2020年紅葉1

真っ赤な紅葉も見どころ!秋こそ行きたい「二風谷コタン」でアイヌ文化を学ぶ

2022.10.09

北海道には、白老町の「ウポポイ(民族共生象徴空間)」をはじめ、アイヌ民族の文化を伝える施設が多くあります。

その中の1つ、日高エリア・平取町にある「二風谷(にぶたに)コタン」の敷地内には博物館や歴史館など、アイヌ文化を学んだり体験できたりする関連施設が集まっています。今回は「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」にスポットを当て、ご紹介します。

「二風谷コタン」とはどんな場所?

札幌から車で約1時間50分、新千歳空港から車で1時間ほどのところにある「二風谷コタン」。広い公園になっていて、その敷地内に文化関連施設が入っています。

復元されたチセ(住居)や船などがあり、チセの中に入れるだけでなく、実際に木彫りや刺繍などの作業の見学やさまざまな体験をすることができます。

美しい紅葉も!「二風谷コタン」は秋におすすめのスポット

筆者が初めて「二風谷コタン」を訪れたのは2年前の10月。ドライブの休憩で立ち寄ったところ、敷地内の各所にこのような美しい紅葉が見られ、とても感動したんです。

どの木も立派で、葉っぱが真っ赤に色づいていました! その翌年は少し時期を早めて訪れてみることに。

真っ赤ではなく、グラデーションのように少しずつ色づいてきている葉っぱもきれいですね。「二風谷コタン」はチセと紅葉を一緒に楽しめる貴重なスポットです。

<スポット情報>
■スポット名:二風谷コタン
■住所:北海道沙流郡平取町二風谷55
■ホームページ:https://www.biratori-ainu-culture.com/trip/nibutani-kotan/

続いては、コタン内にある施設で、筆者が初めて訪れたときにその資料の多さに驚いた「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」をご紹介しましょう!

貴重な資料からアイヌ文化を学べる「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」

「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」の始まりは1972(昭和47)年に遡ります。故・萱野茂さん(アイヌ民族初の国会議員)の収集品や復元・制作した資料を展示する「二風谷アイヌ文化資料館」として開館。1977(昭和52)年に平取町へ移管され、1992(平成4)年に今の場所に移設され名称が「平取町立二風谷アイヌ文化博物館」となりました。

館内は常設展示ゾーンを『アイヌ』『カムイ』『モシリ』『モレウ』の4つに分け、アイヌ民族の暮らし、文化などを伝えています。展示品は1,000点を超え、収蔵品は4,000点にものぼるそう。

暮らしをテーマにした「アイヌ」エリア

『アイヌ』は人々の暮らしがテーマ。育児・食事などの民具類が展示されています。ここで筆者の目を引いたのが、衣類の展示です。

アイヌ民族ならではの刺繍の文様や素晴らしい裁縫技術を、表からだけでなく裏からも見ることができます。衣類といっても布素材でできているものだけではないんです!

こちらは木の皮を糸状にして編機で編まれた衣類、アットゥㇱ。

その繊維の細かさに驚きます。木の皮から作られたとは思えないほどしっかりしていて丈夫そうですね。

衣類がこのように収納され、引き出して見られるようにしている箇所も! いくつか引き出して、文様の違いや刺繍の方法を見比べてみるのがおすすめ。

そして、刺繍と同様にその技術の高さに驚かされる木彫り。道具も手作りで、用途にあわせて使えるように制作されています。女性は刺繍、男性は木彫りや道具の作成を行っていたそう。

祈りや信仰を学ぶ「カムイ」エリア

『カムイ』は、祈りや信仰・伝説など文化にふれるゾーン。アイヌ民族の方が語るウウェペケㇾ(昔話)やカムイユカㇻ(神謡)などのビデオを見ることができます。

最も目を引くのが、チセの中を模した展示。そのまわりを取り囲むように儀式で使う道具などが展示されています。

こちらは、ヌサ(祭壇)。アイヌ民族は、人間に自然の恵みを与えてくれるものや人間が生きていくのに欠かせないもの、あるいは人間の力の及ばないものなどを神として崇めます。木を削って作られるイナウ(木幣)は供物や神体の役割を果たし、イヨマンテ(熊送りのお祭り)などでもイナウが多く飾られます。

トゥキパスイは、お祈りをする際に神々へ酒を捧げるために使用する道具。1つ1つ文様が違っていて、細かい彫刻がされていました。

大きな舟がインパクト大!「モシリ」エリア

『モシリ』は、農耕や狩猟、葬送にまつわる展示。メインとなるのは、木をくり抜いて作られた大きな舟です。

沙流川流域ではサケが多く生息していたそうで、遡上するサケを捕獲し、チセで燻しながら乾燥させて保存食にしていました。

こちらは、サケの皮で作られたチェㇷ゚ケリという靴。背びれなどがそのまま残されているのがわかります。サケは食べるためだけではなく、このように大事に使われていました。

生命の誕生から死に至るまでの一連の流れにあわせ、使われていた道具などを見られるのでとてもわかりやすかったです。

<施設情報>
■平取町立二風谷アイヌ文化博物館
■住所:北海道沙流郡平取町二風谷55
■電話番号:01457-2-2892
⇒開館時間など詳細はこちら

 

平取町には「二風谷コタン」以外にも多くのアイヌ文化関連施設があります。紅葉を楽しみつつ、アイヌ文化にふれてみてください!

【参考】ポン カンピソㇱ / 北海道立アイヌ民族文化研究センター

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