北海道から宇宙へ2度目の到達成功!大樹町からのロケット発射に密着
2021年7月3日(土)、インターステラテクノロジズ株式会社(以下、IST株式会社)が開発する『MOMO』の7号機『ねじのロケット』の打上げが成功しました! 筆者は打ち上げ当日の準備作業から成功までの1日に密着。その模様をお伝えします!
「MOMO3号機」に次ぐ2度目の宇宙空間到達へ!
IST社は「世界一低価格で、便利なロケット」をコンセプトに観測ロケット『MOMO』を開発。過去に5機の打ち上げを試みています。
2019年5月打ち上げの『MOMO3号機』は民間企業が開発・製造したロケットとして日本ではじめて宇宙空間に到達。しかし、その後の『MOMO5号機』は残念ながら宇宙に届かず、2020年7月『ねじのロケット MOMO7号機』の打ち上げは、エンジン点火器の不具合で延期。今回は、1年の改良を経ての挑戦となりました!
「ねじのロケット」打ち上げ準備作業
『ねじロケット』打ち上げ当日、筆者は発射前の最終確認と機体を立ち上げる作業を取材。打ち上げは11時を予定していたため、作業は早朝4時過ぎから始まりました。
射場の格納庫から機体がゆっくりと姿をあらわします。
全長10mもの機体が立ち上がるシーンは圧巻!
作業をじっと見つめるIST社代表・稲川貴大さん。その表情は真剣そのものです。
稲川さんは、『ねじのロケット』への意気込みについて次のように語ります。
「『ねじのロケット』は昨年7月に打ち上げを試みましたが、エンジントラブルで1年延期しました。この1年間で全面改良し、そのためにスタッフも大幅に増員しています。みんなモチベーションが高く自信がありますよ。今回の成功は、超小型人工衛星打ち上げロボット『ZERO』の成功に大きく繋がるでしょう」
『ねじのロケット』1年延期から“信頼性”を軸に改良してきたという稲川さん。成功への自信にあふれていました。
ただ、当日の天気のコンディションについては慎重な様子。「地上の状態は良いですが、雲がかかっているので、慎重に上空の状態を確認しながら打ち上げを予定しています」とのこと。
「ねじのロケット」打ち上げ成功!
11時からの打ち上げは、上空の氷結層が打ち上げ基準を満たさなかったため、予定時刻を変更。夕方からも天候の状態で打上げ時刻が変わっていき「なんとか上がってほしい!」と願うばかりでした。
予定17時45分『ねじのロケット』ついに発射! 最終打ち上げ時刻5分前のことでした。
『ねじのロケット』は垂直に上空へ。発射から約4分で高度約100kmの宇宙空間に到達し、2度目の宇宙到達を達成しました!
発射や機体のカメラが地球の姿をとらえた様子はYouTubeで生配信。アーカイブでも視聴可能です。
会場に来られた大樹町の酒森正人町長は、「3号機打ち上げ成功から2年、満を持しての打ち上げでした。時間もせまり心配はしましたが杞憂に終わり、非常にきれいな打ち上げでした」と心境を語りました!
昨年の延期で、チームの団結がより強くなったというIST株式会社。チーム力への“自信”にあふれた成功となりました。
今回の成功は、今夏打ち上げ予定の『TENGAロケット』、そして超小型人工衛星打ち上げロケット『ZERO』に向けての大きな一歩。これからの挑戦にさらに期待が高まります!
<結果概要>
■打上時刻:2021年7月3日(土)17時45分01秒
■最高高度:約100km
■最高高度の到達時刻:2021年7月3日(土)17時49分
■着水時刻:2021年7月3日(土)17時55分
■着水位置:射点より南東方向約73kmの海上
※上記の数値は暫定値のため今後の解析により変動する可能性あり
【画像】インターステラテクノロジズ株式会社
⇒こんな記事も読まれています。
インターステラテクノロジズ株式会社代表・稲川貴大。「宇宙をもっと身近に」大樹町でロケットを開発する理由
大樹町町長・酒森正人。先代らの想いを胸に、生粋の大樹人が挑む「宇宙のまちづくり」
この夏いよいよ打ち上げ!3つのミッションに挑戦する「TENGAロケット」機体完成