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台風並みの風の中で立っていられる?強風地帯・襟裳岬の「風の館」で検証してきた

えりも町は豊かな自然とおいしい食べ物の宝庫です。

森進一さんの曲で有名な“襟裳岬”は風が強いことでも知られ、風速10m/s以上の風の吹く日が年間260日以上もあります。いったいどれくらい強い風なのか。『えりも風体験』ができる施設「襟裳岬 風の館(以下、風の館)」を訪れました。

いつも強い風が吹いている海上の難所

札幌から襟裳岬まで車で約4時間、本州に置き換えると東京~福島に匹敵するほど離れた場所にあります。

1959(昭和34)年1月1日に「幌泉(ほろいずみ)町」として町制が施行され、1970(昭和45)年10月1日に「えりも町」に改称されました。ただし郡域は変更されておらず、現在も「幌泉郡」の名称が使われています。

襟裳岬は、大きく太平洋に突き出ていることから海上の気候と類似しており、いつも強い風が吹いています。海上には岩礁が続いており、霧の発生も多く、海上の難所と言われています。

漁船や貨物船の航路を守るために1889(明治22)年に『襟裳岬灯台』が設置されました。最初の灯台は第二次世界大戦の爆撃で倒壊。1950(昭和25)年に再建されました。その美しさから『日本の灯台50選』にも選定されています。

カルマン渦に誘われて「襟裳岬 風の館」へ

「風の館」は、1997(平成9)年6月に新しい観光スポットとして襟裳岬にオープンしました。

自然及び周辺環境など岬に関わるさまざまな要素を考慮して設計されており、建物本体は地下にあり、地上部は日高山脈を形成しているカンラン岩の石積と緑で覆われています。

駐車場と「風の館」を結ぶ通路は『カルマン回廊』と呼ばれています。壁の模様は、強い風が細い枝など円柱状のものに当たったときに風下側にできる渦『カルマン渦』をイメージしています。

風の強い日などに電線がヒューヒューと音を立てるのは、『カルマン渦』による現象だそうです。

襟裳岬には1,000頭のアザラシが生息

まずは券売機で入館料を払って受付カウンターへ。ここではTシャツや絵葉書など、「襟裳岬 風の館」オリジナルグッズを販売しています。驚くことにオリジナル・テレフォンカードもありました。

襟裳岬はアザラシの生息地で、約1,000頭のゼニガタアザラシが生息しています。身体の模様がお金のように丸いことから、その名が付けられています。

一時は著しく数が減少し、1998(平成10)年のレッドリスト絶滅危惧IB類に指定されましたが、保護活動によりその数は増加傾向にあります。近年は観光資源として注目されていますが、その一方で漁場を荒らしてしまうなど漁業関係者にとって悩ましい問題も。

「アザラシを見たい!」という方は、アザラシが出産する春に訪れるのがおすすめ。4月から5月にかけて親アザラシが子アザラシに泳ぎを教えている姿を確認できます。近くで見たい方のために、コンブ船に体験搭乗できる『コンブボートクルーズ』や、シーカヤックツアーも実施されています。

『展望襟裳岬』では、長さ25m・高さ5mのガラス面から襟裳岬の景観をゆっくり楽しむことができます。望遠鏡を覗き込むと、岩の上でアザラシが休んでいることも。 霧の日などはガラス面にスクリーンが出て、四季折々の襟裳岬を映し出してくれます。

『風のシアター』では、ドキュメンタリー映画『アザラシの棲む岬』を30分間隔で上映しています。自然写真家の倉沢栄一さんが撮影した水中映像は迫力満点。アザラシの生態や、襟裳岬の美しさ・厳しさが伝わってきました。

台風並みの風速25m/sを体験する

「風速10m/s」と聞いてもピンとこない人には、『えりも風体験』がおすすめ。正面の装置から風が送られ、立つ位置によって風速8~25m/sを体験できます。

風速25m/sは台風に匹敵するレベル。まっすぐ立っていることもままならず、手で押さえておかなければメガネも飛ばされてしまいます。

襟裳岬では2020年3月に、最大瞬間風速36.4m/sを記録しました。これは電柱や街灯が倒れたり、ブロック塀が倒壊するレベル。どれだけ強い風が吹いたのか想像を絶します。

 

まっすぐ立つことすらできない風はなかなか体験できるものではありません。ぜひ一度「風の館」で“風とアザラシの町”を存分に楽しんでください。

<施設概要>
■襟裳岬 風の館
■住所:北海道幌泉郡えりも町字東洋366-3
■電話:01466-3-1133
⇒開館時間など詳細はこちら

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