15歳で父と同じ世界へ。2006年生まれの沖津厩務員が惹かれた「競走馬を支える仕事」
約1トンのソリをばん馬が曳く速さや力強さを競うばんえい競馬。世界で北海道・帯広で唯一開催されているばんえい競馬を支えている仕事のひとつが厩務員です。厩務員のみなさんは、レースに出る競走馬たちを毎日調教し、一番近くでお世話をしています。
今回はカネサブラックやコウシュハウンカイなども所属したばんえい競馬松井厩舎で働く、厩務員の沖津太陽さんにお話を伺いました。
沖津太陽(おきつ・たいよう)。2006年生まれ。北海道帯広市出身。松井厩舎所属。中学卒業後、西弘美厩舎の厩務員を務める父の影響で厩務員となる。
父の背中を見て厩務員に
たてかわ:厩務員になったきっかけを教えてください。
沖津さん:厩務員である父(西弘美厩舎)が、レースのために馬のたてがみを編んだり、体をきれいにしたりしているのを手伝いながら見ていたんです。馬が大好きなので馬の近くで働けることが魅力的で、進路を考え始めた中学3年生の頃、自分も厩務員をやってみたいと思うようになりました。父が松井調教師と話をしてくれて松井厩舎で働くことになりました。
たてかわ:実際に厩務員になってみて感じたことはありますか。
沖津さん:見るのとやるのは違うということです。たてがみを編むのが好きなのですが、実際やってみると難しいんです。編み方は自分で調べたり、先輩に教えてもらったりして、馬によっても変えています。
仕事は体力勝負
たてかわ:厩務員さんの1日のスケジュールを教えてください。
沖津さん:自分が所属する松井厩舎では、朝の4:00に仕事が始まります。朝は馬房の掃除や馬の調教をし、午前の仕事は遅くとも11:00までには終わります。夕方の仕事は14:00くらいから16:00くらいまで。馬を手入れして綺麗にしたり、餌が少なかったら足したりしています。最後に夜の20:00に餌やりをして1日が終わります。レース開催日でも大体同じスケジュールです。
たてかわ:厩務員さんは朝が早い仕事ですが、元々朝早く起きるのは得意なんでしょうか?
沖津さん:朝早く起きるのは苦手なので、起床時刻の30分くらい前からアラームをかけています。何よりも早く寝ることが大事だと思います。夜は21:30か遅くとも22:00には寝ています。でも、レースがある日は最終レースが行われるのが21:00近くなので、かなり辛いです(笑)
たてかわ:沖津さんの現在の管理馬を教えてください。
沖津さん:今の管理馬は、ギンノダイマオー、エーデルシュタイン、ハマノダイマオー、牝馬だとヒメトラマジック、マオノクイーンです。ギンノダイマオーは芦毛がかわいくて、自分は好きです。ギンノダイマオーにはまずは勝ってもらいたいですね(笑)
たてかわ:ばんえい競馬はサラブレッドの競馬と比べて、次のレースに出走するまでのレース間隔が短いですが、次のレースに向けて特に気をつけていることはありますか?
沖津さん:なるべく馬が怪我をしないように気を付けています。また蹄鉄が取れてしまわないように定期的に確認しています。他にも、調教の量と餌の量を合わせることで、どちらかに偏らないようにすることを心がけています。
たてかわ:馬の調教は毎日担当馬全頭分やってらっしゃるんですか?
沖津さん:そうですね。馬の調教はすごく体力を使うので、担当馬全頭となるととても大変です。でも毎日やっていれば徐々に慣れますよ。
夢は重賞制覇
たてかわ:厩務員として働く中でのやりがいや大変なことはありますか?
沖津さん:やりがいは自分の担当馬が勝ってくれることですね。勝ってくれると嬉しいです。でも勝負の世界なので勝てないときもあります。そういうときは次も頑張ってくれるように、厳しくせず普段通り接することを心がけています。
やはり力を使う仕事なので体力面では大変さを感じることもあります。自分はサッカーをやっていましたが、何かスポーツをやっている人であれば体力があると思うので、そういう人に向いている仕事かなと思います。
たてかわ:今後やってみたいこと、勝ちたいレースはありますか?
沖津さん:やっぱり重賞は勝ちたいです。やってみたいことは2歳馬を慣らす調教の手伝いをしてみたいです。2歳馬は暴れることも多く経験を積まないと扱うことが難しいので、経験を積めたらと思っています。
ーーー今回は松井厩舎の厩務員である沖津さんにお話を伺いました。体力勝負で大変というお話がありましたが、それでも馬が好き、ということがとても伝わってきました。現在16歳の沖津さん。ばんえいの未来をになっていく世代の今後のご活躍に注目です。
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