アイキャッチ 愛実選手

アイドル的存在!北都プロレス・神田愛実さん「一度は引退も考えた」デビュー10周年の想い

北海道を中心に活動している『北都プロレス』の女性レスラー・神田愛実(あみ)さんが、このほどデビュー10周年を迎えました。

母親の反対を押し切って大分から上京した少女は、さまざまな団体やフリーでの活動を経て、今では「北都プロレスの太陽」と呼ばれています。これまでの軌跡と、これからの展望を伺いました。

「北都プロレス」を支えるアイドル的存在!神田愛実さん

『北都プロレス』は、2004年に代表兼レフリーを務めるクレイン中條さんが旗揚げした団体です。同年6月に「北村農業者トレーニングセンター」で旗揚げ戦を開催。小さな町にも出向いてプロレスの楽しさを伝えています。

現在、『北都プロレス』の屋台骨を支えているのは、女性レスラー・神田愛実選手です。身長152cmと小柄ながら、愛らしいルックスと、スピーディーな動きで「北都プロレスの太陽」と呼ばれています。

反対を押し切ってプロレスラーになるために上京

愛実さんは、1994年7月31日に大分県に生まれました。

プロレスに興味を持ったのは、中学時代のこと。兵庫県を中心に活動するプロレス団体『ドラゴンゲート』の試合を見て、「かっこいい」と衝撃を受けました。母親に「プロレスラーになりたい」という想いを伝えたところ、あえなく玉砕。高校入学後もその夢は衰えず、再び母親に相談しました。

母親は、愛実さんにプロレスラーになることを諦めさせるために、「100万円貯めたら許可する」という難題を突き付けました。どうしてもプロレスを諦めきれない愛実さんは、さまざまな仕事をかけ持ち、約束通り100万円を達成。高校を中退して単身上京しました。

コロナ禍で試合はゼロ。引退を考えた!

愛実さんは、2012年に『REINA×WORLD-KAIENTAI DOJO合同新人育成プロジェクト』の練習生として入団します。

2013年に旗揚げされたばかりの『琉球ドラゴンプロレスリング』でデビュー戦を行い、その後は、いくつかの団体に所属したのちにフリーに転向。ゲストレスラーとして、さまざまな団体に参戦しました。『北都プロレス』もその一つでした。

プロレスは年間試合数が多く、毎週のようにリングに上がる日が続いていましたが、コロナ禍で試合数が激減。ついにはゼロになり、愛実さんは引退を考えるようになりました。

「5年でプロレスを辞めようと思っていたので、ちょうどいい時期なのかと思いました」

新天地を求めて「北都プロレス」に入団!

ファンから受ける声援も忘れられず、どっちつかずな気持ちで悶々とする日々を過ごす愛実さん。そんなときに知り合いから、『北都プロレス』の専属選手の話が舞い込みました。代表の中條さんが親身になってくれたことで、「これが最後かもしれない。『北都プロレス』のため、中條さんのために戦おう」と決心。2021年3月に東京から札幌に移住しました。

専属選手となって最初の大会が釧路町で行われました。残念ながら勝利でスタートを飾ることはできませんでしたが、ひたむきなファイトスタイルに魅了され、多くのファンを獲得していきます。ブロマイドが完売するなど、アイドル顔負けの人気ぶり。道内のあちこちから、熱い声援が送られています。

試合で経験を積むことで強くなる

『北都プロレス』は少人数で運営されており、リングの運搬や設営、会場の準備など、すべての作業をレスラーも一緒に行います。リングは薄いスポンジを敷いただけで、クッション性はほとんど期待できません。

叩きつけられたり、トップロープからダイブしたときの衝撃は相当なもの。「練習のときは怖くて仕方がないけど、試合が始まると不思議と恐怖心は消えてしまう」と、愛実さんは言います。

現在のようなファイティングスタイルになったのは、メキシコの女子レスラー、ラ・ハロチータ選手との対戦がきっかけです。「私が目指すプロレスはこれだ!」と気づき、怪我で療養中に15kgも減量し、空中殺法やトリッキーな動きができるよう肉体改造しました。

滝川市・江部乙神社の大会では30度を超える炎天下のなか、マリ卍選手と熱い試合が繰り広げられました。得意のダイビング・ボディプレスがさく裂。死闘の末にフォール(相手をおさえこみ、両肩を連続3秒間マットにつけること)を奪いました。

10年間の集大成をたくさんのファンに見届けてほしい

2023年8月3日(木)に札幌の「生活支援型文化施設コンカリーニョ」で行われる『神田愛実デビュー10周年記念試合』には、最初のメインイベントの対戦相手であり、姉と慕う『琉球ドラゴンプロレスリング』のハイビスカスみぃ選手と、同団体代表兼選手のグルクンマスク選手を指名。『北都プロレス』に馴染み深い仲川翔大(しょうた)選手をパートナーに、『北都プロレス』初となる男女合同タッグマッチが行われます。

「初メインイベントは情けない試合になり、悔しくてリング上で涙を流してしまいました。あれから10年が経過し、今の力をみぃさんにぶつけたかった」と言います。

ハイビスカスみぃ選手は、筋肉質のパワーファイターで、簡単に勝てる相手ではありません。10年間の集大成となるハードな内容になりそうです。

「周囲から“次は15周年記念だね”と言われますが、気づけばこれまで10年が過ぎていただけ。長期的な目標は持っていません。それよりも、いつかは訪れる引退の日まで、一つひとつの試合を大切に闘っていきたいです」

 

『北都プロレス』の試合は、全道各地で行われています。全席自由で、早く会場に足を運べば、リングのそばで見ることもできます。近くで開催された際は、笑いあり、感動あり、下ネタありの『北都プロレス』を、ぜひ観戦してください。

■北都プロレス
ホームページ:https://hokutoprowrestling.web.fc2.com/

■神田愛実さん
SNS:Instagram @amiknd93、Twitter @amiknd93