落雁

「函館育ちのハイカラなセンス」先代の味を踏襲しながら流行スイーツも。創業72年の老舗和菓子店【長沼町】

長沼町にある「森下松風庵」は、創業70年以上の老舗菓子店です。昔ながらの落雁から長沼「卵ラン農場ムラタ」の卵を使用したプリン、SNS映えを狙ったケーキなど、伝統を大切にしながら常に新しい菓子づくりに取り組んでいます。

2代目店主の森下伸さんに話を伺いました。

終戦直後に先代が長沼に移住

「森下松風庵」は、昭和25(1950)年に創業しました。初代店主である森下さんの父親は、函館で生まれ、青年時代は菓子店で見習い職人として働いていました。「いつかは自分も菓子職人に」と未来を夢見ていたさなか、太平洋戦争が勃発。日本は戦火に包まれます。幸いなことに戦場に送り込まれる寸前で玉音放送が流れて命拾いしたそうです。

菓子職人に戻ろうにも、当時の日本はボロボロの状態でそれどころではありません。味噌や醤油を作っていた親戚に誘われて長沼に移り住むことにしました。

長沼に都会的な菓子店が誕生

先代は、昭和25(1950)年に結婚し、これを期に青年時代に思いを抱いていたお菓子屋を始めました。妻の実家店舗の一角を借り、あめ玉や栗饅頭などの製造販売を始めました。独自の店舗を持ち、やがて森下さんが生まれます。

外国とのつながりがある函館生まれの先代は、当時でいうハイカラなセンスの持ち主。長沼では珍しかったケーキなど洋菓子も作っていたそうです。現在の「森下松風庵」の前身が誕生しました。

現在も販売している『三味のあん入り落雁』は、昭和32(1957)年から発売されている商品です。当時は全道各地や東北地方から長沼の農家などに働きにくる季節労働者が多かったため、故郷へ持ち帰る“長沼名物”として考案されました。俵型のデザインが時代の流れを感じさせます。

店主が選ぶ「森下松風庵」おすすめ3つ

森下さんは製菓専門学校で菓子作りを学び、先代のもとで仕事を始めます。もともと菓子作りが大好きで、ほかの道は考えていなかったそう。先代の味を踏襲しながらも新しい菓子づくりに挑戦しています。“店主が好きな菓子トップ3”を選んでもらいました。

1:代表作「かりんとう饅頭」

いまや長沼町を代表する銘菓です。取引業者から「福島県でかりんとう饅頭が流行っているらしい」と聞き、独自の製法で作りました。北海道産の小豆、JAながぬまの小麦、沖縄産の黒糖を使っています。皮のサクサク感とほどよい甘さの餡が一体となり絶妙な味に仕上がっています。

2:ジャガイモそっくり「長沼めーくぃん」

森下さんが「個人的に一番大好き」という逸品です。メークィンとインゲン豆を練り合わせ、醤油味の皮でしっとりと仕上げています。第22回全国菓子大博覧会有功金賞受賞。ジャンルは和菓子ですが、日本茶だけでなく、コーヒーや紅茶、牛乳にもよく合います。

3:彼方に広がる大地をイメージ「石狩大平野」

ソフトカステラでクリームを挟んだ上品な味です。『チーズクリーム』は、その名の通りクリームの中にチーズの粒々が入っていて、甘みと塩味が絶妙。『ブルーベリー』は、クリームにブルーベリージャムを混ぜており、フルーティーな味わいが後を引きます。

「菓子の萬屋(よろずや)」でありたい

ケーキ

羊やタンチョウのケーキ 出典: 北海道Likers

「森下松風庵」ではほかにも、SNS映えを意識したタンチョウや羊をイメージしたケーキ、流行の台湾カステラなど、常に新しい商品を作り続けています。

台湾カステラ

最新作「台湾カステラ」 出典: 北海道Likers

一つの商品にこだわらない理由は、「長沼の人たちに、いろいろなお菓子を味わっていただきたい」という想いから。

 

「長沼には都会のようにたくさんの菓子屋はありません。森下松風庵は“お菓子の萬屋”でありたい」と森下さんは言います。今後何十年たってもバラエティ豊かなお菓子で、人々を楽しませてくれることでしょう。

<店舗情報>
■森下松風庵
■住所:北海道夕張郡長沼町本町北丁目1-6
■電話番号:0123-88-0051
⇒営業時間など詳細はこちら

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