鉄道ファンが宿を承継。「旧国鉄の寄宿舎を改装した宿」で昭和にタイムスリップ【網走市呼人】
北海道網走市にある「旧国鉄保養所 鉄ちゃんと鉄子の宿(以下、鉄ちゃんと鉄子の宿)」は、鉄道ファンならば一度は訪れたい宿です。踏切がすぐ近くにあり、客室から通過する列車を見ることができます。
館内はまるで鉄道博物館。貴重な鉄道資料が展示されているほか、鉄道模型やプラレールを楽しむことができます。ワクワクが止まらない鉄分たっぷりな宿に泊まってみました。
2022年度より鉄道ファンが宿を承継
「鉄ちゃんと鉄子の宿」は、「旧国鉄保養所」を転用した宿。網走駅に隣接していた建物が網走湖近くに移築され、国鉄職員の福利厚生に利用されていました。
昭和60年に近隣の「温泉旅館もとよし」が譲り受けて別館として利用。2010年5月に鉄道に特化した「鉄ちゃんと鉄子の宿」としてオープンしました。そして2022年、お客さんだった郡山卓也さんに譲渡され、再スタートを切りました。
郡山さんは仙台市出身で、北海道好きが高じて移住したそうです。父親は鉄道員。鉄道病院で生まれ、鉄道会社の社宅で育ち、自身も鉄道関連の施設会社に勤務していたという、鉄道に囲まれた人生を歩んでいます。このほど「温泉旅館もとよし」のオーナーの指名で「鉄ちゃんと鉄子の宿」を譲り受けました。
踏切と信号が迎えてくれる
「鉄ちゃんと鉄子の宿」に到着すると、踏切や信号が出迎えてくれます。この歓迎は鉄道好きにはたまりません。お宿は保養所そのもの。74年前に建築された古い建物から昭和の香りが漂っています。これまでは「温泉旅館もとよし」で受付をする必要がありましたが、現在はストレートに入館できます。ただし朝食や温泉などはこれまで通り、「温泉旅館もとよし」を利用してください。
玄関には、置戸町「工房殊刃里」の髙橋徹さん制作・木工『国鉄キハ40系気動車』が展示されています。木製の鉄道模型は珍しいので一見の価値ありですよ。
愛称や号車番号で表示された客室
客室は号車番号で統一。1・2号車は畳にカーペットが敷かれた、和洋折衷の広々としたお部屋です。
1号車にはVHSビデオデッキが設置され、ブラウン管テレビで鉄道映像を見ることができます。ビデオテープは、客車と貨車を併結する“混合列車”が運行されていたころの釧網本線や、ずっと前に廃止されたディーゼルカー、貨物列車などが映し出され、懐かしさがこみ上げます。
3号車では、2段ベッドや、年季が入った木製の窓枠、無造作にかけられた作業着などが、保養所時代を演出しています。5号車・6号車・7号車は3号車の部屋のタイプから2段ベッドが取り外されているので、天井がとても高く感じます。いずれも全室列車を見ることができるトレインビュー。踏切の音に誘われて窓を開けると、すぐそばを列車が走り去っていきました。
館内すべてが鉄道資料館
館内のいたるところに鉄道関連用品が展示されています。特に廊下の一角の『ふるさと銀河鉄道(旧国鉄池北線)』のコーナーは必見。展示品の多くは鉄道ファンなどから寄贈されたもの。目をつぶると汽笛や鼓動が聞こえてきそうです。また、鉄道関係の書籍も多く、雑誌のバックナンバーも豊富。すべて読むためには何連泊すればいいのでしょうか。
男の子に人気だというプラレールコーナーも開設しています。今年は『きかんしゃトーマス』が100台も増えました。Nゲージ(レール幅9mmとなっている鉄道模型の総称)を楽しめるレイアウトルームもあり、持ち込んだ車両模型を走らせることもできます。早めにチェックインして思い切り遊びたいですね。
「鉄ちゃんと鉄子の宿」までのアクセスは、網走駅から車で約10分、呼人駅から徒歩約30分。古い木造の建物が厳しい冬の寒さに対応できないことから、4月から10月までの営業で、予約は旅行サイトからのみとなっています。
宿泊プランには夕食の設定がなく、宿の周囲に飲食店や商店もありません。ご利用の際は、必ずチェックインの前に買い物を済ませるようにしてくださいね。
<施設概要>
■旧国鉄保養所 鉄ちゃんと鉄子の宿
■住所:北海道網走市呼人820
⇒SNSや詳細はこちら
【画像】旧国鉄保養所 鉄ちゃんと鉄子の宿
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