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ドローンとAIで「スマート酪農」を実現!? 北海道牛乳のさらなるおいしさに期待

札幌に本社を置く、株式会社INDETAILと、株式会社宇野牧場(北海道天塩郡天塩町)が、酪農における乳牛の放牧をドローンとAIで行う『スマート酪農』の実証実験を行うことが決定。

酪農とAIは相反するように感じられるかもしれませんが、”放牧”での酪農を広げるにあたり、大きな役割を果たすんだとか。

搾乳の自動化においてはすでに多くの酪農家が取り組んでいますが、牧草の管理においては未だ自動化が進んでいない部分。『スマート酪農』によって、酪農業はどうのように変化していくのでしょうか。

「放牧」によって栄養価が高い牛乳の生産が可能!?

北海道は気候が良く広大な土地に恵まれており、酪農業にとっては最適な地域です。酪農には大きく分けて”放牧”と”舎飼い”という2つの様式がありますが、この広い土地を持つ北海道でも”放牧”を取り入れている牛飼養者は半数ほどしかなく、全国的に見れば国内の牛飼養戸数の2割以下まで落ち込むのだそう*。

”放牧”は”舎飼い”とは違い、牛が病気にかかりにくいというよさがあり、生乳の品質は栄養価が高く、草の香りがあり後味が軽やかになるともいわれています。また、低コストや省力化といったメリットもあることから、日本では近年、農林水産省によって放牧が推進されるといった動きもあるそう。

課題を抱える「放牧」の現状

天塩町で酪農を営む宇野牧場は、創業以来20年以上にわたり”放牧”での生乳づくりにこだわっています。しかしながら、160ヘクタールもの広大な牧草地で行う放牧には、牧草の管理(生育状況の把握・草刈り)やその日の放牧エリアの区画整理といった大変な管理業務が必要です。365日対峙しなくてはならない乳牛の管理も抱える中で、人手不足により多忙を極めるだけでなく、後継者不足にもまた悩まされているのが現状なのだとか。

また、宇野牧場では放牧地を移動する際にバギーを利用しますが、ほぼ自然の地形を活かした放牧用地ではバギーの激しい揺れや横転による事故リスクがつきものです。さらに敷地内には電気柵が点在しており、この柵への誤接触も絶えません。

「ドローン×AI」で安心安全で効率的な放牧が可能に!?

酪農における乳牛の放牧をドローンとAIで行う『スマート酪農』の機能は主に2つ。ひとつ目は、最良な草地を自動選定する機能。宇野牧場が持つ広さ160ヘクタールの広大な放牧地を区画し、ドローンが各区画の牧草を撮影。その撮影データから牧草の生育具合をAIで自動判別し、その日の最良な放牧エリアを選定します。ふたつ目は、放牧エリアのゲートを自動制御する機能。各区画の境界線にはリモートで制御可能なゲートが設置されており、AIが放牧エリアを選定したあとは、各ゲートの開閉によりその日の放牧エリアを自動形成します。

『スマート酪農』により、時間短縮や人件費の削減はもちろん、牧草地の利用効率を高めたり、乳牛に適正な牧草量を提供することができるため、乳牛の健康維持にも貢献することができると考えられています。また、人に代わってドローンがフィールド内を回遊することで、スタッフは横転などの事故リスクから解放され、より安全な環境で酪農運営に携わることができます。さらに、ドローンで撮影された画像や動画をビッグデータとして蓄積し、フィールドの状態を長期的な視野で分析可能とすることで、これまでよりも安定した牧場経営の実現を図ることが可能となります。

 

2020年9月下旬~10月上旬ごろよりスマート酪農の実証実験を開始予定。北海道での乳業は、増産意欲は高いものの運営コスト増や後継者不足といった課題もあります。先進技術を取り入れたスマート酪農の基盤を作ることで、安定した事業継続や酪農の魅力の向上につながっていくでしょう。北海道牛乳のさらなるおいしさにも期待が高まります。

 

【参考】
酪農にスマートを。良好な牧草地をドローンとAIが選定し、牛の移動ルートを自動形成。INDETAILと宇野牧場が秋にも実証実験 / 株式会社INDETAIL

【画像】
tkyszk、ttn3 / PIXTA(ピクスタ)

* 農林水産省「畜産統計(平成30年)」より、肉用・乳用の合算値で算出