朝焼きフィナンシェ

誠実な味にリピーター多数。遠くてもわざわざ行きたい、クラシックな焼菓子店(由仁町)

2021.09.08

空知エリアの最南端にある由仁(ゆに)町。熊本地区のとうきび畑にポツンと建つ1軒の古民家があります。2019年6月にオープンした「三好焼菓子店」は“わざわざ目指したくなる”テイクアウト専門の焼菓子店です。

由仁町への移住

オーナーである三好さんは、2018年に大阪から由仁町に移住。移住体験ツアーやおためし暮らしでいくつかの町を訪れたなかで、帰省のときに新千歳空港が近くて便利な点、札幌へのアクセスが良い点が決め手となったそう。

三好さんは、約8年お菓子づくりを経験。その後、ほかの仕事をしていたこともありましたが、「北海道でお菓子を作りたい」と移住後、店舗探しをスタート。

大阪に住んでいたころのつながりで紹介していただいたことがきっかけとなり、畑に隣接するこちらの民家と出会うことに。

開店に向けて

いろんな縁があって巡り合ったこの民家を店舗とすることを決め、開店1年前から改装をスタートしたといいます。

「お店の大家さんにはオープン前からとても良くしていただき、 お店が継続できているのはこの大家さんに巡り合えたから。 この場所、この物件でなければお店はできなかったと思っています。そして、施工をお願いした長沼町の『yomogiya』さんには何から何まで本当に助けていただきました」

店内は外観からは想像できない真っ白い漆喰の壁が印象的です。焼菓子はアンティークの棚に並べられていて、置かれている本や置物は三好さんセレクト。アンティークガラスが使われている大きな窓からは自然光がたくさん降り注ぎ、あたたかい雰囲気に。

「朝焼き」の理由とは

「三好焼菓子店」の看板商品となっている『朝焼きフィナンシェ』。同じく“朝焼き”がつけられた商品として『朝焼きマドレーヌ』があります。

なぜ“朝焼き”という言葉を選んだのか。そこには三好さんのこだわりがありました。

「関西でパティシエをしていたころから焼きたてのフィナンシェの特別な美味しさを感じていました。作る人しか味わえない焼きたてをどうしても提供したかったのですが、 “焼きたて”としてしまうと焼きたての概念が何分くらいまでを指すのか明確ではないんです」

「焼き上がり1時間、2時間後でも焼きたてというには無理があるし、それは嘘になってしまうなと思い、“毎朝焼いています”という広い意味で“朝焼き”とつけました」

基本に忠実な焼菓子づくり

三好さんは一旦お菓子の世界から離れたことで、「やっぱり自分はお菓子づくりしかできない」と再認識できたそう。

「(お菓子を作るにあたり、)当たり前のことを当たり前に行うということと、奇をてらった菓子を作らないことと決めています。できるだけクラシックな菓子の文化や背景を理解して、これからも淡々と菓子に向き合いたいです」

「立地や業種的にも、通りすがりに気づいて何となく寄ってみようと思うようなところではないので、お客様の多くはわざわざ目指して来てくださっているように思います。 早々に売り切れてお店を閉めるような店には絶対にしたくなかったので、誠意を持って菓子を作るようにしています」

 

「ただ誠実にやるだけ」と三好さん。お菓子だけでなく、接客や店内のインテリアなどにもその誠実さが伝わってきます。それが遠方からの来店客が絶えず、リピーターに愛されている理由ではないでしょうか。

<店舗情報>
■店舗名:三好焼菓子店
■住所: 北海道夕張郡由仁町熊本231
■営業時間: 11~17時(緊急事態宣言発出時は11〜16時)
■定休日 :月曜・火曜(祝日の場合は営業)
■公式HP:https://miyoshiyakigashiten.com/
■公式 Instagram:@miyo_yaki