オーム

自作のラジコンに電動歯ブラシも…!? 地元民に50年愛される「札幌の老舗模型屋」がすごかった

札幌市豊平区平岸街道沿いにある「オーム模型」は、北海道にいち早くラジコン文化を根付かせたことから”ラジコンのオーム”とも呼ばれています。2代目店長の逢坂健一さんは、父親から『巨人の星』のようにラジコン道を叩き込まれました。店内は星の数ほど模型が積み重ねられ、思わず店ごと買いたい衝動に駆られます。創業50年以上を誇る「オーム模型」の魅力をお伝えします。

電気屋から始まった「オーム模型」の歴史

1973年の創業当時は電機屋からスタートしました。「オーム模型」の呼び名で親しまれていますが、正式な社名は「オーム電機」です。「創業者である父は農業高校出身でしたが、博識で手先が器用だったので、ラジオを自作・販売して学費に充てていたそうです。卒業後は家電メーカ―に就職しましたが、私が生まれた年に脱サラして店を開きました」と健一さんは言います。

北海道にラジコンを普及させる

当時の「オーム電機」は店舗の中央を境に「電機部」と「模型部」がありました。電機関係に精通していた健一さんのお父さんは、まだ一般的でなかったラジコンの情報をどこからかキャッチしていたようです。市販品が少ないため、パーツを取り寄せて自ら製造・販売していました。

創業者のモノづくりに対するアイデアは、とても独創的。ドローンが普及する40年も前にラジコンヘリコプターにフィルムカメラを搭載して航空写真を撮影するシステムを開発しました。大手に先駆けて電動歯ブラシも開発していたそうですが、特許申請費用が捻出できず、泣く泣く諦めたそうです。

模型屋の息子は羨ましがられる!?

「おもちゃ屋の子どもは、たくさんの玩具に囲まれて夢のような毎日を送っている」……誰しもがそう憧れますが、現実は甘くなかったようです。

「親が売り物を与えてくれるわけはなく、流行りのテレビゲームは友達の家で遊んでいました。父にとってラジコンは自身の技術力。”オーム模型”の息子である以上、大会へ参加したら優勝しかありませんでした」と健一さん。わずか2、3歳からラジコンを渡されて、毎日のようにトレーニングを繰り返していました。

高校ではラジコン部に所属し、大学時代は店でアルバイトをしながら貯めたお金で全国大会に出場していました。卒業後は一般企業への就職を考えていましたが、大手のホビーショップの出現により、個人店が苦戦する時代を迎えます。業界関係者の「これでオームも終わりだ」という言葉で闘志に火が付き、すぐに跡を継ぐ決心を固めました。

白石区川下にラジコンサーキットを常設するなど、”ラジコンのオーム”は今も健在。業界をリードし続けています。

火・水・金曜日は23時まで営業しているので、仕事帰りに立ち寄るお客さんも多いそう。小さな車体ながら時速80kmも出るというから驚きです。ファミリーで楽しむ人も多く、ラジコンを通して家族の絆が深められています。

お目当ての商品が一発で見つかる品揃え

「オーム模型」には、ラジコンパーツやミニカーなど、ありとあらゆるホビーが集結しています。何軒も店を回って、ようやくここでお目当ての商品を見つけたという話を聞くと、「最初にウチに来れば一発で見つかったのに」と、悔しくなるそうです。

たくさんの商品の中から、プラモデル好きが気になる3つを選びました。

1:日本の歴史を後世に伝える「お城」

かつて日本には25,000もの城があったそうです。「オーム模型」ではたくさんの城の模型を販売しており、模型好きだけでなく、歴史好きにもたまりません。建物はもちろん石垣も精巧に再現されており、当時の建築技術の高さが伝わってきます。

2:海の男の心意気を感じる「漁船」

「株式会社 青島文化教材社」からマグロの『漁船』と、それを応用した『イカ釣り漁船』が発売されています。戦艦以外の船舶のプラモデルはとても珍しく、漁船に至ってはほとんどありません。『漁船』は荒れ狂う海のジオラマにピッタリ。『イカ釣り漁船』は電飾を施すと迫力がありそう。完成後の楽しみが広がります。

3:テクノロジーが学べる「科学系」

子どものころに、教材系プラモデルから科学の仕組みを学んだ思い出はありませんか。モーターを仕込み、コードと電池を繋いだときに、模型が動き出した感動は忘れられません。「オーム模型」には、創作意欲がかき立てられる商品がいっぱいあります。ぜひ親子で作ってみてください。

 

「オーム模型」の会計カウンターの天井には、鳥のオウムのぬいぐるみがぶら下がっています。これは、一緒に店を切り盛りする母親の利江さんが体調を崩して声が出なくなったときに、お客さんから贈られたものだそう。「ウチの店は、素晴らしいお客さんに支えられている」と笑顔を見せてくれました。

お客さんに支えられ、お客さんもお店に支えられている「オーム模型」。これからも人を惹きつけるお店であり続けてくれるでしょう。

<店舗情報>
■オーム模型
■住所:北海道札幌市豊平区平岸3条14丁目1-22
■電話番号:011-821-1367
⇒営業時間など詳細はこちら

<施設情報>
■OHMツインサーキット
■住所:北海道札幌市白石区川下2068-1
■電話番号:011-879-5381
■営業時間:【平日】15~23時、【土曜】10~22時、【日曜・祝祭日】10~19時
■定休日:月曜・木曜

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