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ドット道東理事・神宮司亜沙美。道東に散らばる想いをつなぎ可視化する

「#dotdotoを読んで」Twitterでこのハッシュタグを目にした方は多いのではないでしょうか。もしかしたらツイートした方もいるかもしれません。このムーブメントを生み出したのは一般社団法人『ドット道東』。道東各地のクリエイターをつなぎ、地域の課題解決を行う団体です。

今回は『ドット道東』理事の神宮司亜沙美さんに、『ドット道東』結成のきっかけや、道東のアンオフィシャルガイドブック『.doto』を制作した理由、今後の展望についてお話を伺いました。

神宮司亜沙美(じんぐうじ・あさみ)。1985年生まれ。北海道大樹町出身。2015年に家族でUターンし、大樹町地域おこし協力隊に着任。2017年株式会社『キタテラス』を立ち上げ、地域のコミュニケーションをデザインしている。道東のアンオフィシャルガイドブック販売など、道東をクリエイティブで盛り上げる一般社団法人『ドット道東』の理事も務める。

点在していた想いがつながった

北海道Likers編集部:一般社団法人『ドット道東』を立ち上げたきっかけを教えてください。

ドット道東神宮司さま

今回の取材はオンラインで行いました。

神宮司さん:立ち上げメンバーは5人。それぞれ北見、釧路、十勝と各地で活動していました。一緒に何かしようとなったきっかけは『道東誘致大作戦』。『ドット道東』代表の中西くんの声掛けで、2017年の2月に、東京からゲストをお招きして2泊3日で北見のアテンドツアーを行ったんです。

その後、釧路や十勝でもトークイベントを実施するなど、ご縁がつながっていきました。この2年間で新しい出会いがすごく増え、道東に想いのある人たちの顔が見えるようになってきたんですよね。

そこから「この一連の流れに名前をつけたいね」という話になり『ドット道東』が誕生しました。事業計画をつくって利益を追求する会社というよりも、人が集まることを大事にしたかったので、一般社団法人として立ち上げています。

社名には道東に散らばっている点と点を集めて新しい道東の形をつくろう、そして道東の新しいドメインをつくろうという意味を込めました。

現在はガイドブックの販売と並行して、自治体や企業のクリエイティブ支援事業を、そのときどきに最適なプロジェクトチームを組みながら行っています。

つながりを可視化したガイドブック出版

北海道Likers編集部:道東のアンオフィシャルガイドブック『.doto』もすごくつながりを感じる1冊でした。なぜガイドブックをつくることになったのでしょうか?

神宮司さん:今まで出会ってきた人たちや活動の集大成になることをしたいという話から始まりました。最初は、イベントをやる案も出ていたのですが、それだと来られない人もいるし、一過性になってしまう。そこで出てきたのがガイドブック。単なるガイドブックではなく、関係性のガイドブックを出したいねと。

だけどそこから、最終的な形になるまですごく大変でした。「誰もがおすすめするスポットは載せなくていいのか」とか、何度も議論を重ねて。私たちが出した結論は、“偏った”ガイドブックでいいじゃないかということ。暮らしている私たちが本当に紹介したいことや場所を集めようということになりました。どのページも、編集メンバーやクリエイターの視点を通して見る道東という切り口をブラさずにつくっています。

ページごとにクリエイターや編集者が魂を込めているので、全ページ全力投球。いい意味で、こってりした1冊になっていると思います。

北海道Likers編集部:とても大きな反響がありました。ガイドブックを通して新たなつながりや未来への可能性を感じる出来事はありましたか?

神宮司さん:正直ここまで反響があると思っていませんでした。2~3年かけて売ろうと思っていた在庫が、1~2ヵ月でなくなってしまったんです。

ガイドブックを通して道東のつながりを見える化したことで集まってきたのは、今まで知らなかった道東への想いを持つ人たちの声でした。

『.doto』を手に取ってくださった方々が、“#dotdotoを読んで”というハッシュタグをつけてツイートしてくださっているのですが、「道東を離れて就職した後、地元に帰りたいと声を大にして言えなかった。でも、ガイドブックを読んで地元に帰りたいと思っていいんだと感じた」、「道東って知られていないだけで、素敵だよねって改めて思った」など。

顔の見えるつながりをガイドブックで可視化したことで、今度はインターネット上で道東に想いを持つ人たちの“想い”が可視化されたことは、とても意味があったなと思っています。

今後はその人たちの道東の解像度を高くしたり、リアルな点と点をつなげたりしていきたいです。

課題を解決し続けることで広がる輪

北海道Likers編集部:『道東誘致大作戦』をきっかけに、社団法人の立ち上げ、ガイドブックの出版など、数々の取り組みを続けていらっしゃいます。その原動力はどこにあるのでしょうか。

神宮司さん:『ドット道東』の活動は、道東で暮らす人たちの課題を私たちなりに解決して、期待に応え続けてきた結果なんです。

道東には地方ならではの課題が山積していて、それが尽きることはないのだと思います。そこに『ドット道東』がお手伝いできることがあるなら、やっていきたい。

道東ではたらく

最近始まった求人マッチングプロジェクト。人材不足の地域企業と若者をつなぐ。

『ドット道東』の周りにいる人たちや、これから新しく仲間になる人たちと一緒に何かすることで、道東がもっと面白くなったり、道東を面白くしようとする人たちが増えたり。

そういう輪が広がって、最終的にはそれが道東のみんなのコミュニティになったらいいなという想いが原動力になっています。

地域で地域の課題を解決するために

北海道Likers編集部:地元・大樹町にUターンされて5年。神宮司さん個人では、どのような想いでどのような活動をされているのですか?

神宮司さん:大樹町は人口約5,700人の小さな町。年々、地域のコミュニティが減少している中で、私は教育委員会に所属して、学校を軸に地域をつなぐ活動を続けています。ここでも『ドット道東』と同じく大切にしているのは人のつながり。人とのつながりが多ければ多いほど、課題を解決するアプローチが増えていきます。

世代、性別、職業、すべてが違う地域の人の存在をどれだけ解像度高く捉えられるかもとても重要です。解像度が高まることで、今までは外の人を呼ばないと解決できなかった課題が、地域の中で解決できるようになっていきます。

道東での仕事は、多様なスキルが求められるので大変ですが、すごく面白いです。家族や友だちなど、目に見える人の暮らしに豊かな影響を与えられている実感が、何よりもやりがいになっています。

―――最後に道東への想いを尋ねると「道東の中には、まだまだ全然知らないことがたくさん。住んでいる私ですらそうなんだから、外の人はもっとそうなんだろうなって。だから、まずは私自身の道東への解像度を上げていきたいです。私にとっては、解像度を上げる=人をつなぐこと。みんな“何もないよ”って言うけれど、それは解像度が低いだけだと思うから」言葉を紡ぐたび、その場を優しく、温かい雰囲気に包む神宮司さんだからこそ、散らばる強い想いをひとつにつなぐことができるのだと思いました。