビジネスの動向、日本のスペースポートの未来、宇宙産業を軸とした地方創生など、6つのセッションに分けて熱く語っていただきました。今回の内容は今後、私たちの仕事や生活の一部にも関係していく可能性のあるお話でした。ご来場、そしてご視聴いただいたみなさまにも宇宙産業の発展が自分の生活、身の回りにどう変化をもたらしていくのか、あらためて考えていただければと思います。

※本記事はカンファレンスでの発言を文字に起こしたものです。言い回し等編集の都合上変更している場合がございます。

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