宇宙から帰還したTENGAロボ

インターステラテクノロジズ株式会社「TENGAロケット」成功!打上げ実施後記者会見(全文)

インターステラテクノロジズ株式会社(本社:北海道大樹町。以下、IST株式会社)は2021年7月31日(土)17時、株式会社TENGA(本社:東京都港区。以下、TENGA)と共同プロジェクトとして進めてきた『TENGAロケット』の打上げに成功しました。打上げから3分後の17時3分に最高高度92km(速報値)に到達。IST株式会社としては2021年7月3日(土)に打ち上げられた『ねじのロケット』に続き3度目の宇宙到達、ひと月に2度の打上げ成功となりました。

同日21時より、大樹町にて打上げ時記者会見が行われました。

【記者会見登壇者】

株式会社TENGA代表取締役社長 松本 光一氏

IST株式会社 代表取締役社長 稲川 貴大氏

IST株式会社 ファウンダー 堀江 貴文氏

⇒「TENGAロケット」に関するこんな記事も読まれています

大樹町から今夏2度目のロケット発射成功!「TENGAロケット」打上げに密着

堀江貴文氏「数えきれない努力があった」TENGAロケット成功のIST、ロケット商業化へ

「TENGAロケット」ミッション概要

司会:それではみなさんおまたせしました。改めましてこんばんは。本日は株式会社TENGA・IST株式会社の共同プロジェクト、『TENGAロケット』打ち上げ結果に記者会見お越しいただきまして、ありがとうございます。本日司会を務めます、関本なこと申します。よろしくお願いいたします。

それでは登壇する3名の皆さんに登場いただきましょう。よろしくお願いします。では、登壇者3名紹介いたします。

株式会社TENGA代表取締役社長 松本光一、IST株式会社株式会社代表取締役社長 稲川貴大、IST株式会社株式会社ファウンダー 堀江貴文。

皆さん本日はよろしくお願いします。本日の記者会見は、オンラインでも多くのメディアの皆さまにご覧いただいています。また、YouTubeでもライブ配信しています。配信をご覧の皆様どうぞ最後までよろしくお願いします。

それでははじめに株式会社TENGAの松本より『TENGAロケット』プロジェクトの概要ミッションについて改めてお話しいただきましょう。松本社長よろしくお願いいたします。

松本氏:こんばんは。TENGAの松本です。この『TENGAロケット』はたくさんの人たちの想い、そして宇宙とロケットを愛する人たちの想い、たくさんの人たちの想いが詰まった愛と自由の『TENGAロケット』です。今回、このミッションにあたって、たくさんの試行錯誤と改良を重ねて完成したのが新型の『MOMO v1』です。それが『TENGAロケット』になります。今回その『TENGAロケット』で宇宙に行くだけでなく、国内民間初となります、宇宙空間でのペイロード(=荷物)射出、そして回収というミッションを入れた3つのミッションを同時に遂行しました。そして、たくさんのみなさんにできるだけこのロケットの面白さを感じていただくために、ロケットにたくさんのカメラを付けることと中継システムを改良することで、飛行中の映像を届けることにもチャレンジしました。たくさんの想いをのせた愛と自由の『TENGAロケット』。これが今日チャレンジしました『TENGAロケット』の概要です。

そのまま3つのミッションについて説明したいと思います。1つ目のミッション、こちらに出ております、1,000人分の皆さんの想いを集めて、愛と自由の寄せ書きという寄せ書きにしまして、『TENGAメッセージポット』に入れて、ロケットに乗せて宇宙を目指すと。宇宙空間到達後に宇宙についたら、みなさんの願いを宇宙に解き放つと。これがミッション1です。

続いてのミッションがこちらに出ております、TENGAの公式キャラ『TENGAロボ』。これは新しい宇宙仕様なんですけれども、『TENGAロボ』がロケットに乗りまして宇宙を目指します。宇宙到達後に自らも宇宙空間に飛び出して地球への帰還を目指す、これが宇宙空間でのペイロード射出と回収という大きなミッションになっています。室内カメラや射出口の様子をカメラに収めることにチャレンジしました。『TENGAロボ』が飛び出す瞬間を撮る、窓から外を映す、飛行中の『TENGAロボ』はどうなっているかを皆さんに届けたい、そういったことにみんなでチャレンジした機体になっています。

次が、この『宇宙用TENGA』を作りたいという3つ目のミッション。僕が創業時から、いつかTENGAをNASAで採用してほしいとずっと願っております。今回その第一歩としまして観測用機器をのせた『TENGAロボ』を宇宙に運んで、宇宙に行くまでや宇宙空間での状態のデータを取って、今後の『宇宙用TENGA』の開発に生かすというための第一歩をはじめました。このデータをもとに、今後宇宙用性デバイスのパイオニアを目指していく。これが3つのミッションであります。

「TENGAロケット」ミッション結果

司会:はい。松本社長ありがとうございます。では続いて、『TENGAロケット』の打ち上げ結果についてIST社の稲川社長にお話していただきます。稲川社長、よろしくお願いいたします。

稲川氏:それではここから『TENGAロケット』の打ち上げ結果について、技術的な観点についてご説明します。

まず、こちら打ち上げの様子です。きれいに打ちあがっているところが見て取れるかと思います。見ていただいた通り、離床をきれいにまっすぐ打ちあがっていきます。具体的なデータについて、『TENGAロケット』の打ち上げ結果を速報値をもとにお話いたします。

「MOMOシリーズ」としては、これで7回目の打ち上げになるんですけども、今回の打ち上げで3度目の宇宙空間到達に成功いたしました。打ち上げ時刻は、本日7月31日の17時ちょうど。最高高度としては、約92kmという結果でした。最高高度の到達時刻は、打ち上げから3分後になります。そして着水時刻は、打ち上げから10分後です。着水場所に関しましては、射点より南東に約29.54キロメートルの海上に着水したことを確認しております。これらの数値は暫定値となりますので今後の解析により変動する可能性があります。

今回の『TENGAロケット』の打ち上げによって、「MOMOシリーズ」として2機連続での打ち上げ成功となりました。7月3日に打ち上げました『ねじのロケット』と『TENGAロケット』あわせて2機連続での打ち上げ成功で我々としてサクセスクライテリア(日本語で成功基準)、今夏打ち上げ計画した2機とも定めた仕様での正常に動作することが目標でした。それぞれ各機器、エンジンや通信機などそれぞれが正常にすべて働いたということを確認しております。そのため我々としてロケットの打ち上げは成功となります。以上になります。

司会:ありがとうございます。それでは先ほど松本社長よりお話しいただきました3つのミッションの結果はどうなったのかということについても、稲川社長そして松本社長にお話しいただきたいと思います。お願いします。

松本氏:それではミッション結果についてご説明をいたします。まず1つ目の1,000人分皆さんの想いを宇宙に届けるミッションですけれども、1,000人分の想いをのせたメッセージポットは宇宙に到達しました。そして、射出口から宇宙に飛び出しました。皆さんの想いを宇宙で解き放つ、宇宙から愛と自由を叫ぶ、この最初のミッションは成功しました。

続きまして2つ目のミッションです。『TENGAロボ』が宇宙に行って自らも宇宙空間に飛び出して地球に帰ってくる。メッセージポットと同時に『TENGAロボ』も宇宙に飛び出しました。ただこの回収というのが非常に大変で、飛び出しましたけれども、その後海上に落ちたものを飛行機で見つけて船で回収するというなかなか難易度の高いミッションとなっていますので、まだ答えはわかりません。その答えについてはしばらくお待ちください。宇宙に出るところまでは成功しました。この2つに関して、稲川さんの方から改良もだいぶしていただいて、技術的なことも多いので、稲川さんから説明していただきたいと思います。

稲川氏:今回このメッセージポット及び『TENGAロボ』の放出・射出というMOMOロケットとしても非常に大きなチャレンジでした。射出機構の部分はこれまでMOMOの4号機で試験していたんですけれども、作動まで至らなかったので、我々としても今回はじめてのミッションになります。4号機のときに作ったものよりもさらに大型化して、より大きなペイロードが運べるようにことで改良をいたしました。宇宙空間でモノを動かすのは、かなり大変なことです。ロケットというかなり強い振動環境であったりG環境、強い加速度がかかるような環境、こういう環境を乗り越えたうえで、さらに宇宙空間という特殊な状況の中でモノを動かすところはメカニカル的にも非常に難しいです。これを一発で成功させたのは、事前に十分な試験を行ったり、振動試験、これは松本社長にも立ち会っていただき、十分な試験を行ったことによってはじめて成し遂げられたことだと思っています。この放出に関しても、松本社長に放出のボタンを押していただきました。こちらも地上からコマンドを操作して、宇宙空間に飛んでいるロケットに電波を送信して、それを受けてロケットを動かすという、無線技術的にハードルのあるものですけれども、これも成功させました。遠隔操作の技術としても大きなチャレンジで、これもうまくいきました。

松本氏:これはですね、稲川社長に指示を受けてパチッとやるわけですよ。これ宇宙でしょ? タイムラグがあるんですよ。これ動くのか?っていうこの数秒間は本当に長く感じます。あ、だめかもしれない!って思った瞬間に動いてくれます。ほんの数秒ありますよね。遠いですからね。それもすごく想定の中の時間でぴったりと動いてくれたようですね。

稲川氏:中継に関してもそうですね。そこもばっちりできたのもそうですし、松本社長からもあったようにオペレーションとしても飛行機そして船、それぞれ多くの方に協力してもらって回収ミッションを行いました。ロケットの打ち上げというそれだけに収まらない部分でさまざまに人が動く面で、非常にチャレンジングなものであったと思います。

松本氏:最後もう1つです。国内では民間初となります、機内からのライブ映像配信です。皆さんに臨場感とかロケットの面白さを伝えられるんじゃないか、宇宙に行ったら『TENGAロボ』はどうなるんだろうとか(『TENGAロボ』とともに打ち上げられる)エッグドッグは浮くんじゃないかとかいろいろ予測をしていました。その状況を届けたいなと思って、いろいろ工夫して頑張りましたけど、機内の状況を映し出してライブ配信することもうまくいきました。こちらも国内初のこととなります。

3つ目の観測用TENGAを宇宙に運んでデータを取る、これも宇宙に行きながらもデータを送信してくれる仕組みになっていますので、TENGAの中の状況を宇宙に迎えながら送信してもらいました。宇宙空間についてからも送信してもらい、データをきちんと受信することができました。

ただし終わってすぐこちらの会見になっていますので、データの内容の解析などはまだ終わってません。けれども、貴重なデータをとることができましたのでこれからの『宇宙用TENGA』の開発にしっかり生かしていきたいと思います。稲川さん、説明お願いします。

稲川氏:今回このデータ計測ということで、これまでロケットの機体でも圧力や温度、そして振動環境などさまざまなロケットのデータを計測、そしてテレメトリーで地上に送ることをしていました。今回も同様の技術を用いてこの計測用のTENGAの温度、圧力のデータを計測しております。

データがすでに地上でとれていることは確認済みです。詳細なデータについてはこれからお渡しすることになるので、データ解析についてはTENGAさんのほうにあわせてやっていただくことになります。

MOMOとしてもこのように大容量のデータ、先ほどの映像と合わせて計測のデータが落とせるのは非常に大きな特徴になります。ほかの観測ロケットの例ですとなかなか十分なデータ量が地上におろせないなど、利活用においてはいくつか課題があるのですけれども、映像のような大容量、そしてさまざまなデータが活用できるという実証ができた意味でも観測ロケットMOMOとしての実力がしっかり発揮できたと考えています。

観測ロケット「MOMO」商業化に向けて

司会:3つのミッションの結果についてお話していただきました。それではここで稲川社長からMOMO商業化に向けた説明をしていただきます。

稲川氏:今回の『TENGAロケット』の成功を受けまして、MOMOシリーズはこれまで7回の打ち上げを行っていますけれども、本格的な商業利用へ移ります。

観測用ロケットMOMOについて、昨年から約1年かけてメジャーアップデートしてまいりました。『MOMO v0』といわれていた前のバージョンから『MOMO v1』というバージョンに大きくアップデートしております。

今年の夏『ねじのロケット』『TENGAロケット』2機の打ち上げをしましたが、それぞれ『MOMO v1』のシリーズになります。2基のうち2基成功しておりますので、『MOMO v1』の成功率としては100%です。このMOMOシリーズ、宇宙空間に到達したものとしては国内民間でははじめてですし、現在国内民間ロケットでは唯一のロケットです。今回ペイロードの放出という実験も上手くできましたので、こちらも国内民間でははじめてのミッションの実績になります。また、機体からのライブ配信、しかも映像のライブ配信ができたことでこちらも国内民間でははじめてのものになっています。

今回の『MOMO v1』シリーズの2回の成功をうけて、これまでとしてMOMOを打ち上げて実験・実証していく段階からロケットを活用していく、そういう時代に大きく変わっていくと考えています。観測ロケットとして科学利用、広告PR、そしてブランディングなど新たな市場を開拓できると考えております。

我々IST株式会社そしてMOMOとして世界一低価格を目指しております。ロケットは非常に高い内製率で我々IST株式会社がつくっております。そして設計・製造・打ち上げまで自社で一気通貫に行っております。さらに、低価格にしようと部品点数の削減をこれまで行ってきています。また、バージョンアップして、高い信頼性も大きなコンセプトにしています。

今回、2回の打ち上げに連続で成功したことで実証できたと思っていますし、これは1年間の全面改良のおかげだと考えています。今回7月の間に2回の打ち上げが成功裏に終わったので、このようなペースで打ち上げができることも1つ実証できました。また、量産化、そして放出や映像などがダウンリンクできるなどさまざまなミッションに対応できる意味でもロケットを活用する時代になってきたと考えております。

我々IST株式会社としても昨年2020年12月に新工場・事務所ができたり、量産体制の土台ができたと考えています。新工場が完成したことで今までは1機ずつでしたがMOMOが複数機同時に製造が可能になりました。そのため、今回のようにひと月のうちに2回打ち上げることが可能になったのです。さらに『MOMO v1』というメジャーアップデート化の中で部品のユニット化を進め、その中も組み立て作業を効率化できています。そういったところが量産化にきいてきます。

また、打上げ射場として、地上の設備を大きく刷新しております。高頻度の打ち上げにも対応できるような設備になっています。先ほど射場行って確認しましたが、ロケット打ち上げの後に壊れているような箇所はかなり限られていて、交換すればすぐに打ち上げに対応できる射場になっていました。打上げ射場としてレベルアップしているといえます。そして今回設計の変更、運用の見直しなどを行い、オペレーション・運用を大幅に改善しています。今年の夏の2回の打ち上げがオンタイム(予定日の間)で成功したことも運用の改善のおかげであると考えています。

そして今年の4月から「北海道スペースポート(HOSPO)」が本格始動ということですが、大樹町含めて多くの方とIST株式会社で進めています。2度目の打ち上げ成功で「HOSPO」の計画も大きく前進すると考えています。

TENGAロボ帰還

(TENGAロボが会場に登場)

TENGAロボ:ちょっとどうなってるんですか!? 海でずっと待ってたんですよ! 基本ロボなんですよ! 塩水苦手なんですよ! 勘弁してくださいよ~。

司会:あれ、『TENGAロボ』がこの会場に到着したということは社長……?

松本氏:はい、これ本当に今です。今きました。

司会:ワカメと昆布とともに登場しましたよ!

社長、その布の中には何が入っているんですか?

松本氏:『TENGAロボ』宇宙空間に飛び出し、到達しました。そのあと回収するのは夕方までに飛行機で見つけて船で回収するという難易度の高いものです。夕方になると見つからなくなるので急いで探しました。

会見に間に合うかわからなかったのですが、今到着しました。なので結果はどんな状態か僕も見ていません。わかりませんが、あけますよ……!

(「宇宙に行ってきました」と書かれた旗を持った『TENGAロボ』が現れる)

松本氏:ミッション成功です!

司会:民間初の宇宙空間でのペイロード射出そして回収ミッションが成功しました! お帰りなさい、『TENGAロボ』!

松本氏:シーマーカー(海面着色剤)というのを使っているので、色が取り切れていないんですよ。今ついたものを洗って、『TENGAロボ』はTENGA形態(『TENGAロボ』はTENGA形態から変形している)で落ちてきているので、それを広げて頭の中にエッグドックをいれてきましたので、今そのエッグドッグを組み立ててこの状態、これがまさにいま宇宙から戻ってきた『TENGAロボ』です!

みなさん、ぜひ大きな拍手で『TENGAロボ』を迎えてください。

司会:『TENGAロボ』、そしてエッグドッグが返ってきました! 本当にミッションお疲れさまでした!

では、稲川さんよりこちらも具体的な説明をいただきたいと思います。

稲川氏:こちら、登場してもらいました『TENGAロボ』は、MOMOに搭載していた本物の『TENGAロボ』です。ロケット打ち上げ後、頂点高度で放出しました。その後『TENGAロボ』の放出も確認できまして、着水地点を航空機で探しました。その後、シーカマーカーの位置を探し、その場所に船で回収に向かいました。大樹漁協さんに回収されたのが、8時半から9時前、その後急いで持ってきてもらって今ここにあるということになります。本当に今ちょうど到着しました。

司会:それでは無事地球に帰還した『TENGAロボ』、みなさんに一言お願いします!

TENGAロボ:無事に帰還できて本当に良かったです! みなさんの応援のおかげです!

堀江さん、稲川さん、松本さん、スタッフのみなさん、そして応援してくれた皆さん、本当にありがとうございました!

司会:おめでとうございます!『TENGAロケット』の打ち上げ、そして3つのミッションも無事に成功しました。松本社長、今の気持ちを改めてみなさんにお願いします。

松本氏:本日は本当に素晴らしい打ち上げをありがとうございました。たくさんのみなさんの想いとたくさんの試行錯誤、ロケットや宇宙を愛する人たちの想いのおかげです。本当にありがとうございました。

想いがモノをつくって、想いが現実をつくって、想いが未来をつくります。想いを持つこと、好きなことをつづけること、本当に大切だと思っています。

互いを思いやること、感謝を忘れないこと、互いを認めあえること、喜びあえること、本当に大切だと思っています。なぜなら、それが愛と自由につながると本気で信じているからです。これからもTENGAは愛と自由へのチャレンジを続けていきます。

今日があるのはみなさんのおかげです。本当にありがとうございました。

IST株式会社・堀江貴文氏より

司会:松本社長、ありがとうございました。最後に堀江さん、一言いただけますか?

堀江氏:ロンドンブーツ1号2号の(田村)淳さんの番組で松本さんと共演したときに「ロケット飛ばしませんか?」っていうお話をして、ものづくりに理解があって共感できるパートナーであったことがあってとんとん拍子に話が進みました。

演出や映像制作に松本さんが非常にこだわりをもって作られていて、すごい立派なものを作られているけど失敗したらどうするんだろうなってちょっとドキドキしていた部分はありました。

なので無事に終わって、私的にはほっと肩をなでおろしています。正直『TENGAロボ』も回収できるかなとか思っていたのですが、無事回収できて良かったです。

我々としても裏でいろいろな努力をしてきたこれまでの積み重ねがこの結果を生んだと考えています。

私たちが持てるリソース全てをつぎ込んで、回収もどうしたらもっと確実性をあげられるのかなど、技術面、運用面で数えきれないくらいの努力とその人たちの結果としてこれができたことを誇りに思いますし、松本社長以下TENGAのスタッフの方々がいてこそこの結果が生まれたのかなと。

松本さん今日お誕生日なんですよね。前の週に打上げをしようとしていたのですが、たまたま1週間打ち上げを延長して素晴らしい天気で打ち上げもできました。

松本氏:何回も北海道来ているんですけど、今日はじめてこれが北海道の空だと思いました。美しい。

堀江氏:こういう日に打ち上げができたということももって生まれた強運みたいなところもあると思うので、そういうところも含めて1年延期したのも、延期自体はすごくイヤだったけれど、その結果こういう結果が生まれて本当に良かったと思います。本当にありがとうございました。

松本氏:とんでもないです、ありがとうございました。

司会:堀江さん、ありがとうございました。

そして本日大樹町長より祝電をいただいておりますので、こちらでお読みいたします。

『TENGAロケット MOMO6号機』が本日「北海道スペースポート」の『Launch Complex-0』から予定通り、午後5時ちょうどに打ち上げられ、今月3日『ねじのロケット MOMO7号機』に続き連続で宇宙に到達したことにつきまして、大変うれしく感激しております。

IST株式会社に置かれましては、昨年から「MOMO」の全面改良に取り組まれ、性能・信頼性の向上を図った結果が本日の連続成功に結びついたものでありISTの皆さまのたゆまぬ努力に敬意を表すると共にお慶び申し上げます。

今回の成功は今後のMOMOの商業打ち上げ、および軌道投入ロケット「ZERO」の開発に大きく前進するものと思っております。

また、本日の打ち上げにご協力頂いた町民の皆様、漁協はじめ、関係各位に感謝申し上げます。

宇宙のまちづくりを進め、北海道スペースポートの整備に取り組む大樹町においても大きな弾みとなり、当町も今後より一層邁進していきたいと思っております。

令和3年7月31日大樹町長、酒森正人様よりいただきました、ありがとうございました。

質疑応答

———『TENGAロボ』の回収に関してですが、放出した高さが大体何kmでしょうか。見つかった地点、船での回収時刻がわかれば教えていただきたいです。

稲川氏:放出高度については、頂点高度近くになります。具体的な数値については今後になりますけれども、約92km。ほぼ頂点に近いところで放出できたと考えております。着水地点、回収地点、時刻に関しまして手元にデータがありませんので後ほど広報のほうからご回答させていただきたいと思います。

———先ほど、具体的な商業利用がはじまるとおっしゃっておられましたが、具体的にどんな商業利用が想像されますか。

稲川氏:具体的に決まった段階で出していきたいと思っております。

大きくはサイエンスミッションというところですね。これまでも高知工科大学さんのように大学の先生に使っていただきました。大学の先生や研究所の先生と話しておりますので、科学ミッション・サイエンスミッションというところが考えられます。

また、今回の『TENGAロケット』のようにブランディング・PRという観点で使ってもらう話が上がっておりますので、こちら決まっていけば我々としてもMOMOが使ってもらえていいなと思います。

———今後については、2023年に今度人工衛星を搭載したものを目指していると思います。それも含めて決まっている打ち上げのスケジュールなどがあれば教えてください。

稲川氏:決まった段階で公表したいと思いますので、現在の具体的な数字は出していないです。今年すでに2回の打ち上げを行っていますが、この打ち上げの回数・サイクルはどんどん加速させていきたいと思っております。

———カーマンラインの件で、80km以上上空まで飛んだことで今のままでも十分運用できる宇宙空間への到達だと思います。今後の商業利用の量産化に関してさらなるエンジンなり機体の改良などは考えていらっしゃいますか? それともこのまま量産化されていくのでしょうか?

稲川氏:MOMOのロケットに関しても、細かいところの改良はいくつかすぐにできるところもあるのと思っておりますので、ミッションによって大きく変わってくると思っています。

高度に関しても、低い高度でいいようなミッションから電離層というもっと高いところまで必要なミッションまでさまざまあると思っていますので、利用に合わせて変わってくると思います。

具体的にこう変えるというのが決まっているわけではなく、利用の方法においてそれぞれ考えていきます。ここを変えればこう変わる、みたいなところはわかっておりますので、それは民間企業として開発の時間や費用などを考慮しながら決めていきます。

———ペイロードの中継映像がこれまでのオンボード映像よりもすごくきれいで安定したように見えました。カメラや通信系は何か変えたのでしょうか?

稲川氏:ここは非常に我々としてもチャレンジしました。まず、これまで中継では、エンジンのある機体の下にカメラを搭載しておりましたけれども、今回中継していた映像とは周波数がまず異なります。大容量が送れるような周波数でデータを送っています。

東京大学との共同研究の枠組みで、大樹町内にあるパラボラアンテナを使わせていただいて高いレートデータをとれるような仕組みを作り上げたことで、高画質な映像中継になりました。

こちらも『ねじのロケット』のときに実証していたんですけれども、今回ミッションとして映像まで配信できたのは大きな成果だと思っています。

———TENGAとして今回で宇宙プロジェクトは終了なのか、この先想定していることはあるのかお聞かせください。

松本氏:今回得られたデータがどのような内容かこの後精査します。今すでに『宇宙用TENGA』進めています。内容はいえませんが、宇宙で使うことを想定して進めています。今回、圧力や気圧、何Gまで耐えられるようにしないといけないかなどいくつかのことがわかるのでそこに耐えうるものにしようとなります。今進めているものにプラスしてさらにどこを強化するのかがわかってきます。進んでいる過程の中でモノをつくっていくには使われている環境にもっていくことが必要になることもあると思います。開発上有効な場合はその手段をとります。必要なデータをとるときに再度使わせていただく可能性はあります。

———今月2回の打上げをもってMOMOの開発は完全に確立できたといえるのでしょうか。

稲川氏:ロケット開発において一度開発して改良しないという方法もトラディショナルな方法としてよくいわれるんですけれども、我々は民間ロケットとして改善していきたいと思っています。ですが当然、どういう活用されていくかが大事ですし、人工衛星打上げの軌道投入に開発の主眼をおいていきたいと思っていますので、人工衛星の開発に開発リソースは注いでいきたいと思っています。

堀江氏:『ZERO』に関しての開発が本格化していく感じです。コアな部品の開発も重要なのですが、地上の設備、試験設備・射場設備なども全部やっていかなければならないので、人が足りていない状況です。そこにフルコミットできるようになると開発は加速するでしょうね。MOMOをいつでも打ち上げられる状態をミニマムで維持しながら、『ZERO』も開発できる体制が整ったということです。

———今回回収したペイロードの質量を教えてください。今後回収ミッションで質量を増やすことは検討されていますか

松本氏:『TENGAロボ』の質量は50g程度です。コックピットが750gくらい、メッセージポッドと『TENGAロボ』で100gくらいなので合計850gくらいでした。

稲川氏:大きさが大事になってきます。今後大きくできるかはミッションによりますが、データのカードや実験サンプルも回収できるものもあると思うので、まずはできる範囲内でのミッションが当面の目標になってきます。

これ以上大きいもので考えると大きく技術開発が必要になると考えられますのでできるタイミングで開発に踏み込むか判断していきたいと思います。

———今回1,000人の皆さんのメッセージと一緒にケンドーコバヤシさんなど『TENGA茶屋』出演者のメッセージも宇宙に放出しました。宇宙から放出されたメッセージにはどのようなメッセージがありましたか。

松本氏:男性も女性も、年配の方も海外の方からもメッセージが集まりました。覚えているのでいうと、「大学受かりたい」「彼女がほしい」「次の試験合格したい」「医者になりたい」。お子様からは「将来〇〇になりたい」というものもありました。あとは「はやくコロナが終わってほしい」「みんなとご飯を食べたい、遊びたい」というものはたくさんありました。それぞれ願いは違いますし、活字もあれば手書きでくださった方もたくさんいました。絵を書いてくださる方もいました。それぞれたくさんの想いのこもったメッセージをいただくことができて、それをそのまま小さくしたかったので、紙にいただいたものをそのまま小さく印刷してメッセージポッドにいれましたので、みなさんからもらったメッセージをそのまま宇宙にもっていって解き放つことができました。今回たくさん応募いただいてうれしかったです。ありがとうございます。

堀江氏:(お笑い芸人・アインシュタイン 稲田さんの)髪の毛どうなったんですか?

松本氏:宇宙で解き放たれたのでもうないです(笑) どこかにいってしまったのでないです。

堀江氏:あれだけいっていたのに誰もいわないからかわいそうだなと思って。

松本氏:毛のことを言い忘れてしまいました(笑) 稲田さん申し訳ございません。毛は責任をもって宇宙へ届け解き放ちました。そして宇宙のどこかに行ってしまいましたので、もうわからないのですが、稲田さんからちゃんともらってメッセージポッドに入れましたので稲田さんの一部はしっかりと宇宙に行きました。とっても価値のあるすごいことだと思います。いつか稲田さんの毛がどこかにたどりつき、何かが生まれるかもしれません。稲田さんのクローンとか生まれるかもしれません。その日を楽しみにしばらく待ちたいと思います。

もう一個、『TENGAロボ』が宇宙から高度から落ちて、着水するから、着水するときには手足バラバラになってしまうかもしれないとか考えていたんですが、なるべくそういうことがないように外装をフィルムで固めてはいましたけれども、あれだけの距離を落ちてくるから衝撃もあるでしょうし、軽いからどこまで抑えられるかということもありましたが、手も足もついて無傷な状態でくることができました。軽いとそれだけ衝撃も少ないですね。

無傷で返ってくることができてとてもうれしいです!

※本記事は記者会見での発言を文字に起こしたものです。言い回し等編集の都合上変更している場合がございます。

【画像】インターステラテクノロジズ株式会社

⇒「TENGAロケット」に関するこんな記事も読まれています

大樹町から今夏2度目のロケット発射成功!「TENGAロケット」打上げに密着

堀江貴文氏「数えきれない努力があった」TENGAロケット成功のIST、ロケット商業化へ