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北海道だけだったの…?本州の人が驚くハロウィンのような「北海道の七夕祭り」とは

2021.07.04

願い事を書いた短冊を笹に飾り、織姫と彦星が会う天の川を眺める、7月7日の七夕。北海道では独自の“七夕祭り”があります。道産子からすると「子どもの頃にやったなぁ」「この時期になるとあるよね!」と思い、道外の人からすると「何それ?」と驚いてしまいそうな七夕祭りとは?

北海道の七夕は8月7日

北海道の七夕は7月7日ではなく、1ヶ月遅れの8月7日です。全国的に七夕だといわれている中で、道産子としては毎年ちょっぴり疎外感を感じています。

そもそも七夕行事は、現在の暦とは違う旧暦の7月7日におこなわれていたものでした。旧暦は現在より1ヶ月ほど遅い暦で、旧暦での七夕は8月になります。北海道では今でも旧暦での七夕の名残が残っているのかもしれませんね。

まるでハロウィンのような「ローソクもらい」

そんな北海道の七夕、8月7日におこなわれる風習が“ローソクもらい”です。“ローソク一本”とも呼ばれます。

七夕の夕方、子どもたちがはやし唄を歌いながら近所の家を回り、ローソクやお菓子をもらいに行くという行事です。子どもの年齢は就学前から低学年ほど。子どもたちは浴衣を着たり、缶灯籠や提灯を持っていたりもしますが、普段着のラフな格好をしている子も多かったと筆者は記憶しています。

多くの地域では8月7日におこなっていますが、新暦の七夕である7月7日におこなっている地域(函館市など)もあるようです。

道産子の筆者が子どもの頃にもありました! 参加したことはありませんが、近所の同級生が我が家にやってきたこともあります。“ローソクもらい”の時期、各家庭では子どもたちに渡すお菓子を用意していました。

子どもたちがお菓子をもらいに行くというのは、海外のハロウィンにも似ていますね。

「ローソクだーせーだーせよー」

お菓子をもらいに行ったら、子どもたちはこんな歌詞のはやし唄を歌います。

「ローソクだーせーだーせよー。だーさないとーかっちゃくぞー。おーまーけーにかみつくぞ」

リアルなメロディを忠実に再現してみました。意味がわかりやすくなるように書き直すと……

「ローソク出せ、出せよ。出さないとかっちゃくぞ。おまけに噛みつくぞ」

「かっちゃく」とは北海道の方言で「ひっかく」という意味です。なかなか物騒な歌詞ですが、子どもたちが歌うのでかわいらしく聞こえます。

この歌詞もまた「お菓子くれなきゃいたずらするぞ」というハロウィンによく似ていますね。

地域ごとにはやし唄の歌詞が違っていた!

はやし唄の歌詞は地域ごとに違うようで、

「ローソク出せ、出せよ、出さないとひっかくぞ、おまけにかっちゃくぞ」

「ローソク出せ、出せよ、出さないとひっかくぞ、おまけに噛みつくぞ」

と少し言葉が入れ替わっている場合もあるようです。かと思えば函館では……

「竹に短冊七夕祭り、オーイヤイヤヨ、ローソク一本ちょうだいな」

とかなり違う歌詞で歌うこともあるそう。同じ風習でも、地域ごとに伝わり方が少しずつ変わっていっているのかもしれませんね。

ちなみに、“ローソクをもらう”という意味のはやし唄・わらべ唄は、北海道だけでなく秋田県や新潟県などにもあるようです。

 

今はなかなか人が集まったり、訪ねたりすることが難しい時代ですが、古き良き文化や風習は残していきたいところ。また子どもたちのかわいらしい歌声が聞こえてくる北海道の夏がやってきますように。

【参考】
質問3-10)伝統的七夕について教えて / 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台
小暑と七夕とライトダウン / 環境省 皇居外苑ニュース
“ローソクだーせー、だーせーよ”町内各所で七夕の日を楽しみました / 湧別町
北の生活文化(春から夏にかけての行事 ) / 北海道 環境生活部 文化局文化振興課
ハロウィンパーティ② / 北海道奥尻高等学校
北海道の方言クイズ / 国土交通省 北海道開発局
『函館市の七夕行事「ローソクもらい」の実態』山崎福太郎(国立大学法人信州大学 教育学部自然地理学研究室『2011年度地理学野外実習報告書Ⅳ 函館』(2013) )

【画像】Happy Photo、kai、mits、sarakazu / PIXTA(ピクスタ)