青の丘3

旭川の老舗染屋が仕掛ける!絶景やカフェ、藍染体験まで楽しめる「美瑛の注目スポット」とは

2022.11.28

2022年7月、美瑛町に藍染め体験ができる施設「藍染結の杜(あいぞめゆいのもり)」がオープンしました。

藍染めといえば徳島県が本場で、筆者はあたたかいところで行うものというイメージを持っていたんです。ところが、道内で藍染めができるだけではなく、原料となる藍の栽培も行われているそう! 美瑛で新しく始まった“藍”と地域を繋ぐ挑戦を取材しました。

藍にふれられる貴重な施設「藍染結の杜」

「藍染結の杜」は、藍の魅力を発信する文化複合施設です。旭川市に本社を構える1907年創業の老舗染工場「水野染工場」が運営。藍の栽培、藍染め体験、オリジナルの藍染め商品の販売、作品の展示、カフェの営業を行っています。

この場所はもともと「四季の交流館」という美瑛町の物産の販売などを行っていた施設で、旭川近郊で藍をエンターテイメントとして楽しめる施設を作りたいと場所を探していたところ、この施設に出会ったといいます。

建物裏にある「青の丘」には円状に設置した『青の環(わ)』というベンチが。このベンチの木は塗られたのではなく藍染めで染められた木を使用しているんです(冬季は冬囲いを行っています)!

「青の丘」からは美瑛岳、十勝岳連峰だけでなく、これこそ美瑛の景色といわんばかりの丘が連なる景色を見ることができました。美瑛にはたくさんの丘があるものの、自分の足で歩いて登れるところは意外と少ないので、貴重なスポットです。季節ごとに畑や木々の様子が変わるので、何度訪れても楽しめますよ。

1階にあるショップスペースでは、職人が一つひとつていねいに手染めした珍しいアロハシャツなどのグッズを販売。アロハシャツは縫製を自ら行い、国産のオーガニックコットンを使用するなど素材にもこだわっています。

藍の栽培から藍染めの作品ができあがるまで

藍は3月下旬〜4月下旬にかけて種まきを行い、まずは苗を作ります。5月中旬〜6月上旬に15cmほどに成長した苗を3本ほどで1株として畑に定植、9月に花が満開となり、11月に種を取るというサイクルで栽培されます。

美瑛で栽培されているのは『蓼藍(たであい)』という品種。夏に葉と茎を刈り取り、その日のうちに細かく刻みます。乾燥させて茎と葉の部分に分け、葉は水をかけて発酵させ、蒅(すくも)を100日ほどかけて作ります。これが染料のもとになります。

甕(かめ)に先ほどの蒅、木炭、熱湯を加えてよくかき混ぜ、温度、pH、栄養源、かき混ぜ具合を調整して染料液ができあがります。

この液に、“雪花絞り”や“筒巻き絞り”、“おりがみ絞り”など好みの染め上がりになるように素材を準備し、漬けていくんです。

こちらはカフェに展示されている作品。このように色合いや模様が同じになることはなく、どれも“オンリーワン”の作品になることが藍染めの何よりの魅力です。その日の気温で色合いが微妙に違ったり、同じ模様に挑戦しても全く同じ作品がなかったりするのはおもしろいですね!

染める際に木の枝や松ぼっくり、フィルムケースなどを使い、模様を作ることもできるそう。藍染め体験はきんちゃくやハンカチなどから選んでできますが、家で以前着ていた服などを持参してリメイクすることも可能です(別途持ち込み料金が必要)。

難しい作業はスタッフの方が手伝ってくれるので、小さなお子さんも多く体験しているとのこと。体験時間は1時間ほどで、できた作品はすぐに持ち帰れます!

藍染め体験のあとはカフェで「藍」を使ったメニューを!

藍染め体験を行ったあとは、2階のカフェでひと休み。染めの材料としてだけでなく、食用でもある藍を使ったメニューがいろいろ用意されています! 藍には食物繊維やポリフェノールが豊富なんだとか。

『美瑛藍茶』は、美瑛産の藍の葉を乾燥させて茶葉にしたもの。ポットでの提供なのでたっぷり飲めるのが嬉しい! お茶の色は黄金色で、まったくクセがなく、飲みやすかったです。お菓子や料理との相性も抜群です。

『藍パウンドケーキ』は美瑛産小麦と藍を使用。しっとりとしていて、フワッと藍の葉の香りを感じます。

ほかにも『藍入りクッキー』や『濃厚熟成ブラウニー』など数種類の焼き菓子があり、どれも美味しそう!

軽食のおにぎりに美瑛産のお米が使われたり、夏期限定で提供されるソフトクリームには美瑛の「ファームズ千代田」の牛乳が使われたりと、美瑛のもの=地産地消を意識したメニューが提供されています。美瑛の食の豊かさも感じられますね。

 

「この美瑛で“藍染”という伝統技術をより多くの方々に知っていただき、いろんな視点から藍を楽しんでもらえる施設にしていきたいです。今、地域の方に藍の栽培を手伝っていただいていますが、今後も一緒にいろんなことができたらいいですね。そして来館者の方に美瑛の美しさ、豊かさ、美味しさなど美瑛をまるごと体感してもらいたいです」と館長の水野さん。

挑戦はまだ始まったばかり。藍のテーマパークとなるべく、藍の魅力や美瑛をより知ることができる「藍染結の杜」の今後に注目です!

<施設情報>
■藍染結の杜(あいぞめゆいのもり)
■住所:北海道上川郡美瑛町字拓進(拓真館向かい)
■電話番号:0166-74-8855
⇒営業時間など詳細はこちら

⇒こんな記事も読まれています
【連載】意外とハマるかも…?北海道マンホール特集
一生に一度は見てみたい!神秘的な北海道の絶景

LINE友だち追加