酒蔵の敷地内にある隠れ家「知らないと出会えない」地元の素材にこだわったフレンチレストラン【栗山町】
以前、日本遺産『炭鉄港』の構成文化財としてご紹介した栗山町にある「小林酒造」。その敷地内に昨年2021年7月にオープンした「restaurant&cafe pont(ポン)」はカジュアルにフレンチを楽しめるお店です。
今冬は積雪量が多かった影響で屋根が破損して工事を行うこととなり、今春はテイクアウトのみで営業を行っていました。筆者が日本酒を購入しにいった際にたまたま見つけてランチをテイクアウトしたのですが、その美味しさに衝撃を受けたんです。
2022年7月20日から店内飲食を再開したということで、はじめて店内でランチをいただきました。
この場所との巡り合わせを機に念願のお店をオープン
「restaurant&cafe pont」は、葛巻さん夫妻と七田さん・バティスさん夫妻の4人で営んでいるお店。葛巻瑞樹さんは、開店を決意した当時ベルギーに住んでいた友人の七田あゆみさんと10年以上前から「お店をやりたいね」と話をしていたそう。ある日、冬は蔵人として「小林酒造」で働く農家さんから「空いている酒蔵の建物を活用したいんだけど、どう?」と声をかけられてこの場所と出会い、お店を始めることを決意。瑞樹さんの夫・紘(こう)さんがシェフ、あゆみさんの夫・バティスさんがスーシェフとなり、葛巻さんご夫妻、七田さん・バティスさんご夫妻のレストランが開店に向けて動き出しました。
まずはオープンを決意した1年後に、葛巻さんご夫妻が先に栗山町に移住して準備を進めていきます。そしてその3か月後、コロナ禍で帰国が遅れていた七田さん・バティスさんご夫妻が追いかけるように栗山町へ。なかなか帰国が叶わず、ベルギーから栗山町について調べて家も探していたそう。
七田さん・バティスさんご夫妻が帰国した翌月、急ピッチで準備を進めて昨年7月にお店をオープンさせました。
こちらが店内。「小林酒造」で精米所として使われていた場所で、入り口からのアプローチとなっている廊下は精米したお米を保存していた場所だそう。高い天井が特徴的です。
店内にあるテーブルや看板などは自分たちで制作されたそうで、店内に飾られているスワッグや、時折大きな窓から差し込んでくる木漏れ日が心を落ち着かせてくれます。
店名となっている「pont(ポン)」の由来とは
店名の「pont(ポン)」とは、フランス語で「橋」という意味。
生産者さんとお客さんの架け橋、日本の食材とフレンチの架け橋として、作り手さんの顔が見え、素材にこだわった身体にも環境にも優しいお店を目指していることから、この名前にしたそう。
また、祝日と週末の間に平日があるとお休みを取り連休にしてしまうフランスの習慣も同じく「pont」というそう。楽しい時間をここで過ごしていただきたいという願いも込められています。
「小林酒造」の敷地内ということもあり、酒粕を使ったメニューが豊富! 酒粕を使ったパテやアイスクリームなどを提供されていて、まさにフレンチ・日本酒との架け橋、「小林酒造」とお客さんとの架け橋になっています。
素材を生かしたフレンチメニューをランチで
「restaurant&cafe pont(ポン)」では、3つのランチコース(14時までオーダー可)とワンプレート(11〜16時)が用意されています。今回いただいたのは『Facile』という1,800円(税込)のコースです。
コース内容(パンorライス付き)
【前菜】ブロッコリーのムース 小エビのタルタル クミン香るメルバ添え
【スープ】じゃが芋のヴィシソワーズ
【メインディッシュ(魚or肉のどちらか)】
[魚]白身魚のポワレ ソースヴァンブラン ラタトゥイユ添え
[肉]道産豚ロース肉のロティ グラタンドフィノワ ソースジャンジャンブル
※コースのメインとワンプレートのメインは半月ごとに変わります。
まずは前菜。オレンジ色のソースはにんじんを使ったもの。色合いといい盛り付けといい、見た目の美しさが凝縮された一皿です。ブロッコリーのムースは素材の風味をしっかり感じられました。
パンかライスを選べるのですが、筆者はパンをセレクト。右が「小林酒造」の酒粕を練り込んだプティ・ブール、左が栗山町産小麦の全粒粉バケット。全粒粉バケットの小麦粉は栗山町内にある「ワークセンター栗の木」で製粉したものを使用しています。プティ・ブールはほんのりと感じる酒粕が特徴で、全粒粉バゲットは全粒粉ならではの小麦の力強さを味わえます。
そして一緒に添えられているバターがとにかく濃い! パン自体が美味しいのでそのまま食べたいと思いつつも、たっぷりつけていただきました。
いよいよメイン! 今回は魚を注文しました。この日の真鯛は長崎県産。とても肉厚で身がふっくら! そしてなんといってもこの皮目の焼き具合が絶妙です。パリパリで香ばしく、白ワインのソースをつけながらいただくとより風味豊かに感じられます。ラタトゥイユも添えられていて、一緒にいただくとまた違う味わいになりました。
「卵は町内産のものを、野菜は近郊で収穫されたものを使っています。肉はほとんどが道内産ですが、魚は道内産のヒラメなど、もっと道産の食材を使っていきたい」と葛巻シェフ。北海道の豊かな食材を使ってこれからどんなメニューが提供されるのか、楽しみです。
「カフェタイムにワークショップをやってみたり、ディナータイムに道産ワインや日本酒とフレンチのマリアージュを楽しむ会のようなものもやってみたい」と瑞樹さんとあゆみさん。落ち着いた空間で、食事以外の楽しみ方が今後増えていきそうです。
今回ご紹介できなかったワンプレートランチとバゲットサンド、コースで提供されていたパンなどテイクアウト可能なメニューもあるので、自宅でゆっくりと味わうのもおすすめです!
大きな通りからは全く見ることができない、まさに“隠れすぎている”フレンチのお店で、気軽でありながらも優雅に食事を楽しめました。気になった方はぜひ足を運んでみてください。
<店舗情報>
■restaurant&cafe pont(ポン)
■住所:北海道夕張郡栗山町錦3丁目109番地(小林酒造内)
■電話番号:0123-76-9636
⇒営業時間など詳細はこちら
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