オープンのきっかけは「とある偶然」。草原にぽつんと佇む、評判の石窯ベーカリー
北海道美唄市の草原に建つベーカリーから、焼きたてのパンの香りが漂っています。お店の名前は「カフェ ストウブ」。
手作りの石窯で焼いたハード系のパンが評判で、市外からもお客さんが訪れています。そこには生産者とパン職人の想いが込められていました。
オーナー・西川さんのストーリー
「カフェ ストウブ」は、「地元の食材どうしの出会いを提案する」をコンセプトにしたお店です。オーナーの西川崇徳さんは、美唄で地鶏や羊を育てて販売するなど、地域に根差した循環型の農業を行っています。2015年には小麦の栽培にも着手しました。
西川さんは食材を通して出会った方々から調理方法を学ぶなかで、「食を通して美唄の良さを発信したり、人を楽しませたりすることはできないだろうか」と考えるように。
「地元の素材を活かしたメニューを提供するカフェを開いてはどうだろうか」と思いつき、理想のスタイルを求めて全国のカフェを巡る旅に出かけました。
パン職人・石井さんのストーリー
「カフェ ストウブ」のパン職人を務める石井賢さんは、三重県の出身です。パン職人を目指した理由は「親孝行のため」と言います。
「母親が三重でカフェをオープンしており、お店で自分が焼いたパンを提供できたらいいなと思いました」
大学卒業後、東京の製パン会社に就職してパン作りを学んでいた石井さん。お店を手伝うことを考えていましたが、お母さまはお店を継がせたかったようで、親子の考え方にすれ違いがあったそうです。
偶然の出会いが二人を惹きつけて誕生!「カフェ ストウブ」
「母親の店を継ぐのではなく、いずれは自分の店を持ちたい」と考えていた石井さんは、都内のベーカリーカフェに転職します。
同僚だった奥様と結婚し、子どもができたことをきっかけに奥様の生家がある札幌で店を開こうと思っていたところ、手本となるお店を探していた西川さんが来店しました。
西川さんからの「美唄にオープンするカフェのシェフにならないか」との誘いに二つ返事で快諾。2016年4月からスタッフとして準備を始め、翌年1月に“石窯(Stone Oven)”をアレンジした店名の「カフェ ストウブ」をオープンしました。
職人のカンが美味しさを左右する
「石窯は、熱せられた石から放射される輻射熱*の遠赤外線効果を利用してパンを焼きます。必要以上に水分が蒸発しないので、外はこんがり、中はしっとり・もっちりに仕上がります」と、石井さん。
素材の風味を閉じ込めたパンにするためには加減が難しく、火焚きの温度調整や薪の管理を行うほか、肌感や経験でその日に温まった窯のベストな状態を判断しているそう。
おすすめのパンを3つ選んでもらいました。
*輻射熱(ふくしゃねつ)・・・物体は温度が高くなると、電磁波を出して周囲に熱を伝える。このとき伝わる熱のこと。
フランスパン
本来は“リュスティック”という種類に分類されますが、一般向けに『フランスパン』とネーミングしました。厚い皮の中には、弾力性の強い生地が隠されています。「スッと喉を通り抜けていく食感を重視した」という、従来のフランスパンとは異なる美味しさ。ハーフサイズもあります。
イチジクとクルミ
ワイン漬けや生地内で発酵させたイチジクとクルミを使ったパンです。小麦の香ばしさとフルーティーな甘みが特徴で、具材の含有率は90%と高め。おやつ感覚で味わってください。
マキガマ コッペ
北海道産小麦『キタノカオリ』を100%使用。高温で焼き上げ、焦げ目から香ばしさが漂っています。学校給食などに出てきたコッペパンとは異なり、外は少しカリッとしていて中はふんわり。石窯だからこそできる匠のパンです。
「カフェ ストウブ」のパンは札幌市内の「フーズバラエティすぎはら」や「きたキッチン 丸井今井札幌本店」などでも販売されていますが、焼き立てをいただくなら、美唄のお店を訪れるのがベスト。
6月からは敷地内に羊が放牧されるそうなので、牧歌的な風景を眺めながら美味しいパンを味わってみてください。
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■カフェ ストウブ
■住所:北海道美唄市西5条北5丁目5-5
■電話番号:0126-35-4077
⇒営業時間など詳細はこちら
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