サツドラ富山社長も登壇!宇宙版シリコンバレーがもたらす北海道のまちづくり【北海道宇宙サミット2021・カンファレンスSession4・全文掲載】
2021年11月4~5日で行われた、北海道発の宇宙ビジネスカンファレンス「北海道宇宙サミット2021」。2日目に行われたカンファレンスでは、日本で宇宙に携わるキーパーソンが一堂に会し、さまざまな熱い議論が交わされました。
今回は、Session4「宇宙版シリコンバレーと地域活性化」の内容をお届けします。
登壇者:
株式会社インフォステラ共同創始者、代表取締役CEO 倉原直美氏
国立大学法人室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センター長・教授 内海政春氏
インターステラテクノロジズ株式会社代表取締役 稲川貴大氏
株式会社SPACE WALKER代表取締役CEO 眞鍋顕秀氏
サツドラホールディングス株式会社代表取締役CEO えぞ財団代表支配人 富山浩樹氏
SPACE COTAN株式会社代表取締役社長兼CEO 小田切義憲氏(モデレーター)
登壇者紹介
司会:それではお時間となりました。次のセッション始めます。このセッションは「産学融合で未来を創造する」チャレンジフィールド北海道 公益財団法人北海道科学技術総合振興センターの提供でお送りいたします。セッション4、Sponsored by チャレンジフィールド北海道「宇宙版シリコンバレーと地域活性化」それではご登壇者のみなさま、ステージのほうにお進みください。
小田切氏:これまで、宇宙のロケットの話、スペースポートの話、ベンチャーキャピタル投資についての話をさせていただきました。このあとは少し話題を広げて、いろんなところから見ていくということで、シリコンバレーと地域活性化について、少しみなさまからお話を伺いたいと思います。
まずこちらに来ていただいているみなさんをご紹介します。Infostellar(インフォステラ)代表の倉原さま、室蘭工業大学の内海先生、インターステラテクノロジズ株式会社(以下、IST)の稲川社長、スペースウォーカー眞鍋社長、サツドラホールディングスの富山社長、私はスペースコタン代表の小田切になります。
では最初に皆様から一言ご挨拶ご紹介と合わせて、一言ずついただければと思います。倉原さんからお願いできればと思います。
倉原氏:ご紹介ありがとうございます。みなさまこんにちは。インフォステラ株式会社の倉原と申します。よろしくお願いいたします。弊社インフォステラは、地上局という通信設備衛星向けの通信設備をサービスとして貸し出すことをやっております。ロケットで打ち上がった衛星が弊社のお客様になるような形ですね。どうぞよろしくお願いいたします。
小田切氏:ありがとうございます。では続きまして内海先生お願いします。
内海氏:室蘭工業大学の内海です。よろしくお願いします。室蘭工業大学は、2005年ぐらいから航空宇宙の講座を開設しまして、15年ほど経ちました。ドクターコースから初めにできて、修士コース、学部という形で、少し変わった経歴で研究開発が進んできています。私が所属する航空宇宙機システム研究センターでは、隣にいらっしゃるISTの稲川社長と密に連携しながら、『ZERO』のロケット開発を進めておりますし、その他人工衛星“ひろがり”の研究開発でしたり、小型超音速旅客機の研究開発と、さまざまな形で宇宙開発・研究開発をさせていただいています。よろしくお願いします。
稲川氏:ISTの稲川です。今IST、ロケット打ち上げ行なっているというところです。今回このセッションでは、宇宙版シリコンバレーということで、大樹町、十勝、北海道での地域に根差した活動について重点的にお話ししたいと思っています。やはり『MOMO』の打ち上げ、『ZERO』の打ち上げですでに実際に使っているところが、何よりの利用実績になってくるのかなと思いました。今拠点3カ所ありますけれども、最近本社の事務所には40人超の人間がいて、実際にロケット開発を進めているという実績があることをご紹介させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
小田切氏:ありがとうございます。では眞鍋社長お願いします。
眞鍋氏:株式会社スペースウォーカー代表取締役の眞鍋顕秀と申します。スペースウォーカーでは、有翼ロケット、羽の生えているロケットですね。スペースプレーンとも言っておりますが、こちらの開発を手掛ける東京理化大学の大学発ベンチャーになります。
私自身はエンジニアでもなければ、元々は宇宙の分野の人間でもなくて。元はデロイト系の監査法人トーマツにいて、そこのIPO、株式上々の専門部隊で公認会計士をしておりました。私と一緒に共同創業した米本浩一というエンジニアがいまして、今東京理化大学の教授も務めておりますが、彼が1980年から川崎重工に勤めておりまして。当時あった “HIMES”“HOPE”という2つの大きな有翼ロケットの国家プロジェクトに参加していたというのが技術的な背景にあります。
2015年当時は九州工業大学にいたんですけども、九州工業大学とJAXAの共同研究で小型の有翼ロケット実験機の打ち上げと回収に成功したことをもって、米本が創業に向けて動き始めており、当時は私、会計事務所を運営していたんですけども、資金調達とか会社設立の相談に私の会計事務所に来たというのが最初の出会いになります。そこから、当時2016年はスペースXが初めて船の上でロケットの1段目の回収を成功したという年でもあって、米本の話を受けて、世界の情勢を見ると非常に宇宙開発というのが大きな時代の転換点を受けていると感じまして。1年ぐらい準備期間を経て、翌年2017年にスペースウォーカーという会社を一緒に立ち上げたという流れになります。
小田切氏:ありがとうございます。では富山社長お願いします。
富山氏:サツドラホールディングスの富山です。よろしくお願いします。サツドラというドラッグストアを道内中心に200店舗ほど出店していまして、15店ほどこの十勝管内に出店させていただいております。
ホールディングスで地域コネクティッドビジネスというのを標榜して、いろんな事業を展開しているのですけど、もうひとつの中心の事業がEZOCAという共通のポイントカードです。これが200万人ほどの道内の会員になっていまして、世帯カバー率でいうと7割ぐらいの方に持っていただいています。サツドラもその加盟店のひとつという形になります。十勝管内でも人口カバー率44%ぐらいのカードになっております。
大樹町ではお店も出させていただいていまして、大樹町さんとも包括連携を結ばせていただいて、今いろんな自治体さんといろんな提携をしながら街づくりという文脈で、さまざまな活動をしております。
宇宙版シリコンバレーとは?地域にもたらすものは?
小田切氏:ありがとうございます。このメンバーの皆さんにいろいろと地域活性という切り口で少しずつお話を伺っていきたいと思っています。前のセッション等々でも話をさせていただいていますけども、宇宙版シリコンバレーを北海道に作っていこうということを標榜している中で、大樹町、十勝から始まっていって、北海道全道にそれを広げていこうと思っています。
では簡単にそのあたり少しおさらいをさせていただきますと、私たちは35年の歴史のあるこの大樹町から宇宙産業というのをより活性化させるということでスタートしています。
まず本業のロケットをきちんと打ち上げていく、打ち上げる射場として整備をしていくということがまずスタートにはなりますけども、今日ここにお並びのみなさんと一緒に地域をしっかりと活性化させていこうと。
いわゆる宇宙スペースビジネスというのがかなり強いコアコンピテンスになりますので、それを最大限生かしていろんなところに活かしていく。もちろん一番近いところではロケット、人工衛星の開発というところになりますけども、そこから発生するさまざまな事業分野が出てくるという形になります。
今までのセッションでも少しお話ししましたけど、もう地上の全てのビジネスが宇宙産業に繋がっていくという話を入り口だけさせていただきました。例えば衣食住は当然宇宙に行っても必要になります。ここ十勝はみなさまのご案内のとおり農業のエリアでして、非常に農作物がたくさん取れます。
実はいくつか取り組みした中でとても十勝らしいなと思っているのが、宇宙食を十勝から作っていこうという取り組みをしています。すでにもう宇宙に何種類かの食べ物は行っています。お赤飯にする小豆ですとか、今ちょうどJAXAさんの認証をもらうための最終段階ですけども、このそばに川西という地域では実はブランドの長いもが取れまして。その川西長いもを使った宇宙食の開発をしています。
この川西農協さんがすごく面白いところは、まさにその農業の特徴を生かして宇宙食を作っていくということで、川西農協の職員の1名をJAXAにこの夏から出向させているんですね。まさに北海道の豊かな食の材料を宇宙に上げていくという形の努力をしていると。その他にも十勝スロウフードさんで、コスモバーグという常温で保存できるハンバーグ、これももうすでに認証を取って宇宙に上げています。
例えば直接宇宙には全く関係ないですけども、当然衣食住で極めて連携の深い、特に宇宙での食事は非常に大事だと宇宙飛行士のみなさんから言われています。地上にいても、食事っていうと食べるだけではなくて、そこでコミュニケーションが生まれたりリフレッシュしたりと大事ですけど、やはり宇宙というのはより限られた空間ですので、宇宙食っていうのは非常に重要視されていて。セッション1にもご登壇いただいた、山崎直子宇宙飛行士の話を伺うと、日本が作っている宇宙食はすごく美味しくて、海外の宇宙飛行士にも人気だそうです。というぐらいやはり日本の強みと価値の強みというのがありますので、そういうのをしっかりと分析をして産業化していく、事業化していくってことも十分あり得るのかなと思っていますので、そういった観点でみなさんから少しお話をいただければと思っています。
では最初に倉原さんから順番に、今みなさまが考えていらっしゃるような地域との関わり、みなさまの事業と地域との関わりというところを少しずつお話しいただければと思います。よろしくお願いします。
倉原氏:では弊社の宇宙版シリコンバレーとの関わり方、北海道との関わり方をお話しさせていただきます。弊社の通信設備、アンテナ設備を貸すということやっているのですけれど、衛星のオペレーターさんが、衛星が撮影した画像とかをおろしてくるためにアンテナ設備を使います。その北海道の位置って、地理的に画像をおろしたいっていう衛星のオペレーターさんけっこういらっしゃって。北海道にあるアンテナを使いたいと言われる衛星のオペレーターさんがかなりいらっしゃいます。
そういったお客様のニーズに応えるために、今弊社でなんとか北海道にアンテナの準備をしようと、準備をさせていただいておりまして、かなり大樹町さんとかにご支援をいただいているという状況です。今後も宇宙版シリコンバレーが発展するにしたがって、ロケットの打ち上げ、それから衛星の放出、放出先の運用、そこにつながる一連の活動が、この打ち上げの拠点を中心に広がっていくのではと思っていますので、うちの通信設備のサービスも、そういった方向でこの大きいサイクルの中に組み込まれて使われていくといったような関わり方ができるかなと思っています。
小田切氏:ありがとうございます。では内海先生続いてお願いします。
内海氏:私が所属しているのは大学なので、ある意味研究機関と教育機関であって、教育の面ではやっぱり人材の供給がひとつ大きな関わり方だと思っています。
というのは、やはり研究所に来る学生とかが、学生時代ロケットサークルに入っていたりするわけですけれど、いざ就職するとなると宇宙業界にいきたくても、なかなか宇宙業界というのは小さいコミュニティで、就職する場所はあまりないのですよね。で、やむなく違う業界に行く子もけっこういるのですけれど、こういったスペースポートができて、そこに街ができて、そこに当然仕事もできてくると、そういった受け皿になってくるんではないかなと思っていて。我々としては、そういった宇宙を担っていく人材を供給する組織として、大きく関わってくると思っています。
もうひとつは、研究の面でいきますと、我々研究機関として、私20年ぐらいJAXAでロケットエンジンを研究開発してきたわけですが、その辺の培った技術を今ISTさんと共同研究で一緒に『ZERO』のターボ部分の開発をやっています。そういったJAXAが持っているような技術も含めて、ロケットにチャレンジする民間企業にどんどん、応援するというか、サポートするという関わり方があると思っています。
それだけではなくて、技術と技術を結びつけるという意味でも、最近発表した話なのですが、荏原製作所さんというポンプのトップメーカーの方々も非宇宙業界から宇宙に入り込んでいただいて、そういう分野でISTさんとマッチングするといったような、技術と技術の結びつけというようなことも大学がやっていけるんじゃないかなと思っています。
小田切氏:セッション1で堀江さんからも話ありましたけども、ISTさんが今作っている『ZERO』のエンジンの主要部品を、実は室蘭の地元の、元々は金型の会社で、例えば携帯電話とかゲームのコントローラーとかを主に作られていた会社が、新たなチャレンジとしてそういったロケット部品を作り始めていると。極めてユニークな取り組みだなと思っています。では稲川さんお願いします。
稲川氏:我々は地元に根ざしてやっているので、ちょっと違う話をすると、「宇宙版シリコンバレー」という単語はISTが言い出したわけではなくて。今は東京大学に移られている、鈴木一人先生という方が宇宙版のシリコンバレーっていう単語をあげています。そのあと道経連(北海道経済連合会)さんはじめ、盛り上げていく中でひとつのキーワードとして「宇宙版シリコンバレー」という単語が出てきたのが、最初の立ち上がりです。
だから聞く立場で聞いていて、宇宙版シリコンバレーってなんかカタカナだし、シリコンバレー、アメリカの宇宙版って言ってもよく分からないし、なんかちょっと寒いなって最初ちょっと思っていたのですよね。なんですけど、シリコンバレーの歴史を考えてくると、けっこうドンピシャだなって実はすごくしっくりきています。
シリコンバレーって元々スタンフォード大学という有力大学を中心に、半導体メーカーさん、シリコンをデバイスにするような会社から始まって、その後はそこ中心で、アプリケーションソフトウェアの会社もどんどん盛り上がってきて、Googleとかが一番わかりやすい例ですけれども、そういう会社が集積している場所としてアメリカのシリコンバレーができていると。
それに近いことが、やっぱりこの大樹町中心に、十勝・北海道でシリコンバレーになり得るとものすごく思っています。やっぱり射場っていうポテンシャルがあって、これは逆に他の場所に離れることができないところなので、地元に根ざした企業、我々ならばロケットだったり、スペースコタンさんもそうですけれども、土地をどうしても使う必要がある会社っていうのがどうしてもいて。またそこを中心に絶対産業っていうのは立ち上がります。
シリコンバレーのように、その利を作るっていうところから、それを利用するソフトやソフトウェアのところですね、これが宇宙で言うと宇宙利用っていうところになると思うのですけども、北海道っていろんな課題がある地域なので、やっぱり宇宙空間使った宇宙利用で解決するべき問題がいっぱいあって。やっぱり利用される場所としてソフトウェア的な宇宙利用がすごく発展する可能性があると思います。
そう考えると、室蘭工業大学さん、北海道大学と共同でやらせてもらっているものがありますが、地元の大学さんと連携しながら、そしてロケットっていう、宇宙輸送という人たちが絶対に根付きながら、宇宙利用まですると。インフォステラの倉原さんなんかは、もうアンテナが必要だということで、「こういう場所どうですか」というように、うちが少し繋げさせていただいたり、ロケットだけじゃない分野にもちょっとずつですけれども最近広がってきている。最近だんだん「宇宙版シリコンバレー」という言葉が寒いなって最初思っていたのが、すごいしっくりきているなと感じていて、この流れがもっと広がるといいなと思っています。
小田切氏:ありがとうございます。では眞鍋さんお願いします。
眞鍋氏:ちょっと「宇宙版シリコンバレー」っていうのが私はよく分かってはいないのですけども、自分なりの理解としては、産業集積とエコシステムの構築なのかなと思っています。
そのうち、シリコンバレーって土地の名前ですので、北海道とかそういう名前が今度後世に伝わっていくといいですよね。地域にもたらすものとして産業集積とエコシステムって考えると、特にこういうものづくりの領域が絡んでくるものになると、私自身いろんな地方を回って感じるのは、日本の技術ってやっぱりものづくりの領域においては世界に通用する技術あるかなって非常に感じています。私自身はバックグラウンドが会計士なので、ものづくりのエンジニアでもないのですけれども、日本の地方に行くと、もう職人技がすごく多いですよね。日本刀なんかもそうですけども、「それ以上鍛える必要あるの」ってくらい極めてしまうっていうのが日本人の特性なんじゃないかなと思っていて。
意外とロケットっていう総合技術を分解していくと、それぞれのコンポーネント単位ではもうかなりの技術レベルを日本は持っているなと思っていて。だからこそ、アメリカはITで成功しているのでお金はあるんですけども、決してお金だけではない領域っていうのが、ものづくりの世界にはあって、まだまだ日本が戦える領域かなと感じています。
そのなかで産業集積、エコシステムが起きると、今までは宇宙に関わりがなかった中小企業さんたちの、ものづくりに対する技術が、けっこう宇宙開発に大事な要素になってきます。単に気づいてないだけじゃないかなと。それが地域にもたらすものとして、宇宙はまだ新しい領域だし、それも短期間で終わるような領域じゃなくてまだまだここから。今は月とか火星行くのも大変ですけども、さらにその先もあるわけですよね。これから本当に長い期間かけて、どんどん地球から外の星に対して未開の地を開拓していくっていう、長い歴史はここから始まるわけなので。
大航海時代からイギリス産業革命が起きて、大航海時代も相当造船技術が発達したし、羅針盤の技術も発達したけれども、後のイギリス産業革命で蒸気機関が誕生してさらに遠くまで行けるようになりましたと。そういう技術革新はこれから宇宙に対してどんどん起きてくるはずなので、今持たれている中小企業さんのものづくりの技術っていうのは決してその地上だけで終わる話じゃなくて、宇宙に目を向けた時にはすごく生きる領域があると思っています。古くからある技術が新しい宇宙という領域で生きてくる、それが地域にもたらすものだし、ヒト・モノ・カネ、情報っていう経営資源に大きなインパクトがあって、経済効果も莫大なものをもたらすと感じております。
小田切氏:ありがとうございます。富山社長お願いします。
富山氏:私も「宇宙版シリコンバレー」というのがちょっとまだわからないのですけど、宇宙産業の可能性とか、みなさん専門的にいろいろ語られていて、地域活性化っていう文脈で言えば、まず大樹町にサツドラができました。ドラッグストアができたんですよね。大樹町さん人口5,400人ぐらいですよね。5,400人の人口でドラッグストアがある街って、北海道でもそんなに多くないですよね。僕らだいたい8,000人から1万人ぐらいで1店舗ぐらいしか成り立たないので。北海道って2025年には半分以上の市町村が5,000人以下になるんです。ということは、もうドラッグストアでさえ5,000人以下だと生存が難しいのに、他の小売業とかは今のままのやり方だと、かなり存続が難しいというのが、この日本の地域の中での現状です。あらゆる産業、銀行さんから何から、全部そうだと思うんですよね。
北海道は少し早いですけど、全国でもそういう町がこれからどんどんできていく中で、大樹町も出店候補に挙がっていたんですけど、ずっとずっと悩んでいたところだったんですよ。「ちょっと近くの周辺を合わせたら行けるかな、どうかな」って時に堀江さんの記事を4、5年前に見て。「あ、そっか、関係人口がこうやって増えてくんだ」とか「住む人が、産業が発達してくと、こうなってくるんだ」って言うのをその時に見てすごく興味を持って、それである意味投資をしようと思って大樹町にサツドラを作って。おかげさまで利益を出させていただいております。
やっぱり地域がそうやってこれからすごく活性化するのに厳しくなってくる時に、こういう産業が旗印としてあげられるっていうのは非常に大きなことだなと思いますし、冒頭に小田切さんがおっしゃってように、衣食住が絡んできても、産業に直接ではなくても観光産業なんかも、観光産業ってすごく広くて、宿泊から飲食から何からっていうふうに広がってくと思うんですけども、そういった意味で産業がまずは大樹町には間違いなくそこにプラスになってくるし、そこの広がりからまた十勝、北海道ってすごく大きな広がりになってくるというのはすごく肌で感じています。
小田切氏:ありがとうございました。私の家のすぐそばにサツドラ大樹町店があって私もよく利用していますし、話にあったように『EZOCA』がすごく便利なんですね。お金をチャージしておいてポイントが貯まるということですので、みなさんもぜひご利用いただければというPRを少しさせていただきます。
富山氏:宣伝ありがとういただきます(笑)
小田切氏:今シリコンバレーという話をさせていただきましたけども、実はその「宇宙版シリコンバレー」ってまだないので、やっぱりなかなかイメージしにくいと思っています。いろんな産業がありすぎて目立たないんですけど、航空に置き換えると、実は私の中では名古屋だと思っています。
名古屋は大きな航空産業の世界があります。三菱重工もありますし、川崎重工もありますし、航空機、民間もやっていますし、国の自衛隊の航空機等々もやっています。
ここで実は、鹿児島で上げているJAXAのロケットも作っています。ただ、JAXAのロケットは作って船で持っていって運ぶのでね。確か、さっき堀江さんもおっしゃっていましたけど、そうすると鹿児島県肝付とか種子島は単に打ち上げ場なので、いわゆる街が広がるっていう可能性が非常に少ないのですね。
ちょっと私まだ行けてはいないのですけども、種子島非常に狭いと伺っていますし、肝付も今頑張って町長もいろいろと努力はされていますけども、なかなか地域を起こしていく、全体を起こしていくというふうにはなっていないのかなと思っています。でそういうところと私たちの違うところはですね、「まさにその全部を、多くのものを自分たちでやろう」と思っています。
まさに今ISTさんが自前でロケットを多く作っていくとか、あるいは人工衛星の企業ですとか、あるいは試験実験をする会社とかも、この場所に誘致をしていきたいと考えています。例えば今まで名古屋にあった、作るだけのところじゃなくて、それを全てここに持ち込んでくると。
そうなるとまさにサツドラが必要になるように、今大樹町ってスーパー2軒、コンビニ3軒、レストランとか飲み屋は15~6件しかないですけども、人が増えてくれば当然そういうのがどんどん増えてくると思っています。ですので、より生活のしやすい場所が、例えば大樹町にも増えますし、これ決して大樹町だけの話ではないので、例えば周辺の釧路ですとか、室蘭とか苫小牧ですね。今非常に苦労しているところ3つ挙げましたけども、そういったところのみなさんと一緒にやっていくっていうチャンスが出てくるんだろうと思っています。
釧路に釧路製作所さんという鉄の会社がございます。元々は1930年代に石炭を運ぶ貨車を作る会社としてスタートしました。当然石炭は衰退をしていって、「さてその時に自分たちの強みはなんだろう」とみなさんが考えて、鉄を活かした仕事というので、北海道で約300以上の川に橋をかけました。その釧路製作所さんがだいたい橋をかけ終わって、メンテナンスを中心になっていく、「さて次に自分達は何をしようと、鉄を使って何ができるんだろう」と考えた時に、まさに宇宙に行けるだろう、宇宙の仕事ができるだろうと。
当然ロケットにすぐ鉄は使わないんですけども、ロケットの燃焼試験をするための架台ですとか、あとはその消音壁とかですね。いろんな部材として鉄はたくさん使いますので、まさにそれを活かしていくということで3年前、2018年からISTさんと一緒に仕事をしています。
これって振り返ると、例えばトヨタ自動車さんであったりニコンさん、キヤノンさんであったり、戦争とかそういうのを経て仕事を変えて生き延びている企業さんって国内にたくさんあるんですね。まさに今日本ってそういう時代になりつつあります。特に北海道は元々林業があり、石炭、製鉄、製紙業がありましたけど、残念ながら全てそれらが過去形になっていて、「次に何かやっていくのか」ということで、先ほどの名古屋の事例のように、大きく事業、産業を展開していくことができるのかなと思っています。
宇宙版シリコンバレーになるために足りないものは?
小田切氏:そんな観点で、私たちこれからまさに今年度から進めていこうと思っています。どんな関わり方をみなさんされているのかということを少しお話しいただきました。次は、そのシリコンバレーをどんどん作っていくため、大きくしていくためにはいったい何が必要なのかご意見いただきたいと思います。では今度こちらから、富山さんからお願いしていいですか。
富山氏:具体的に、「宇宙版シリコンバレー」だからっていう理由でというよりは、大樹町さんのここをもっと活性化させていくためにというところで言うと、やっぱり住宅だとか。今いろいろな方が大樹に今来ているんですけど、ホテル大樹さんとかもう満杯になっているんですね。例えばISTさんも非常に社員の方も増えています。若い方が来た時に住む環境っていうのがなかなか地方だと少なく、帯広から通われている方もたくさんいらっしゃるということで。
さっきの衣食住といったところだと、にわとりたまごの話になるんですけど、いろんな方がいる時に町として発展して、ちょっと先を行くような開発がされるべきだなと思っていて。
具体的に、サツドラでも店は作らせていただいたんですけど、その周辺だとか、堀江さんがやられている「小麦の奴隷」のようなパン屋さんができているのは、すごく良い事例だと思うんです。ああいう地方に足りないものができてくることが非常に必要かなと思っています。普通のまちづくりじゃなくて、こうやって宇宙産業が来るんだっていうことを見越したまちづくり、町だけじゃなくて道も絡んで、そういった設計、グランドデザインを元に、“今までの普通の町じゃない”用途変更だとか、設計が必要なんじゃないかと思います。
小田切氏:ありがとうございます。大樹町5,400人という人口をご説明させていただきましたけど、今ISTさんを中心に宇宙産業に関わっている方が、だいたいご家族も含めると150人弱ぐらいいらっしゃるんだろうなと思います。残念ながら全員が全員大樹町に住まわれているわけではないですけども、でもそれだけ考えると、分母が小さいので約3%は宇宙に関わっている方達がもうすでに大樹町にはいます。それが徐々に増えていけば、自然減を残念ながらしている環境からまず人口減が止まる。その後に人口が増えてくるというところに転換できる可能性も十分持っていると思います。では眞鍋さんお願いいたします。
眞鍋氏:いろんな視点があると思うんですけども、やっぱり企業側から考えた時にはヒト・モノ・カネ・情報を考えて、今だとまだ全然全て足りてないと感じます。当然にわとりたまごなんですけども、ヒト・モノ・カネ・情報どうやって集まるんだっていうと、おそらく一番わかりやすいのではやっぱり成功事例なんだと思います。この点に関しては、ISTさんようやく成功してきていますし、その種はもうすでにあるかなと思っています。
これがもっと大きくなっていけば、世界中が注目せざるを得ない地域になっていくと思うので。またそうなると、ヒト・モノ・カネ・情報が集まってくるというところで、種があるなかで、何が足りないか考えると、圧倒的にお金だと思います。
「お金、どうやって集めたらいいんだろう」っていうのは、別にここだけの領域の話じゃなくて、いろんなとこでも足りてない。どこでやろうにしても足りてないかなと思うので、どうやってお金集めるんだっていうとこはあって。アメリカの場合は宇宙から始まったわけじゃなくて、ITのところから勝負は始まっていたわけですね。
イーロン・マスクもベゾスも、PayPal、Amazonで稼いだお金を回してくると。リチャード・ブランソンもサービス業で儲けたお金を回してくると。アメリカはもうすでに他の産業で儲けたお金を回してくる仕組みができていまして。じゃあ日本はっていうと、決して別に他の産業で成功していないわけじゃないので、あとはリスクとるかどうかかなと思っています。
正直、日本の大企業だって世界に負けない大企業はいっぱいあって、内部留保しているお金は大量にある。貯金の金額もすごい金額だってみなさんもご存知だと思うので、じゃあそのお金っていうのをここに回すかどうかって、最後どこに踏ん切りをつけるかといったら、リスクをとれるかどうかだと思っていて。日本ってやっぱり保守的だなと思います。高度経済成長期に一気に伸びていったときは、失うものはないという勢いで伸びていったというところもあると思うんですが、なかなかリスクに対してお金張れないなと思っているんです。そこの意識改革一個なんじゃないかなと。今すぐリスクとってくださいという話ではなくて、リスクをとってもいいかなと思えるような成功事例を一個ずつ積み上げていくのが、ISTさんしかり、我々スペースウォーカーしかり、こういう宇宙のスタートアップの役割なんじゃないかなと感じています。
小田切氏:ありがとうございます。では稲川さんお願いします。
稲川氏:「宇宙版シリコンバレー」っていう単語の真逆を考えてみると、ロケットが打ち上がっているとか宇宙産業があるのに、そんなに地域の活性になってないという。一例挙げていただいていましたけれども、種子島はけっこう大きな街になっていたりはしますが、内之浦、肝付町っていう場所は、ロケット実際に打ち上がってはいるものの、産業集積っていう意味では足りてなかったりとか。
その他にも、最近和歌山県では別の会社さんが会社用のロケットの射場をつくろうだとか、世界中に自社のロケットの射場をつくろうという会社があるんですけれども。そういう地域の場所を利用する意味では、ロケットの射場だとか、スペースポート的なものにはなっていますが、集積地、「宇宙版シリコンバレー」っていう文脈ではない。今我々も含めて、北海道スペースポート計画の中で考えているのは、「いろんな人が集まる、そういう地域にしましょう」ということです。開かれた宇宙港というところがやっぱり大きく違うというところです。
開かれたっていうことは、参入する人が多くなるべきと思っています。眞鍋さんのほうからも、お金が足りないんだというお話でしたけれども、やっぱり、ヒト・モノ・カネ・情報で、今我々も開かれた宇宙開発っていうのものすごく試行していて。そういう形が本格的にどんどん進んでいくと、いろんな人が集まって、最終的に産業集積である宇宙版シリコンバレーになるんだろうなと思っています。
なので、ロケット企業としては非常に珍しい、いろんな会社さんとコラボしようだとか、情報をどんどんオープンにしようだとか、SNSにガンガン情報を上げていこうっていうことをやっています。たぶん世界で一番いろんな公開情報を出しているロケット会社だと思うんですけれども、これはやっぱり宇宙版シリコンバレーっていう目線感を持っているからです。
BtoBでもいろんな会社さんと一緒にやろうということで、“みんなのロケットパートナー”ズという名前をつけて、企業さんとお付き合いするような枠組み作っているんですけれども。大企業さんだとか、地元の企業さん、あと、「なかなか知られてないんだけど、すごく宇宙に興味があって参入したい」という会社さんですね。一緒になって今『ZERO』の開発、そして『MOMO』も、どんどん作っていこうという両方の計画を進めているところです。
こういう形で、みんなのロケットパートナーズは我々ISTの取り組みですけれども、もう少し幅広いまちづくりっていう文脈まで含めると、北海道スペースポート計画も非常に開かれた宇宙開発を試行しています。
そういう開かれたという文脈で、ふるさと納税集めていたり、いろんな形で企業さんとコラボしたり、北海道スペースポートの計画に中でクラウドファンディングやったり。ネーミングライツで滑走路の名前を公募するみたいなことですよね。そういうことができるほど開かれた場所っていうのはないので、そういう面白さっていうのは出していこうと。北海道スペースポートのプロジェクトのメンバーで進めていこうと思っているので、実際にそこに参入して一緒にやろうと言ってくれる方々が増えて欲しい、参入する人が増えてほしいというところですね。
ロケットっていうと、すごく限られたジャンルに見えるんですけども、やっぱりこのまちづくり、地方創生っていう文脈なんですよね。というところまで含めると、もっと多くの人に一緒になって、この地域を盛り上げていってもらいたいなと、一緒に盛り上げたいなと思っています。とにかくいろんな人に参入してもらいたいっていうのが、足りないところだと思っています。
小田切氏:ありがとうございます。では続いて内海先生。実は室蘭工大さんは、大樹町に室蘭工大のサテライトオフィスも持っていただいて、先生にも足繁くこちらに通っていただいているという状況です。では、お願いします 。
内海氏:教育の面でちょっとお話しさせていただくと、例えばうちの大学の中で、私の研究室はけっこう道外から「宇宙開発がやりたくてこの研究室に来ました」っていう学生が結構いるんですね。
そう考えてみると、小さい時はやっぱり宇宙開発とか、飛行機とか、ロケットとか好きな子がたくさんいるんですよね。思ってみると、これからシリコンバレーに人がたくさん集まるようになるためには、宇宙好きとか宇宙オタクとかじゃなくて、もうちょっと子ども向けのコンテンツを揃えていくことが重要かなと、教育の面では考えます。
小さい時に興味を持ったことって非常に大事で、それを小学校中学校、高校大学と続いて、こういう航空宇宙の分野に人がたくさん来るようになってほしいなと思います。現に例えば、うちの研究室の例でいきますと、京都出身なんですけどうちの研究室を出て、ISTに就職して、『MOMO』のプロジェクトマネージャーをやった堀尾君という方もいます。それから大樹高校出身で、ロケット開発やりたいと言って室蘭工業大学に来られて、今3年生でうちの研究室仮配属になったナカムラユウタ君という方もいます。
やっぱりそういった小さい頃目指して、興味持ったことを大事にするべきだなと思っていて。そう考えると、小さい時にそういう航空とか宇宙とかに興味をもってもらう活動とか、コンテンツが足りないのかなと思うんですね。北海道に来る方、観光旅行で非常にたくさん人来るわけですけれども、どうしても例えば小樽とか函館とか、大都市に行きがちなんですけれども、そうではなくて、こういった十勝だとか南十勝も含めて、気軽に人が集まって来られるような仕掛けを作ると、本当に人が集まってきて、さらにその子どもたちが宇宙の敷居を下げるというか、バンバンバンバンロケットが打ち上がるようになれば、日常になってきますので。今はどうしてもロケットというと遠い世界のようなイメージを持たれがちなんですけども、「そうでもないですよ」と示すのが非常に大事だと思っています。ですので、子ども向けのコンテンツを、きちんと整備することが効果的なのではないかなと思っています。
小田切氏:ありがとうございます。実は子どもに対するアプローチって非常に重要だと思っていて。北海道に先ほど産業があったってお話ししましたけど、産業が隆盛を極めていたおかげで、室蘭工大、北見工大もそうですけども、その他に実は北海道内って4つ高専があるんですね。釧路、旭川、函館、苫小牧この4か所にあります。それぞれ産業があったためで、当然そういうとこで働く人が必要だったと。
そのDNAは脈々と残っていて、今運がいい方は道内で仕事を見つけています。でもなかなかタイミングが悪くて、仕事が見つからないみなさんは、だいたい内地(=本州)の方に行かれているという状況です。ここでもし、こういった新たな宇宙産業、宇宙関連産業が広がってくれば、そういう方達がより一層北海道に残りたいとなるんだと思います。
私もこの地元の大樹高校でもお話しさせていただいているんですけど、やはり3年生のみなさんとかに伺うと、仕事がないので札幌の学校、あるいは内地の学校に行きます。で、そのまま向こうで就職すると思います、とおっしゃるんですね。
そこに行って生活できるものがあれば当然残りたいと。特に十勝のみなさんって、仕事があれば、極めて残りたい比率が高いらしくて。なので、そういうことをきちんとやっていくっていうのもとても大切だなと思っています。あと内海先生がおっしゃったように、野口聡一宇宙飛行士の本を読むと、野口聡一さんはやはり子どもの時に、何気なく親に連れて行ってもらった筑波宇宙センターで、ロケット人工衛星を見て「こういう仕事やりたいな」と思っているんですね。やっぱりそういうのってすごく大事で。そういう場所を作っていくってことも私たちにはたぶん求められているんだろうなと感じています。すいません長くなりました。では倉原さんお願いいたします。
倉原氏:私も「宇宙版シリコンバレー」になるために足りないものは本当にシンプルな答えとしては人とお金だと思います。人については、先生とかが言われていたことに賛成で。私自身も大分県出身なんですけれど、小さい頃小学校の頃に福岡にあったスペースワールドっていうテーマパークがあって、そこに行ってものすごくそれが印象に残って。そこからもうずっと宇宙やりたいっていうので、ここまで来ています。
そういった宇宙とか、宇宙ではなくてもある分野、何かに情熱を持った人をたくさん作っておかないと、それに関係した産業って発展しないのかなと思います。個人の経験からも踏まえて、非常に人材育成っていうのは重要だなと思います。で、もうひとつのお金の部分なんですけれども、お金って言ったら身も蓋もないんですが、やっぱりこれは必要で。ただ資金を集めましょうというのではなく、私は全体的なビジネスモデルの設計っていうのが大事かなと思っています。
例えば宇宙産業クラスターみたいなものを、海外で見てみますと、フランスのトゥールーズ、それからアメリカのシアトル、それからサンフランシスコもそうなんですけれど、やっぱり核になるお客さんがいるんです。
例えばヒューストンだったら、まさにNASAとか。シアトルのほうだとボーイングとかですね。大手の衛星企業があって。そこが中心になって、お金の流れっていうのがわかるんですね。誰がエンド顧客かみたいなところを考えるのが非常に重要かなと思っています。
もうひとつ例でいうとルクセンブルク。ここは宇宙産業クラスターをこれから作ろうとしているところなんですけれど、ここは政府が宇宙産業を自国に作るために、まずは政府がお客さんになると。そのために企業にお金、契約を出して宇宙産業クラスターを作ろうとしていると。
そういったやり方があると思うんですが、じゃあ誰がエンド顧客なのか、どこからお金が入ってくるのかっていうところを意識するのが重要かなと思っています。政府であるものもひとつですけれど、それだけに絞る必要もなくて。例えば北海道で盛んな農業とかですね。農業ですと衛星画像であるとか、GPSを使う用途がかなりあると思っています。そういった利益になり、役に立つことから実際にその先を設計していくことが重要かなと思います。
北海道宇宙サミットに残したいメッセージ
小田切氏:最後にみなさん簡単に一言、今回第1回の宇宙サミットということで、サミットに残したいメッセージがあれば一言お願いしたいと思います。では、富山さんからお願いします。
富山氏:やっぱり関わる人がたくさん増えること、企業が増えることがすごく重要だなと思いますんで、すごく価値を感じたコアの部分の一つだけじゃなくて、一般の方にもこういうことを感じてほしいなということで、サツドラでは『超炭酸水』っていうのを売っていまして。それを買えば買うほど1円ISTさんにファンディングされることになってますんで、ぜひまず炭酸を飲んでください。よろしくお願いします。
小田切氏:では眞鍋さんお願いします。
眞鍋氏:もう1円スペースウォーカーに入るようにしてもらえないですか(笑) 宇宙サミット第1回目ってことで、メッセージどうしようかなと思った時に、今のこの地上の産業って、けっこう成熟しているように見えて、特に日本のこの大企業と呼ばれている産業って、言ってもたかだか100年以内の話かなと思っています。
宇宙に携わると、個人的な話なのかもしれないんですけど、すごい恐怖感があって。というのも、「スペースXが、ロケットを飛ばして衛星を飛ばして、何を目指しているんだ」と考えると、すべての産業の垂直統合に向かっていると感じているからです。
「何で通信衛星大量に打ち上げるの」って言ったら、テスラの自動操縦をやるためにやっているんですよね。テスラの自動操縦は、IoTですね。自動車っていうよりも、情報をどんどんあそこで吸い上げるっていう。そうすると、今まで地上にあったあらゆる産業が、ひとつの会社で垂直統合にされそうな状況になっているのが、ここ数年の話かなと思っていて。
宇宙を相手に見た時には、地上の既存の固定概念は通用しなくなる、大企業も本当に甘んじない方がいいと思っているとこがあって。使い捨てカメラ今みんな持ってないですよね。かつてあれで大企業になった会社さんありますよね。というのが、あらゆる産業で起きてくると思っているので。
やっぱり宇宙に向けて、自分たちは今後どう攻めていくんだというのを、本当にそれぞれの産業が真剣に考えたほうがいいし、先ほども言いましたけど、日本の技術でものづくりに対する技術はすごく優れたものがあると思っているので。金だけでは買えない領域、その技術力っていう点で優れている間にやっぱり勝負を仕掛けるべきだと思うし、まだ今のタイミングが間に合うと思うんで、それをここ北海道の地でもいいですし、とにかくここでやるんだっていうその産業の集積を図って、世界のリーディングカンパニーがそこから何社も生まれてくるっていうのが大事です。この宇宙サミットっていうのが単なる会合ではなくて、そのための第一歩だと捉えてみなさん帰っていただければ。
我々スペースウォーカーのロケットも使ってほしいし、ISTさんのロケットも使っていただけるようになるし、これが好循環になって、ヒト・モノ・カネ・情報が集まってくるという仕組みができると思いますので、ぜひみなさんも自分ごとにして帰っていただければと思います。
小田切氏:ありがとうございました。稲川さんお願いします。
稲川氏:僕自身は大樹町に住んでいるので、北海道非常に盛り上がってほしいなと心の底から思っています。ありがたいことに、いろんな県の講演会に呼んでいただきます。宇宙産業ってこれからすごく伸びる産業だって言われていて、それを誘致したいだとか盛り上げたいっていうことで、いろんな県が宇宙産業を取り込みたい、誘致したいと非常に盛り上がっています。実際に予算がついていたり、人がアサインされていたり、ものすごく数年前からは考えられないぐらい盛り上がってきています。
正直、宇宙産業、宇宙系の企業でアクティブに動いている企業より、こういう誘致したい自治体の方が現状だとまだ多いんじゃないかなっていうくらい、いろんなところが宇宙産業っていう言葉を言っています。それだけ有望な産業だっていうふうにいろんなところで見られているような、そういう状況です。
一方で、宇宙サミットで、こうやって一生懸命にしたり、我々が盛り上げようとしていますが、他の県に比べて北海道はどれだけ頑張れているかと言うと、まだまだこれからだと思います。ポテンシャルの割にはやっぱり参入する人がすごく少ないなと思っています。
繰り返しになりますが、本当に多くの人に参入してもらいたいし、宇宙産業は、北海道だけを見ていると、ISTや大樹町の動きしか見えないかもしれないですけども、日本に目を向ける、世界に目を向けると、本当にこの新しい産業が立ち上がろうとしているタイミングだっていうところはしっかり知ってもらいたいなと思います。
小田切氏:ありがとうございます。内海先生お願いします。
内海氏:今日このサミットに出席させていただいて感じたことなんですけど、私も北海道に移り住んで5年弱経ったわけですが。その間、宇宙をテーマとしていうか仕事としてやっているので、いろんな方と知り合ったり、仲良くさせていただいているんですけど、改めて今日こういう場があって、まだまだいろんなアイデアとか自分たちが気づかされることがたくさんあるんですね。
この宇宙サミット今回1回目ですが、そういう場を提供するすごく良い機会だと思っていて。この1回だけでなく、これから続いていくと思うんですけど、そういう場を、仕組みを作って定期的に行うような形がいいのかなと思うんですね。こういった場を有効に使うことによって新しいアイデアはどんどん生まれてくるではないかと思っていますし、今回本当に私も思ったのは、いろんなアイデアを、今日1日だけでもたくさんいろんな方とお話しして、いただきました。そういう場をどんどん提供していただきたいと思っています。場合によっては十勝祭りとか、大樹祭りとか、宇宙とお祭りみたいのを掛け算してもいいんじゃないかと思います。
小田切氏:ありがとうございます。ぜひそういった取り組みも進めていきたいと思っています。今回は1回目ですけども、これからもより良いものにしていきたいと考えています。では最後に倉原さんお願いします。
倉原氏:今回このお話いただいたとき、コロナの状況とかもあって本当に開催できるかなと心配したんですけれど、実際にもうフェイスtoフェイスでの開催をされた主催者の方に、本当に頭が下がる思いですね。
やっぱり来てみて、すごく熱意を感じました。実際に将来こういったことが、どんなことが起こるのかなと期待されている方も多くいらっしゃるのだなと思いました。やはり未来とかのことを語るのと同時に、実際に自身の進捗を一個一個作っていくことが非常に重要だなと思いましたので、関わる者として着実に実績を作って、スペースポートとか弊社の事業とかですね。一個一個を形にしていって、また次回はそういった実績の部分のお話もできたらいいなと思っております。ありがとうございます。
小田切氏:ありがとうございました。では、これでセッション4を終了させていただきます。ありがとうございました。
※本記事はカンファレンスでの発言を文字に起こしたものです。言い回し等編集の都合上変更している場合がございます。
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