アイキャッチ木滑さん

村外から人が集まる「泊まれる喫茶店」元地域おこし協力隊のオーナーが作るコミュニティの場

積丹半島の西南に位置する神恵内(かもえない)は、アイヌ語で“カムイ・ナイ(美しい神の沢)”を意味し、漁業を中心に発展してきました。1920年に人口4,357人とピークを迎えましたが、その後は減少の一途をたどり、現在は道内で2番目に少ない764人(2023年9月30日現在)となっています。

神恵内村にある「泊まれる喫茶店ふくろま」は、村外からの移住者が営むカフェ。神恵内唯一のカフェなのだそう。小さな村でお店を開いた理由を伺いました。

地域おこし協力隊から移住者に!

「泊まれる喫茶店ふくろま」のオーナー木滑雄大さんは、2016年に地域おこし協力隊として江別市から神恵内村に移り住みました。前職はコールセンターのスタッフで、「刺激を求めて地域おこし協力隊に参加した」と言います。最初は江別市に近い浦臼町の協力隊になることを考えていましたが、募集が締め切られたことを知り、神恵内に変更したそうです。

地域おこし協力隊の任期は3年です。地域をサポートする目的で採用されていますが、これまで過ごしてきた環境の違いや、役割の行き違いなどにより、トラブルが発生することも少なくありません。

「私の前に採用された隊員が1週間で辞めてしまったので、絶対に最後まで残ってやろうと思いました」

地域おこし協力隊として住民の方々と接するなかで、村に必要なものを考えたときに、コミュニティの場を作ることを思いつきました。時計店だった店舗をDIYで改装し、2019年、獲ったニシンを海中で一時的に保管する港湾施設“袋澗(ふくろま)”を店名にしたカフェをプレオープン。2020年に本格的に始動しました。

さまざまな人が立ち寄るコミュニティスペース「ふくろま」

外観も店内も手作り感たっぷり。譲り受けたときは店舗そのもので、入り口側が時計店の店舗、奥は居住スペースだったそうです。木滑さん自ら時間をかけて改装を行いました。地域のコミュニティを目的に開業しましたが、村外のお客さんの利用が多いそうです。

長期的に旅行している方や、芸術関係のお客さんが立ち寄ることが多く、北海道の全市町村でものまねライブをやりたいという芸人さんが立ち寄ったこともありました。村民から寄贈されたピアノやギターを使って、ちょっとしたセッションが開かれることもあります。

黒板にはチョークアートが描かれています。この日は木滑さんの友人が書いた計算問題が残されていました。黒板の隅には宿泊客や役場職員による作品が飾られています。“みんなで何かを持ち寄るカフェ”という雰囲気が伝わります。

ときには思いがけず有名人が訪れることも。「去年、Twitter(現X) の番組の取材で、カンニング竹山さんが綺麗な女性と一緒に来店されました。そのときは普通に話しかけてしまいましたが、あとから元AKB48の篠田麻里子さんだったことが分かり、びっくりしました」

懐かしさを感じる宿泊スペース

2階は宿泊スペースになっていて、素泊まりは3,500円、朝食付きは4,000円で宿泊できます。客室の作りは昔の民家そのもの。土壁が懐かしさを誘います。村内には夜営業の飲食店は少ないため、応相談で夕食を提供することも可能。

道路を挟んだ向かいに“行列ができる名店”として名高い「勝栄鮨」がありますが、昼のみの営業ですので注意してください。

壁などに描かれた絵は、児童養護施設「岩内厚生園」の子どもたちによるアートです。「1年に一度きれいに消して、“壁に落書きができる宿”として楽しんでもらいたいのですが、なかなか手が回りません」と木滑さんは言います。

無料で使える洗濯機も設置。浴室も使えますが、少々不具合があるので、村内の「珊内ぬくもり温泉」か、泊村の盃温泉の利用を推奨しています。

 

カフェの営業は土曜・日曜の11~17時。宿泊は予約が入り次第オープンします。驚くことに「勝栄鮨」で寿司を食べるために宿泊したり、順番待ちのためにカフェを利用したりする人も多いそうです。もちろん木滑さんの話は楽しく、それだけでも訪れる価値がありますよ。

<店舗情報>
■泊まれる喫茶店ふくろま
■住所:北海道古宇郡神恵内村80-4
■電話番号:0135-67-7397
⇒営業時間など詳細はこちら

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