お気の毒に…ってだけじゃない!北海道民が使う「いたましい」はちょっと違う意味
「いたましい」というのは、悲惨な出来事に対して「気の毒だ」「痛々しい」といった意味で使われる言葉です。しかし、北海道民はちょっと違う意味で使います。
捨てちゃうなんていたましい!
たとえば「捨ててしまうなんていたましい」「いたましいから取っておいて」なんて使います。さて、どんな意味だと思いますか?
正解は…
「いたましい」は北海道の方言で、「もったいない」「惜しい」という意味です。物に対して使います。さっきの文章は、「捨ててしまうなんていたましい(もったいない)」「いたましい(もったいない)から取っておいて」という意味でした。
ちなみに「いたましくない」は、「もったいなくない」「惜しくない」というそのまま反対の意味として使えます。
筆者と同世代の20~30代で言うことはほぼありません。親や祖父母世代の50~60代以降の人が使っているのを聞いたことがあります。
東北地方でも使う
東北地方の6県(青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県)でも、「いたましい」を同じ意味の方言として使っているようです。北海道も含めて近い地域の人たちと話しているときには、方言だとは気づかず「いたましい」を使っていることがあるかもしれませんね。
例文で「いたましい」を実践!
では、例文で「いたましい」を実践していきましょう。
例)この車は長く乗ってきたから、手放すのがいたましいよ
この車は長く乗ってきたから、手放すのが惜しいよ
例)あの帽子、買ったばかりなのになくしたの? いたましいね~
あの帽子、買ったばかりなのになくしたの? もったいないね~
標準語でも北海道弁でも、「いたましい」事態は避けたいところ。物を大切にする気持ちを忘れず「いたましくない」ようにしたいですね。
【参考】
北海道語について(Ⅱ) -十勝の方言を中心にして-
『東北地方の外国人住民のための「くらしの方言集」』作成に向けた語彙・文法事項の使用実態調査 / 武蔵野大学学術機関リポジトリ
【画像】Daisy Daisy、shisu_ka、Gestalt Imagery / Shutterstock.com