提灯

全国共通じゃなかった!本州とは違う「北海道ならではの盆踊り」とは

2022.08.13

日本の夏といえば花火にお祭り、そして盆踊り。ちょうちんを飾ったやぐらを人がぐるりと囲み、浴衣を着てみんなで踊る、日本の夏ならではのイベントです。北海道でも盆踊りが開催されますが、どうやら内地つまり本州とは少し違いがあるようで……。

子どもが踊るのは「子供盆踊り唄」

盆踊りでは各地に伝わる民謡や曲が使われることが多く、北海道にもほかの地域では聞かない盆踊りの唄があります。北海道ではだいたいが2曲のリピートです。

子どもが踊るのは『子供盆おどり唄』。「シャンコ シャンコシャンコ シャシャンがシャン」という歌詞に聞きなじみがある道産子も多いのでは? 「うちの地域は“チャンコ”だった」というお声が上がるかもしれません。本州の人は聞いたことがなく、もちろん踊りも知らないでしょう。

実は『子供盆おどり唄』は、戦後すぐ、子どもたちのために盆踊りを作ろうと、北海道教育委員会と札幌市教育委員会が協力して作成が進められました。作曲や作詞、振り付けをプロに依頼し、できあがったのです。北海道で生まれた曲なので、北海道だけで使われているのも納得ですね。

道産子の筆者も子どもの頃は盆踊りでこの曲を踊っていました。

大人が踊るのは「北海盆唄」

北海道の盆踊りでは子どもと大人の2部制です。夕方から子どもの時間がはじまり、そのあと大人が参加する時間となります。同じ曲を数回リピートしたら、交替して次は大人の曲。リピートしたら交替して、次は子どもの曲、という流れの地域もあります。

大人が踊るのは『北海盆唄』です。三笠市が発祥の地とされています。上磯町(現在の北斗市)出身の歌手・三橋美智也さんが歌ってレコードを出したことで全国的にも広まったようです。

道産子ではなくても、ある世代から上の方が耳にすると、「聞いたことがあるような気がする」と思われるかもしれません。

実はザ・ドリフターズのお笑い番組『8時だョ!全員集合』のオープニング曲が、『北海盆唄』の替え歌なんです。楽曲名は『チョットだけョ!全員集合!!』で、原曲よりもテンポが速くなっているので気がつかないかもしれませんが、よーく聞くとたしかに同じ曲です。

道産子の筆者は、『北海盆唄』の公式の歌詞を読んで、「私が知っている歌詞と違うかも?」と思いました。どうやら同じ曲でも、地域ごとに違う歌詞が伝わっているようです。同じ北海道内でも、生まれ育った場所ではない盆踊りに参加すると「歌詞が違う!」と気づくかもしれません。

えっ、どっちも踊りません!

北海道の一部の地域では、『子供盆おどり唄』も『北海盆唄』も踊らないそうです。したがって、どちらの曲も聞いたことがない、あるいは出身地を離れてから初めて知ったという道産子もいます。代わりに別の曲があるのだとか。

たとえば函館市では、『函館港おどり』や『函館いか踊り』を踊ります。本来は毎年夏に開催されている『函館港まつり』で踊る曲ですが、盆踊りでも使われる曲だそう。

また小樽市では、『潮音頭』を踊るそう。こちらも本来は夏に開催される『おたる潮まつり』で踊る曲ですが、盆踊りの定番でもあるのだとか。

函館市でも小樽市でも、よく知られた2曲も踊るし、さらに地域特有の曲も踊るなど場所によって違いがあるようです。

 

自分が生まれた土地とは違う場所の盆踊りを覗いてみると、曲や踊りの違いを知る機会にもなりそうです。北海道らしい夏の盆踊りを存分に楽しみましょう。

【参考】国立国会図書館、三笠市教育委員会、北海道、国立はこだて未来大学、おたる潮まつり公式サイト

「子供盆おどり唄」の作者は江別市在住だが、江別市発祥と言ってよいか。 / 国立国会図書館 レファレンス協同データベース
北海盆唄 / 三笠市教育委員会
三橋 美智也 / 北海道 総合政策部総務課
三橋美智也・民謡の旅 2 / 国立国会図書館
ドリフのツンツン節;北海盆唄よりドリフ音頭 / 国立国会図書館
“祝祭都市”函館とともに / 国立はこだて未来大学
潮音頭 / おたる潮まつり公式サイト

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