来年1月31日まで!ロマンチックに青く輝く「小樽運河沿い」を散策
毎年11月になると、冬のロングランイルミネーション『小樽ゆき物語』が始まります。「小樽運河」が約1万球もの青いLEDライトで幻想的に彩られる『青の運河』は一番の見どころで、毎年たくさんの人が訪れます。夜の帳(とばり)が降りる時刻に運河沿いを散策しました。
かつては運河の埋め立て論争が巻き起こっていた
日本海に面する小樽は、北海道開拓の玄関口として発展しました。当時の小樽港では大きな船を沖に泊めて艀(はしけ。台船のこと)を使って荷揚げをしていましたが、取り扱う荷量が増えたことにより、運搬作業を効率的に行う必要が生じてきました。それを受けて9年の歳月をかけて海岸沖合が埋め立てられ、1923(大正12)年に小樽運河が完成しました。
北海道の発展に寄与した小樽運河ですが、第二次世界大戦後は埠頭岸壁が整備されて使命を終えます。埋め立てて道路が作られることが決定すると、歴史的価値を訴える保存推進派が抗議し、お互いの意見が大きく激突。十数年にも及ぶ論争の末に、一部を埋め立てて道路とし、運河沿いに散策路や街園を整備することが合意されました。
今や「小樽運河」はなくてはならない存在です。飲食店やホテル、商業施設の多くが運河沿いにあり、そこを中心に観光客が集まっています。「もし埋め立てられていたら」と考えると、ゾッとしますね。
晩秋の小樽の魅力を伝えるイベント「小樽ゆき物語」
1年を通して観光客でにぎわう小樽ですが、11月は閑散期を迎えます。晩秋の小樽の魅力を伝えるために、一般社団法人小樽観光協会が主催となり『小樽ロングクリスマス』というイベントを開催していました。
その継続企画として2013年から『小樽ゆき物語』を開催。第1回目は『冬の流星』と題して、クリスマスの3日間のみの実施でしたが、2014年からロングランイルミネーションが楽しめる『青の運河』が始まりました。
約1万個のLEDライトが運河を青く染める
日が暮れると、運河は海をイメージした青のLEDライトで照らされ、幻想的な世界を作ります。ロマンチックな雰囲気にアベック(死語でしょうか)が肩を寄せあって歩いています。胸が苦しくなるほど“ロマンチックが止まらない”『青の運河』ですが、一つでもランプが破損すると漏電を起こして消灯してしまうため、大雪の日は関係者総出で雪かきをしているそうです。
橋の欄干と岸沿いへの装飾のほか、立体的に楽しめるようガス灯にもライトアップが施されています。とくに運河クルーズからの眺めが最高で、期間中はイルミネーションの中をボートが航行します。温かい格好でナイトクルーズをお楽しみください。
古き時代を今に伝える北運河
運河の北部(通称:北運河)は観光客が少なく、古き時代の小樽を感じられる隠れた名スポットです。
近くには、2024年度(予定)に新しく1万円紙幣の肖像画となる渋沢栄一が所有した「旧澁澤倉庫」をはじめ、さまざまな倉庫が並んでいるなど、運河として活用されていた当時の面影を色濃く残しています。
運河沿いに建つ「旧北海製罐倉庫株式会社 小樽工場第3倉庫」は、各種保税空缶、缶詰類、一般貨物の保管を目的として1924(大正13)年に建設されました。暗闇の中に浮かび上がる鉄筋コンクリートの建物は潮風で朽ち果て、「滅びの美学」と呼びたくなる迫力です。浅草橋や中央橋とは異なる“いぶし銀”の魅力がありますので、ぜひ足を運んでみてください。
ワイングラスの輝きに魅せられる
凍えた体は小樽倉庫を改装した「運河プラザ」で温めましょう。館内には英語、中国語、韓国語を話せるスタッフが常駐する「国際インフォメーションセンター」が設置され、お土産コーナーと喫茶コーナーも併設しています。
『小樽ゆき物語』の開催期間(2022年11月1日~2023年2月19日)は、ワイングラスを2,000個積み上げたワイングラスタワーが飾られ、幾通りもの輝きをみせてくれます。小樽を代表するガラス製品を愛でながら静かな夜を過ごしてください。
小樽の冬を代表するイベントに足を運んでみてはいかがでしょうか。
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■名称:小樽ゆき物語
■開催期間:2022年11月1日(火)~2023年2月19日(日)
■HP:https://www.snowstory.info/<スポット情報>
■名称:青の運河
■会場:小樽運河浅草橋~中央橋
■開催期間:2022年11月1日(火)~2023年1月31日(火)
■ライトアップ時間:日没~22時30分■名称:運河プラザ
■住所:小樽市色内2-1-20
■電話番号:0134-33-1661
■開館時間:9~18時 ※延長営業の場合あり
■休館日:無休■名称:ワイングラスタワー
■会場:運河プラザ館内
■公開期間:2022年11月1日(火)~2023年2月19日(日)
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