小さな世界から大ヒット続々!「区民限定缶バッジ」を生んだ会社の気になる作品たち
現在、小さなカプセルのなかにフィギュアなどが詰め込まれた“カプセルトイ”が大人気。キャラクターものはもちろんのこと、家具や家電まで揃い“ないものはない”というくらい種類が豊富です。
「株式会社トーシン」(本社・帯広)は、北海道らしいカプセルトイを製造販売しています。どのように企画され、商品化に至っているのか、宮本社長に話を伺いました。
カプセルに夢を詰める会社「株式会社トーシン」
「株式会社トーシン」は、1975年に帯広で創業しました。ゲームセンターや喫茶店などに業務用ゲームを納入していましたが、1978年からカプセルトイの設置や販売を手がけるように。「カプセルトイ専門店#C-pla(シープラ)」を全国で展開するほか、2018年12月に発売された缶バッジが起爆剤になり、北海道らしさを感じさせるオリジナル商品の製造販売にも力を入れています。
地域限定バッジがムーブメントを起こす!
ある日のこと、パートの佐藤真実子さん(当時)は、宮本支店長(当時)から「倉庫に眠っているバッジ製造機を有効活用できないか」と相談を受けました。冗談のつもりで「支社がある東区の限定バッジなんてどうですか」と返答したところ、「それはおもしろい」と商品化が決定しました。
社内でも売れないだろうと思われていた『区民限定バッジプロジェクト』は、どんどん進行していきます。東区役所に打診するとあっさり快諾。区のイメージキャラクターの使用も許可されるなど、全面的なバックアップを受けました。第2弾として自虐ネタが絶好調な『西区・手稲区バージョン』も発売。累計2,000個を売り上げる大ヒットになりました。
「株式会社トーシン」は札幌全区制覇とともに、全国に「カプセルトイ専門店#C-pla」を展開しています。出店先の街でも『地域限定バッジ』を販売すると、たちまち人気に。バッジ1個につき10円が地域医療のために寄付されるなど、社会貢献も行われています。
オリジナルグッズ製作は苦難の連続
『地域限定バッジ』で手ごたえを感じた「株式会社トーシン」は、北海道をモチーフにしたオリジナル商品の開発に着手します。本物そっくりのクオリティで旅行者はもちろん道民にも人気ですが、完成までなみなみならない苦労がありました。
北海道のソウルフード「やきそば弁当」
「北海道といえばマルちゃんの“やきそば弁当”でしょう」、「いいね、それ。マグネットになっていたらおもしろいよね」など、「株式会社トーシン」では楽しい会話のなかからアイデアが生まれています。企画がまとまると販売元にプレゼンテーションし、版権使用の許可を得ます。ホビーが好きな担当者に当たると話がスムーズに進みますが、趣旨が理解されず、企画倒れになることも少なくないんだとか。
『やきそば弁当』の商品化は平面のラベルからスタートしましたが、もっとリアルを追求しようと、立体化することに。材料のレジンは表面がざらつくため、ラベルがきれいに印刷できない問題が発生しました。改良を重ねて完成した製品のクオリティの高さに、「東洋水産株式会社」の担当者もビックリ。その後の商品開発に弾みがつきました。
100年以上の歴史を誇る「リボンシトロン&リボンナポリン」
北海道で発売されている『リボンシトロン&リボンナポリン』のマグネット。歴代のパッケージが細かく再現されています。瓶やペットボトルの形に形成された樹脂に、熱でフィルムを溶かしラベルを貼り付けて作られていますが、曲線にうまく貼ることができず試作が繰り返されました。
「リボンナポリンのオレンジが際立つようにしてほしい」というリクエストがあり、販売元の「ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社」に納得してもらうまで約1年もかかった力作です。また、この商品は全8種類の予定で制作を開始しましたが、諸事情で2種類がお蔵入りになるトラブルが発生。改良を加えてチャームとして発売する案もありましたが、担当していた佐藤さんの心が折れてしまって幻になったそうです。
ジンギスカンのタレを二分する「ソラチのたれ」
そのほか、「ソラチ」のたれ型マグネットとチャームを発売。「株式会社トーシン」の本社が帯広のため、豚丼のたれの商品名に“十勝”と付いていたのが採用の決め手になりました。発売当時はタイアップ企画として、カプセルのなかに実物のタレの当選券が入っていたことも。
デスクの上で旅情を感じる「JR北海道の駅名標」
鉄道関連も人気です。ライトが仕掛けられていて、本物のように明かりが灯ります。一部の駅では駅名標が新しくなっているそうですが、ミニチュアのなかにしっかりと思い出が残されているのがうれしいですね。
カプセルは小さく、夢は大きく!
北海道の名産品を集めた『ミニチュア北海道』の第2弾が2023年4月ごろに発売されます。今回は『松尾ジンギスカン 特上ラム』、『三星 よいとまけ』、『雪印メグミルク株式会社 ソフトカツゲン』、『十勝ワイン トカップ(赤)・山幸』、『道南食品株式会社 北海道サイコロキャラメル』、『ハセガワストア 元祖やきとり弁当』が、それぞれカプセルに入っています。宮本社長は、このシリーズをたくさん発売して“ミニ北海道物産展”を開催するのが目標だそうです。
小さなカプセルのなかには、大きな夢が詰まっていました。
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■株式会社トーシン
■所在地:北海道帯広市西6条南40丁目3番3号
■電話番号:0155-48-9480
■ホームページ:https://toshin.jpn.com/
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