加藤朝彦さん

移住コーディネーター加藤朝彦。「地域の魅力は人の魅力」喜茂別から地域を面白く

2021.05.17

突然ですが、皆さんは札幌と隣接している市町村をすべて答えられますか? 恥ずかしながら筆者は、パッとは答えられそうにありません。今回はそんな札幌に隣接する市町村の一つ・喜茂別町に移住した加藤朝彦さんをご紹介。ご自身が喜茂別町に魅せられた経緯や、これからのプロジェクトについてお話を伺いました。喜茂別町から何かが動き出す予感がします。

加藤朝彦(かとう・ともひこ)札幌市出身。大学進学を機に上京。13年間東京で暮らしたのち、子育てをきっかけに2017年8月に喜茂別町に移住。地域おこし協力隊として活動後、2019年5月には「coffee&sharespace tigris(チグリス)」を開業。移住スカウトサービス「SMOUT」のカスタマーサクセスとして運営にも関わりつつ、移住受け入れを行う移住コーディネーター。喜茂別町を拠点に“地域と人の想いに寄りそう”ことを大切にしながら試行錯誤中。

喜茂別町との出会い

加藤朝彦さん

今回の取材はオンラインで行いました。

北海道LikersライターFujie:加藤さんは札幌ご出身で、東京の大学に進学、就職されていますが、現在は喜茂別を生活の拠点にしています。喜茂別町へ移住するに至ったきっかけを教えてください。

加藤さん:移住した理由は大きく3つあります。

1つ目は、子育ての環境です。

上京するときに、周りの友人と“将来北海道を盛り上げるようなことをみんなで一緒にできたらいいよね”という話をよくしていました。北海道から東京など本州に出ていった人たちはそこで得た経験やスキルを北海道に還元して、将来みんなで仕事したいねと夢物語のように語っていたんです。なので、いずれ帰ってきたいとずっと思っていました。

そんななか、東京で自分の子どもが待機児童になってしまったり、周囲に子どもを遊ばせる公園があまりなかったりして、東京で子育てをし続けるということに対してネガティブな印象を持ってしまったんですね。

せっかく移住を考えるなら、子どもには自然豊かなところでのびのびと四季を感じながら過ごしてほしいと思い、北海道の田舎町を選択肢にしました。

2つ目は、僕や妻の仕事が住む場所にとらわれないものだったことです。パソコンとインターネットが使える環境さえあればよかったので移住に大きな障壁はありませんでした。

そして3つ目は、そのなかで喜茂別町を選んだ理由ですが、ビジネス的な可能性を感じたからです。

喜茂別町は札幌の隣町なのですが、多くの方が喜茂別町周辺のニセコやルスツといった観光地や札幌市、新千歳空港に行くのに通り過ぎるだけなんです。交通量はものすごく多いのに、その足を止めることができていない。その中間地点である喜茂別町をもう少し盛り上げられたら、距離があって分断されている観光地を地続きの大きな文化圏に変えられるんじゃないかと思ったんです。

あとは単純に、羊蹄山を目の前にして暮らしたいなあというのがあって(笑)

喫茶店のない町に人が集まる場所をつくる

北海道LikersライターFujie:喜茂別町に移住してから、カフェのあるシェアスペース『coffee&sharespace tigris(チグリス)』をオープンしました。積極的な活動をするに至ったきっかけは何だったのですか?

加藤さん:元々東京にいるときから人が集まれるコミュニティをつくりたいとはずっと考えていたんです。

僕は地域おこし協力隊として喜茂別町に来たんですが、活動するなかでいろんな地域の方とお話しをして、町の中心地に10年くらい喫茶店がなかったことを知りました。ふら~っと立ち寄って友達とお話をする場所や軽く休める場所が欲しいという話も聞いて。町民のニーズがあるならそういう場所をつくろうと。あとはカフェであれば町外の人にも足を止めてもらうきっかけになるかもと思いました。

町内の交流拠点として、町内外の人・町をつなぐ接点として、ハブみたいな場所になればいいと思っています。

北海道LikersライターFujie:地域おこし協力隊をされていたのですね。協力隊だったからこそやりやすかった面もあったのではないでしょうか?

加藤さん:そうなんですよ。地域にただ移住するのでもよかったのですが、移住してすぐに知り合いをつくるというのはなかなか難しいかなと思ったので、人脈づくりの意味合いも込めて協力隊になったんです。

活動していくなかで「僕は人が集まれるような場所をつくりたいんだ」という想いの丈をいろんな方に話す機会が多くあったので、僕の想いを知った町の方が協力してくれました。『coffee&sharespace tigris(チグリス)』は、町の方が「あそこの物件、もうじき空き家になって取り壊しをするらしいよ」と教えてくれたことがきっかけで、ここに開くことになりました。協力隊を経験したからこそできたことでしたね。

喜茂別町を拠点に地域のプレーヤーを増やしたい

北海道LikersライターFujie:今後はどんな活動をされていくのでしょうか?

加藤さん:現在は移住受け入れを行う移住コーディネーターをやりつつ、移住スカウトサービス「SMOUT」のカスタマーサクセスとして運営にも関わっています。

最近はずっと、移住の検討の段階から定住までシームレスにサポートできるような仕組みをつくれないかと考えています。移住をする人にはそれぞれの移住への想いやライフプランに合った町とマッチしてもらい、これまでの経験やスキル、想いをもとに移住先でチャレンジしやすい環境を提供したいと思っていて。

実現のために、喜茂別町で日々さまざまな施策を行っており、3月には北海道内の自治体と「移住相談会」を企画しました。今後は、地域内の魅力を発掘、差別化のためのワークショップなどを実施予定。

現在は、喜茂別町について知ることができるオンラインミーティングやオンライン個別移住相談などに取り組んでいます。また、滞在場所のアテンドや滞在プラン作成などのサポートも行っていますよ。

⇒加藤さんの取り組みの詳細はこちらをクリック

自分が移住者であり、移住コーディネーターでもあり、そして、移住のプラットフォームである「SMOUT」の運営サイドでもあるので、今までいろいろな立場で“移住”と関わってきました。そんな僕だからこそできる移住の在り方を提案していきたいですね。

北海道LikersライターFujie:移住者が増えていく地域は面白くなりそうですね。加藤さんにとって地域の魅力とは、そして喜茂別町とはどんな存在なのでしょうか?

加藤さん:そうですね、地域を面白くする人が一人でもいれば、その分町の魅力は増えていくと思います。だからこそ地域にはやっぱり魅力的で活動的に動くローカルプレーヤーが必要です。誰もがチャレンジしやすい環境を提供して、未来をつくるプレーヤーのお手伝いをしていきたいです。

僕にとっての喜茂別町は暮らしの拠点であると同時に、これから地方創生に向けて試行錯誤を繰り返していくラボのような場所でもあります。

 

―――かつて友人と語り合った夢物語を、現実にしようと挑戦し続ける加藤さん。喜茂別町からローカルプレーヤーを増やし、地域の魅力を増やしていく。その想いに共感する方は多いはずです。

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