元銀行員が淹れる至高のコーヒー!江別を「地元」にした小笠原さんファミリーのこだわり店

JR野幌駅の近くにある「ノースライブコーヒー」は、自家焙煎珈琲豆のお店です。千葉から移住した小笠原さん夫妻がオープンし、現在は息子さん夫妻も一緒に店を切り盛りしています。

香ばしさに誘われてレンガ造りのお店の扉を開くと、あたたかな雰囲気に迎えられました。

銀行員からコーヒー専門店に。新天地でチャレンジ「ノースライブコーヒー」

自家焙煎珈琲豆専門店「ノースライブコーヒー」は、レンガ造りの建物が目印です。店内は焙煎したコーヒー豆の香りでいっぱい。

創業者の小笠原均さんは、首都圏で銀行員として働いていました。取引先でコーヒーを出されることが多かったそうですが、どこで飲んでも美味しいと思えず、「コーヒーはこんなもの」と思っていたそう。

ある日、取引先のコーヒー豆卸問屋の社長に不満を伝えたところ、「とびきり美味しいコーヒーをごちそうしましょう」といって提供された一杯に衝撃を受けました。コーヒーの味は、豆や挽き方によって大きく変わります。その奥深さに惹かれ、銀行を早期退職してコーヒーを学ぶなど、ショップを開く決心を固めました。

均さんには双子のご子息(智さん・崇さん)がいます。お二人は千葉県内の中学校を卒業後、父親の影響を受けて始めたスキーを楽しむために、北海道日高高等学校に入学しました。息子さんたちの後を追うように均さんも札幌に転勤。準備期間を経て、1998年に「ノースライブコーヒー」をオープンしました。

小笠原家に招かれたような、あたたかい雰囲気

銀行員を辞めて独立することや、北海道に移住することについて、妻の喜久子さんは「とくに不安はなかった」と言います。「銀行員は転勤が多いので、全国あちこちに移り住みました。北海道は新婚旅行で来た場所で、“なんて素晴らしいところなのだろう”と思っていました」

最初はスキー場が近い手稲に移住することを考えたそうですが、坂道が多く、同居予定の義母を気遣って断念。JR函館本線沿線を中心に探していたところ、江別市・野幌地区にたどり着きました。最初はススキノの近くに店を構えましたが、1年半後に住居のある野幌に移転。レトロな雰囲気のビルがテナントを探していることを知り、2003年から現在の店舗で営業を開始しました。

大学卒業後、智さんと崇さんも店の経営に関わるようになりましたが、最初は親子喧嘩が絶えなかったそうです。平和主義の智さんに対して、崇さんは勝気な性格。「夫と崇の板挟みになって苦労しました」と、喜久子さんは振り返ります。現在はお二人の奥様も加わり、小笠原家一丸となって店を切り盛りしています。

洞爺湖サミットに「プレミアムブレンド」が採用!

『プレミアムブレンド』は、2008年に開催された『北海道洞爺湖サミット』に採用され、世界各国の賓客をもてなしました。「ノースライブコーヒー」の代名詞になり、約30種類もあるコーヒー豆の中で、全体の売り上げの半分を占める人気商品です。

プレミアムブレンドだけではない!ぜひ味わってほしい至高の一杯。おすすめお菓子も

「ノースライブコーヒー」では、回転するドラムを下からバーナーで炙りつつ、そこで発生した熱風を取り込んで焙煎する“半熱風式”とすることで、まろやかで口当たりの良い味に仕上げています。『北海道洞爺湖サミット』に採用された『プレミアムブレンド』が話題になりがちですが、そのほかにも魅力的なコーヒー豆を販売しています。

ぜひ飲んでほしい4つを選んでもらいました。

東ティモール(コカマウ)

東ティモール民主共和国は、インドネシア東部に位置するティモール島の東部にあり、ポルトガルの植民地や、インドネシアが事実上併合するなどの諸外国の影響を受けたのちに、2002年5月20日に独立した国です。コーヒーの歴史は、1815年にポルトガルの総督がアラビカ種のコーヒー苗を持ち込んだのが最初といわれています。フルーティな香りと酸味が特徴で、爽やかな飲み口です。

ラオス ティピカ

農業がさかんなラオス人民民主共和国において、コーヒーは主要輸出産品の1つです。ティピカ種はアラビカ原種に一番近く、とても古い栽培品種。酸味とフルーツのような爽やかさを感じます。

ラオス人民民主共和国では日本人が貧困で苦しむ農家を支援するプロジェクトが行われており、このコーヒー豆を購入することで活動に協力することができます。

ネパール・グルミ

北海道・栗山町にあるネパール料理店「アース」のオーナーが個人輸入しているコーヒー豆。

自然農法で栽培され、農薬や化学肥料は一切使われていません。一粒ずつ手摘みで行われているほか、収穫選別作業も全て手作業で行うため、生産量が限られています。苦味と酸味のバランスが良く、コクがあり、芳醇な香りが漂う逸品です。

羊蹄山麓湧水珈琲

1958年に東京・月島に創業した「有限会社とらや商店(現:ライブコーヒー株式会社)」の伝統を受け継ぐアイスコーヒー豆と羊蹄山の湧水を融合した商品。無糖にすることで、コーヒーの苦みと濁りのないクリアな美味しさが味わえます。

えべチュンサブレ

『えべチュンサブレ』は、「江別のゆるキャラ『えべチュン』のお菓子を作ってほしい」というオーダーを受けて開発されました。江別産の小麦粉、バター、卵を使って焼き上げた江別オールスターズ。智さんが手作りしています。コーヒーと双璧をなす「ノースライブコーヒー」の二枚看板です。

 

冷涼で湿度が低く、コーヒー豆の保存や焙煎に最適な環境である北海道に移住し、「ノースライブコーヒー」をオープンしてから25年。江別市は小笠原さんファミリーにとって「地元」だと言います。崇さんに今後の展望を伺いました。

「まずは江別のみなさんに知っていただくこと。次に札幌の方々にも“おいしい自家焙煎珈琲豆専門店がある”と、江別に足を運んでいただけるようになることが目標です。いずれは江別のランドマーク的存在になりたいです」

これからの「ノースライブコーヒー」に注目です。

<店舗情報>
■ノースライブコーヒー
■住所:北海道江別市野幌町53-20
■電話番号:011-381-6672
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