クリオネは何の仲間か知ってる?専門家に聞いた「クリオネの正体」が意外すぎ
クリオネは冬のオホーツク海に多く見られることから”流氷の天使”、”氷の妖精”と呼ばれています。
「サンピアザ水族館」の福田館長に”クリオネの不思議”について話を伺いました。
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クリオネ発見から水族館での飼育まで
クリオネは、ハダカカメガイ属に属する貝の一種。
その名は、ギリシャ神話に登場するクレイオーという女神に由来しています。北極や南極など冷たい海に生息しており、1773年、鯨の観察のためにグリーンランド海域を航海していたフィリップス船長によって発見されたのだそう。
日本では、かつて網走市にあった「オホーツク水族館」(2002年閉館)が、オホーツク海で採取されたクリオネ(和名ハダカカメガイ)を世界で初めて飼育しました。
水中を舞うように泳ぐ姿がメディアで紹介されると”流氷の天使”、”氷の妖精”と呼ばれ、その人気は全国区へ。日本に生息するクリオネは3cmくらいですが、北極圏では8cmにもなる、めんこくないヤツもいるようです。
貝殻を待たない不思議な貝
「サンピアザ水族館」と「オホーツク水族館」は交流があり、約30年前からクリオネを展示しています。最初は飼育方法が確立しておらず、ガラス張りの水槽を設置するなど試行錯誤していましたが、現在は専用の水槽なども開発されており、適切な環境で飼育されています。
「クリオネは謎多き生き物」と福田館長。巻貝の一種に分類されているのに貝類最大の特徴である貝殻を持っていません。ウミウシやアメフラシも貝殻を持たない貝の仲間です。
一説によると「クリオネは成長過程で貝殻が剥がれ落ちるのではないか」とのこと。
クリオネは流氷が接岸する1~3月にかけて多く見られることから「流氷とともにやってくる」といわれていますが、夏に生息している個体もあるため、戻り損ねたのか、定住しているのか解明されていません。
また、平均1~2年生きるといわれていますが、人工繁殖例がないため、これも定かではありません。「サンピアザ水族館」では、1年ごとに新しい個体と入れ替えています。
ダイエットにしては長すぎる!1年以上も断食
自然下のクリオネは、ミジンウキマイマイという生物を捕食しますが、餌の入手が困難なことや、水槽の開け閉めを繰り返すことで環境が変わってしまうなどの理由から、「サンピアザ水族館」では一切餌を与えていません。
「お腹が減るんじゃないか」と思われるでしょうが、1年間くらいは餌を食べずに生きていけるようです。また、一生に一度しか餌を食べないという報告もあります。
クリオネといえば、寄生獣のように頭が開いて捕食するポーズが有名ですが、「サンピアザ水族館」のクリオネは、餌を与えていないにも関わらず、その姿を見せることがあるそうです。
そうなると頭を開くことが捕食なのか、それ以外の理由なのか分からなくなりますが、詳細が解明されないミステリアスさが人を惹きつけているのでしょうね。
クリオネの新種が次々と発見
日本には、ダルマハダカカメガイという種類もいます。クリオネと別種と思われていましたが、調査によって同種であることがわかりました。残念ながら可愛らしさはなく、人気者になれそうもありません。
2016年、蘭越町「貝の館」と「北海道立オホーツク流氷科学センター」は、オホーツク海で発見されたクリオネは新種であると発表。オホーツク海にちなんで学名は『オホーテンシス』と命名されました。
2017年には富山湾で、世界で5種類目とされる新種のクリオネを発見。これまで同一とされた北太平洋と北大西洋のクリオネが別種なことも判明されました。新しい発見があるたびに謎が深まるなどクリオネは神秘に満ちています。
クリオネは、「サンピアザ水族館」をはじめ、「おたる水族館」「北海道立オホーツク流氷科学センター」「登別マリンパークニクス」など、さまざまな水族館で飼育されています。ぜひ愛らしい姿を見に行ってください。
【監修・取材協力】サンピアザ水族館 福田館長
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