真夏のオープン戦の注目馬は?今年引退の”絶対的王者”の黒星のワケ【ばん馬の見方、プロが教えます。#6】

専門家がばんえい競馬の“今”を紹介する連載『ばん馬の見方、プロが教えます。』。第6回目は、ばんえい競馬の専門予想紙『ねっとばんばキンタロー』の編集長、板垣雅己さんに、この夏注目のばん馬や、観戦や予想の楽しみ方を教えていただきました!

画像:ばんえい十勝

板垣雅己(いたがき・まさみ)
1969年生まれ、北海道旭川市出身。ばんえい競馬の専門予想紙『ねっとばんばキンタロー』の編集長。読みやすい紙面として定評のあったばんえい競馬名門新聞『ばんえい金太郎』の2017年3月休刊を機に、『ねっとばんばキンタロー』を立ち上げた。ばんえい競馬・馬場管理の職員から転身した経験、人脈を活かした予想を提供する。

馬場もばん馬も十人十色!ばん馬が得意な砂の状態って?

夏場の帯広競馬場において、春先と比較して“馬場状態”や“レース展開”にどのような変化や特徴が見られますか?

シーズンの最初の4月に馬場の砂の入れ替えがあるのですが、最初は入れ替えたままの砂なので重たい状態なんです。それがレースを重ねて固まっていくので走りやすくはなってるかなと思います。ただ、夏は急な雨も多いので、砂の状態の変化にも注意した方がいいかもしれませんね。重量の軽い馬は湿った馬場が得意、比較的重い馬は乾いた馬場が得意など、それぞれ特徴があります。

気温が上がるこの時期、馬のコンディションやパドックで“特に気をつけて見ているポイント”を教えてください!

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やはり、馬は暑さに弱い動物なので、夏場だと10〜20kgくらい減っていることがありますね。また、発汗が激しい場合も体調が心配ですね。ばん馬は月に2回出走できるのですが、体調の良くない馬は体力回復に時間がかかるので、コンディションを見ておくべきですね。

「旭川記念」「ばんえい大賞典」を振り返って

「旭川記念」を振り返り、古馬オープン勢の中で特に強い内容を見せた馬や、今後の後半戦に向けて好走が期待できる馬はいましたか?

今回の旭川記念は、メムロボブサップが出走していなかったんですよ。そのため、どの馬がきてもおかしくないようなレースだったのですが、なかでも6番人気のタカラキングダムが1着にきました。前回までは障害ゾーンでの調子が良くなかったのですが、今回は調子も回復しており、今後は障害ゾーンで安定させることがカギになってきますね。

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また、前回北斗賞で初めて重賞勝利して今回1番人気だったツガルノヒロイモノですね。今年は特に調子がいいので、今後も重賞レースでは上位争いできるのではないかなと思います。そして2着のクリスタルコルドも旭川記念を2連覇している馬で、障害が上手なので、重たい重量でも障害を上がれるような安定感があります。

3歳馬世代最初の重賞「ばんえい大賞典」において、レース展開や今後の戦線を占う上で印象的だった馬やポイントは?

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3歳馬世代は今まで重賞レースが6回行われてきましたが、6回すべて勝ち馬が違うんです。つまり、それだけ接戦、混戦の世代なんです。今回初めて勝ったヤマトテンショウは逃げ馬で、他の馬よりも先に障害に滑り込むタイプです。また、雨だったこともあり馬場が軽かったのでこの馬に有利に働いたとも考えられますね。

あと、中村太陽騎手がそれを利用してうまく騎乗したことも勝利の一因だったと思います。障害は上手ですが、乾いた馬場の時にどれくらい粘りこめるかということがカギかなと思いますね。

ズバリ!8月注目重賞の見どころは?

ファン待望の真夏の大一番「ばんえいグランプリ」に向けて、真夏のオープン戦を制する鍵や、板垣さんが特に注目しているばん馬は?

8月1日の特別レースでは圧勝したメムロボブサップ
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やはり5年連覇中のメムロボブサップですね。他の馬と比較して、力がうんと抜けているので、今回も出走するとしたら、当然中心になるでしょうね。問題は2番手です。 2番手、3番手でそのままを差し切ることもできる馬、あるいは、障害から先に降りても逃げきることができる馬が中心になってくると思います。

とかち桂冠賞で惜しくも優勝を逃したメムロボブサップ。この結果はどう分析できますでしょうか?

メムロボブサップの敗退は非常に意外な結果でした。優勝したキングフェスタは障害を降りるのが不得意な馬ですが、今回のレースではうまく障害を降りることができていたので、メムロボブサップの力及ばずという結果になったと考えられます。

ただ、ちゃんと2着にはつけていますし、重賞に向けての特別レースというステップでもあるので、それほど心配しなくてもいいんじゃないかなと思います。

最近、特に調子の良いばん馬はズバリ?

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クリスタルコルドやツガルノヒロイモノですね。クリスタルコルドの場合は、障害から降りてからの足が遅いので、先に障害から降りて粘りこんで欲しいですね。メムロボブサップより先に障害から降りることができればまだチャンスがあると思います。ツガルノヒロイモノは、重量は800kg前後と重たいですが、無理に前に行かなくても、他の馬より後ろで障害を降りて差しきる速さもあるので、展開を見ながらついていってほしいですね。

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もう一頭注目したいのが、キングフェスタです。去年は2着という結果になっており、メムロボブサップを負かすこともできるくらいの素質があります。障害さえ上がれればという条件でチャンスもあるかなと思います。

3歳と4歳が激突する「はまなす賞」について、世代間の力関係や斤量差も踏まえた見どころ、面白い存在になりそうな馬を教えてください。

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実力的には4歳馬が有利だと思います。ただ、3歳馬のヤマトテンショウはもしかしたらハンデが30、40kgくらいつくかもしれないので、軽い馬場だったり、逃げるのに有利な馬場だったら、軽量を活かして先に障害から降りて逃げ込むことができると勝ち目があるかもしれません。

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4歳馬で注目しているのはスターイチバンです。今年も古馬の重賞に出て、メムロボブサップに次いで2着に来ており、素質のある馬でこれからが楽しみです。

プロ視点から見た“騎乗スタイルの違い”とは?

騎手についても様々な騎乗スタイルがあると思います。昨年のリーディング3位の西将太騎手について、主戦を務めるコウテイやキングウンカイなどでの騎乗も含め、プロから見て感じる“レース運びの巧さ”や“障害での勝負強さ”などの特徴・強みとは?

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まず、コウテイが帯広記念でメムロボブサップに勝っているんですね。ヤマトテンショウと同じく先に障害から下りて粘りこむスタイル(逃げ馬)ですが、西さんは差す競馬が得意な印象ですね。

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キングウンカイは、まだ2歳馬なので障害ゾーンは不安定ですが、障害の下で足を止めて、最後差しきるようなレースでした。西さんは、馬の特性を活かし、馬の能力を引き出すような競馬をするので、穴馬など人気が低くても(順位をあげて)来るような印象があります。

金田利貴騎手について、昨年はコマサンエースやカフカなどで重賞を5勝挙げています。騎乗スタイルや、トラックから見て感じる“馬の能力を引き出す技術”“若手・中堅としての勢いについて教えてください。

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お父様が調教師なので恵まれた環境にはいると思いますが、彼もまだ勉強している途中だと思います。

カフカは、几帳面でスタートが遅いので、道中で前に行かなければならないんですよ。道中スピードを上げようとすると、気性の荒い馬はうまくいきませんが、カフカが重賞をとったときには、うまく前につくことができたんですね。

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金田さんは逃げ・先行が得意で、安定して(馬の)力を引き立たせられるような印象があります。6年目なので、まだまだ勉強中だと思いますけれども、いい馬にも乗らせてもらっているので頑張ってほしいですね。

最後に、ファンのみなさんにメッセージをお願いいたします。

今年はメムロボブサップが引退する年なので、メムロボブサップが出走するレースは見ていただきたいのと、メムロボブサップの次にくるばん馬を予想しながら見てもらいたいですね。

北海道Likers編集部

今年は絶対的王者メムロボブサップの引退というメモリアルイヤー!
メムロボブサップに注目が集まる中、他のばん馬も引けを取りません。

次なる王者を見つけたり、砂とばん馬の相性を観察したり、自分なりのばんえい競馬の楽しみ方を見つけてみてください。夏のアツい戦いに乞う期待です!

文・取材/北海道Likers編集部 写真/ばんえい十勝

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