街のお豆腐屋さんのような存在に。震災を機に移住した職人が造る「日本人の味覚に合う」チーズ
JR旭川駅から真っすぐ北に約1km続く通りは、日本ではじめて恒久的な歩行者専用道路となった「平和通買物公園」。
この「平和通買物公園」の北の端に近い7条通7丁目にあるのが、宮城県から移住してきた長尾さんご夫妻が営む小さなチーズ工房「ジャパチーズ旭川」です。
東日本大震災をきっかけに旭川に移住
「ジャパチーズ旭川」の経営者でチーズ職人の長尾英次さんは、もともとは宮城県の酪農家の出身。大学卒業後は、蔵王酪農センターに就職して、以降18年間にわたってチーズの製造や開発に関わってきました。
そんな長尾さんが旭川に移住するきっかけとなったのが、平成23(2011)年に発生した東日本大震災です。当時、妻・絵里子が次男の出産のために故郷である旭川に里帰りしていたこともあり、安心して子育てができる環境を求めて旭川への移住を決断しました。
コンセプトは「街のお豆腐屋さん」
旭川への移住を決めた長尾さんは、優れたビジネスプランを支援するためのコンテスト『旭川ビジネスプランコンテスト2014』に、「旭川市内の街中にイートインできる店舗併設型チーズ工房を開設」というプランで応募。見事「優秀賞」と「来場者賞」を同時に受賞しました。
長尾さんが目指したのは、“街のお豆腐屋さん”のように気軽に立ち寄れる街中にあるチーズ工房。そしてチーズ工房の場所に選んだのが、旭川駅前通りの「平和通買物公園」です。
この建物には、もともとチーズ造りに必要な水回りなどの設備がありませんでした。また旭川では、中心市街地でチーズを造るという前例がなかったことから、開業までにはさまざま困難があったといいます。
「行政や地元の金融機関、ご近所の方々などたくさんの支援や協力があって開業できた」と話す長尾さんは、将来的には従業員を雇って、旭川市に恩返しがしたいと今後の目標について語ってくれました。
日本人の味覚に合うチーズ
チーズにはさまざまな種類がありますが、なかには日本人の口にはあまり馴染まないものもあります。
長尾さんが目指すのは、お豆腐のように毎日でも食べられる“日本人の味覚”や“日本の食卓”に合うチーズです。「ジャパチーズ旭川」という、ちょっと変わった名前には、そんな長尾さんの想いが込められています。
原料となる生乳は、旭川市東鷹栖にある「加藤牧場」で大切に育てられた牛から搾られたもの。なんと「加藤牧場」の息子さんとは、偶然にもアメリカの同じ牧場で研修を受けたことがあるといいます。
地元・旭川の人との出会いやつながりを大切にする長尾さんが造るチーズのなかには、「旭川谷口農場」のトマトピューレを使った『トマトモッツァレラ』や、「大雪地ビール」の『黒岳ビール』を使った『チェダーチーズ』など、旭川の生産者とコラボした商品もあります。
「ジャパチーズ旭川」のチーズ工房は、ガラス張りになっていて長尾さんがチーズを造っている様子を見学することができます。旭川に来た際には、“街のお豆腐屋さん”のコンセプトどおり気軽に立ち寄ってみてください。
<店舗情報>
■店舗名:ジャパチーズ旭川
■住所:北海道旭川市7条通7丁目33-69 買物公園
⇒営業時間など詳細はこちら
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