スープスパイス1

新鮮野菜とスパイスで「心も身体もポカポカ元気!」農家さんのレストラン(由仁町)

2023.02.10

約18ヘクタールもの広大な農地に隣接し、開店と同時に多くの人が来店する「kitchen FARM YARD(キッチン ファームヤード)」。

北海道由仁町にある農場では、レストランで提供することを目的に野菜を栽培しています。野菜を育てて調理し提供するスタイルや、それらの野菜を生かしたメニューとはどんなものなのでしょうか。

「ファーム&レストラン」を始めたきっかけと食への想い

「kitchen FARM YARD」の現オーナー・大塚さんは4代目。農場だけでなくレストランも始めようと思ったのは、30年ほど前に「いろんなことを学びたい」と訪れた旅先のアメリカ・カリフォルニア州での出会いでした。

「農場経営を引き継ぐのに若干疑問を抱えていたんです。そんなときにアメリカで“ファーム&レストラン”という新しい農業経営を知り、挑戦してみたいと思いました。そして、現地で農場を営む日系人の方に“10年後、日本で農産物の輸入自由化が始まる。今から将来の戦略を考えておくべき”と言われたのが強く心に残り、レストラン開業への想いが強まりました」

その後、冬期間に毎年渡米し、ノウハウや新しい情報を得るために勉強をしたそう。

農作物は天候不順などで生育に大きな影響が出ると、最低限必要な野菜を栽培しても収穫量はその数を下回ってしまいます。そうなるとお店で提供できる料理の数が減ってしまうため、多めに栽培することを心がけているそう。

1年を通して野菜を栽培!新鮮野菜を使ったメニューの数々

農場で栽培している野菜、ハーブ、ベリー類は約50種類ほど。サラダなどに使用する葉物野菜は通年栽培し、冬季はビニールハウスで収穫しています(冬期間は栽培できないトマト、ブロッコリーなど一部仕入れたものを使用)。お米は地元のJAそらち南産『ななつぼし』を使用。

冬でもこんなにカラフルでみずみずしいサラダが食べられるのは嬉しいですね! 季節によって旬の野菜がトッピングされます。

ほかの料理に使われている根菜や越冬野菜(寒玉キャベツや白菜など)も農場で収穫したものを通年使用し、冬期間は超低温貯蔵しているものが使われます。

『農園フライドポテト』はサイドメニュー人気No.1! 3種類のじゃがいもが使われ、「プレーン(ケチャップ付き)」と「ガーリックチリスパイス」から選べます。じゃがいもの甘さと旨みがしっかりと味わえる「プレーン」がおすすめです。

季節限定の『紫アスパラの天ぷら』や『トマトの天ぷら』は、それを目当てに来る人がいるほど人気だそう。

ベリー類は4月下旬のイチゴから始まり、ジューンベリー、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリーと晩秋まで収穫が続きます。収穫されたベリー類はタルトやケーキなどのお菓子などに加工して販売。7月上旬からはジューンベリー狩り、その約1週間後にはブルーベリー狩りの体験も行っているんです。

1階では農場の野菜を購入することも可能! 取材時はじゃがいもなどがありましたが、4〜6月ごろはアスパラ、ゴールデンウィーク〜6月中はイチゴ、6月ごろからはトマトが並びます。

看板メニュー「スープスパイス」に込められた想いとは

来店する人の多くが注文する『スープスパイス』。レストランでなぜこのメニューを提供しようと思ったのでしょうか。

大塚さんにお聞きすると、「海外で得た食味感覚のなかで、自ら栽培した野菜を最も多く利用できるメニューは何かと考えました。アジア系のスパイスを使ったスープは食材として多くの野菜を使用し、野菜本来の旨味を感じられるメニュー。スープ、スパイス、野菜の3つのキーワードが生まれ、試行錯誤して考案しました」とのこと。

『スープスパイス』は定番メニューだけで8種類、季節限定のメニューを加えると常時約10種類。この時点でどれにするか悩んでしまいますね。辛さは「辛味なし」から「大辛」までの5段階となっています。

セットで注文する人は、「黒米入りライス」「鉄鍋バターライス」「ピタパン」から選択。ご飯は「小」「中」「大盛」からお好きな量を選べます。

そして、サラダのドレッシング。「マヨネーズ」「トマト」「辛ドレ」「ノンオイル」「ハーブオイル」「さらさらレッド」から選びます。すべて自家製で、開店当初は3種類ほどだったそうですが、今では6種類まで増えました。

今回注文したのはこちら。「野菜」で「辛」のスープスパイス、ここでしか食べることのできない「鉄鍋バターライス」、サラダのドレッシングは「ハーブオイル」。

「野菜」には、大ぶりの大根やじゃがいもなど約15種類の野菜が入っています。どの野菜も味が濃くて素材そのものの味が楽しめます!

スープにも野菜の旨みが溶け出しているので、辛味のなかにも優しい甘さが感じられます。食べ終わったあとは、スパイスの効果からか体のなかから温まってじんわりと汗をかくほど。

お水の代わりに提供される“ティーウォーター”。紅茶を水で割ったもので、油分やスパイスをさっぱりさせてくれます。ハーブは自家栽培、スパイス・紅茶は現地から輸入し、コーヒーは自家焙煎を行っているそう。提供しているすべてのものを美味しく提供したいという強い想いが伝わってきますね。

 

「農場の食材生産もレストランも絶対クオリティを下げず、現状を維持するのが最大の成功の秘訣」と大塚さん。お客さんに最高のものを提供するために、さまざまな努力をされていました。

お店のSNSでは農場や野鳥、料理を撮影しての発信をほぼ毎日行っています。来店前に限定メニューや畑の様子などをチェックしておでかけされるがおすすめです!

<店舗情報>
■kitchen FARM YARD(キッチン ファームヤード)
■住所:北海道夕張郡由仁町西三川913
■電話番号:0123-86-2580
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