ふわとろ過ぎて、爪楊枝では持てない…!? 「失敗が傑作になった」江別のキッチンカー
「えべたこ」は、“たこ焼き専門”のキッチンカーです。江別や札幌の商業施設やイベントなどで、江別産の小麦粉と北海道産のタコを使ったたこ焼きを販売しています。
爪楊枝ではなく、箸を使わなくては食べられないほどトロトロで、一度食べたら何度もリピートしてしまう美味しさ。たこ焼きの本場・大阪にも引けを取らない「えべたこ」を紹介します。
キッチンカーで自分の夢と子どもとの時間を両立「えべたこ」
2019年5月に、江別市在住の田村美紀さんが「えべたこ」をオープンしました。
たこ焼き屋を開業したのは「たこ焼きを気軽に食べたい」という理由から。近所には大手のたこ焼きチェーンしかなく、お祭りでもたこ焼き屋の出店がなかったため、「自分好みのたこ焼きを作ろう」と思ったのが始まりです。
キッチンカーを相棒に選んだ理由は、「自分の理想の実現と子どもたちのため」だと言います。
「これまで飲食店で接客や調理の経験があり、自分が作った料理をお客さんの顔が見える形態で販売したいと考えていました。一方で、私の病気により手術や入院が多かったので、子どもたちと一緒の時間を大切にしたいとも思っていました」
実店舗よりもフレキシブルに働けるキッチンカーは、自分のやりたいことを実現しつつ、子どもたちのための時間も持てると考えたそうです。
失敗作は大傑作「トロトロなたこ焼き」が完成
営業を始めるにあたり、田村さんは独学で調理師免許を取得しました。江別市内の飲食店のご厚意により、お店で働きながら空き時間にたこ焼きの試作も行います。
「お客様からアドバイスをいただいて油の量を減らしたり、家族に試食してもらい出汁の配合を調整したりと、試行錯誤を繰り返しました」と、当時を振り返ります。
ある日、失敗が原因で傑作が誕生しました。
「出汁の量を間違えて多めにしてしまいましたが、そのほうがトロトロで美味しく感じました。卵の分量を増やすなど工夫を重ねて、生地だけでも出汁が効いた、茶碗蒸しのようなたこ焼きができあがりました」
地元の材料を使った地産地消のたこ焼き
生地は、「江別製粉」の『ドルチェ』(菓子作りなどに使用されるきめ細かな小麦粉)と、たこ焼きに合う小麦粉をブレンドしています。小麦の香りが漂う、たこ焼きの常識を覆す逸品です。
タコは生地の食感を損ねないように、頭(正確には腹)が選ばれています。タコの頭は、北海道ではスーパーなどでも販売しているお馴染みの部位で、柔らかくて美味しいことで知られています。まさにすべてが“地産地消”です。
リピーター続出「迷ったときは全部食べて!」
「えべたこ」では、4種類のレギュラーのほかに、いくつかの限定商品を販売しています。その中から5つ紹介します。
たこ焼き
出汁の美味しさと小麦粉の香りが一番強く感じられます。まずはベーシックな美味しさを味わいたい方に。
チーズたこ焼き
ピザ感覚の洋風のたこ焼きです。リピーターが多いので、飽きさせない工夫を取り入れているそう。チーズが固まる前にお召し上がりください。
ねぎ塩たこやき
「一度食べると『ねぎ塩たこ焼き』の沼から抜けられなくなる」というほどの美味しさ。できれば最後に辿り着いてほしいたこ焼きです。筆者は大阪でも数多くのたこ焼きを食べましたが、これを超える味は記憶にありません。
ベーコン焼き
ハム・ソーセージ製品を生産している「トンデンファーム」で開催されるイベントに出店するときにだけ販売される限定品です。タコが不漁で入手困難だった2022年に販売を開始しました。
タコではなく「トンデンファーム」の『石狩川ベーコン ブロック』が入っています。
韓国海苔たこ焼き
海苔とゴマの香ばしさがプラスされた販売期間限定品であり、最強の組み合わせです。
そのほか、『ラクレットチーズ』などほかのお店とのコラボも行っており、たこ焼きの可能性を広げています。
人々に愛されるたこ焼きを作る田村さんですが、お子さんには「たこ焼きなんて格好悪い、クレープの方が良かった」と、理解を示してもらえず歯がゆいそうです。
しかし驚くなかれ。宇宙食用のたこ焼きが開発され、1990年代には、宇宙飛行士の向井千秋さんがスペースシャトル内で食べたという“スゴイ食べ物”です。胸を張って自慢してくださいね。(内緒ですが、クレープも宇宙食になっています)
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■えべたこ
■住所:移動販売のため公式SNS確認
※毎月最終土日は、江別市内の「トンデンファーム」で営業しています
⇒営業時間などの詳細はこちら■トンデンファーム
■住所:北海道江別市元野幌968-5
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