アイキャッチ

2人ではじめた泊まれる廃校。「人生は想い出が宝物」旅立った夫の想いを継ぐ【北海道喜茂別町】

喜茂別町・双葉地区に、廃校になった小学校を改装したゲストハウス&カフェがあります。

「学校を手に入れて、多くの人が集まる場所を作りたい」という“ととさん”(今関安雄さん)の夢を“かかさん”(妻・舞子さん)が後押しして、2006年7月に「雪月花廊(せつげつかろう)」がオープンしました。

現在、星になった“ととさん”の代わりに3人の子どもたちが“かかさん”を支え、お客さんを迎えています。「こんにちは」というお子さんの声に迎えられ扉を開きました。

夫の希望で廃校が我が家に!?

今関夫妻が旧双葉小学校をはじめて訪れたのは2003年6月のことでした。札幌でインテリアの仕事をしていた安雄さんは、1995年に発生した阪神・淡路大震災を契機に「何かあったときに人が集まれる場所、できれば学校を入手したい」と考えていました。ある日、「喜茂別で廃校になった小学校の担い手を募集している」という情報が耳に飛び込みます。

見学に行くと安雄さんは、90メートルを越える板張りの廊下に感動。 すでに安雄さんの頭のなかにゲストハウスやカフェのイメージができていたようですが、舞子さんは「こんな古くて大きな物件を借りて大丈夫かな」と思ったそう。「札幌や千歳空港からも近く、商売をする場所に適している」という物件オーナーの熱意に賛同し、2人はこの地に根を張ることを決意しました。

安雄さんの想いに賛同する仲間の協力を得て、2005年に「旧双葉小学校史料館」がオープンしました。翌年7月には白居易の詩『寄殷協律』の一句から名付けたライダーハウス&カフェ「雪月花廊」をスタートさせます。

ライダーハウスは、1泊(素泊まり)1,000円からと格安。「“ととさん”自身はバイクに乗りませんでしたが、旅する若い人をサポートしたいという気持ちがあったようです。お金がない子には“しばらくウチで働かないか”なんて引き留めることが多く、お客さんよりもお手伝いをしてもらっている人のほうが多い日もありました」と舞子さんは振り返ります。どんなことがあっても「なんとかなるさ」と笑い飛ばす安雄さんを見ていると、不安も吹き飛んだそうです。

想い出が詰まった「雪月花廊」を未来に向ける

バイクで旅する人たちは、ライダー同士で情報交換を行います。「人生は想い出が宝物」をテーマに二人で作り上げた「雪月花廊」の評判も口コミを中心に広がり、多くの人が訪れるようになりました。このまま二人で宝物を増やしていくと思っていましたが、2017年9月に安雄さんは旅立ってしまいます。

「“ととさん”がいなくなったショックだけでなく、古い校舎の管理やライダーハウス&カフェの経営をひとりで行わなくてはならない不安が押し寄せました。それでも多くのお客さんが集まってくれるので、辞める発想はありませんでした」と舞子さん。現在は3人の子どもたちと一緒に、想いが詰まった「雪月花廊」を未来に向けて進化させています。

小学校に泊まれる「雪月花廊」の魅力

ライダーハウスのほかに、ゲストハウス(1泊2食付き5,000円)も設置しています。教室は広々とした客室にリニューアル。黒板や道具入れもそのまま活かされています。テレビはなく、夜になると交通量も少ないのでとても静か。ゆっくりと時間が流れています。

学校にはない浴室は手作り。旅の疲れが癒されました。

食事は、今関ファミリーと一緒にいただきます。手作り料理が評判で何を食べてもおいしい。毎日違う人たちと食卓を囲む生活をしているお子さんたちは、どんな大人に成長するのでしょうか。

館内はさまざまなモノであふれかえっています。「“ととさん”は古物商の免許を持っていたので売買や交換を行っていましたが、現在は一切していません」と舞子さん。欲しいものを見つけたとしても、無理をいって舞子さんを困らせないでくださいね。

体育館もそのまま活用されており、跳び箱やトランポリンが設置されています。音響機器を保護するためにボール遊びは禁止。利用時間などルールを守って楽しく使いましょう。

この夏から始まったワクワク新企画

「雪月花廊」は常に進化し続けています。最近のブームに対応して、RVパークの認定を受けました。キャンピングカーで訪れる人に喜ばれていますが、学校に泊まれる物珍しさからゲストハウスの宿泊に切り替える人もいるそうです。

2022年夏には“竪穴式住居”(1棟1万円/1日)がオープン。メディアに初公開してくれました。

竪穴式住居は8年くらい前に建設を開始しましたが、作り手がいなくなり断念。長年放置していた小屋を、親方(日本一周中の旅人で「雪月花廊」の強い味方)が修理したことで利用可能になりました。

内部は土間を中心に畳や板張りの小上がりが設けられています。どんな使い方をするかは自由。秘密基地気分でお酒を飲むのもいいですし、縄文人気分で宿泊するのも楽しい。ロフトも付いているので大勢でも賑やかに過ごせます。

これだけの施設を一人で管理する忙しさは、想像を絶します。並行して子育てもしている舞子さんは、夕食の片付けを終えた後も忙しく働いていました。これだけ頑張っているにもかかわらず、備品の持ち出しや、ルールを守らない客もいると聞き、憤りを感じました。

「雪月花廊」を利用する人は、ゴミを持ち帰る、清掃を手伝うなど各自ができることを行って、ルールは必ず守ってください。

みんなで「雪月花廊」の可能性を広げてほしい

「雪月花廊は無限の可能性を秘めています。さまざまなアイデアを持った人にどんどん活用してもらいたい」と舞子さんは言います。来年はいろんなバンドを呼んで音楽イベントの開催を予定しています。

 

舞子さんと子どもたちが安雄さんの志を引き継ぎ、それに賛同した人たちが新たなカルチャーを発信する。きっと“ととさん”も虹の橋の向こうで微笑んでいることでしょう。

<施設情報>
■雪月花廊(せつげつかろう)
■住所:北海道虻田郡喜茂別町中里392
■電話番号:0136-33-6067
⇒営業時間・定休日など詳細はこちら

⇒こんな記事も読まれています
話題の新店も!おすすめテイクアウトグルメまとめ
絶品グルメの宝庫!よらないともったいない道の駅


LINE友だち追加