なんも、に続く便利な言葉。ネイティブ道民が使う「なして?なした?」
道産子が使う便利な方言として、以前「なんも」をご紹介しましたが、同じくらい使い勝手のいい北海道弁があります。それが「なして?」と「なした?」、さてどんな意味だと思いますか?
「なしてこんなことしたのよ!」「なしたのさ」
「なして」と「なした」、字面がよく似ていますが、意味も似ています。「なしてこんなことしたのよ!」と怒ったり、「なしたのさ」と心配したり、いろんな場面で使う方言です。さて、正解は……
「なして?」→「どうして?」、「なした?」→「どうした?」
「なして?」は「どうして?」という意味で、「なぜ?」など理由を聞きたいときに使います。「なした」は「どうした?」という意味で、「なにがあったの?」など相手の様子を探るときに使います。どちらも意識せずぱっと口に出してしまう北海道弁なので、方言だと自覚なく使っている方が多いかもしれません。「なしてさ」「なしたのさ」など、語尾に「さ」をつけることもあります。
道産子の筆者が話す感覚としては、「どうして?」「どうした?」だとかしこまった印象があり、もっとフランクに聞きたいときは「なして?」「なした?」と言う方がしっくりときます。
本州でも使われていた!
「なした」は秋田でも使われている方言のようです。
また「なして」は青森や岩手、山形、秋田、福島など東北地方で幅広く使われています。ほかにも中部地方の新潟、中国地方の岡山、鳥取、島根でも同じ意味で使っているようです。
兵庫では「なーして」
兵庫では関西弁のなまりがあるのか、「なーして」と言葉を伸ばして使うようです。
北海道だけでなく、さまざまな地域で話されているので、他の地域でも方言とは気付かずに使っている人がたくさんいそうですね。
便利な北海道弁をマスター!「なして?」「なした?」
なしてこんなに眠いんだろうなぁ
意味)どうしてこんなに眠いんだろうなぁ
例)そんな暗い顔してなしたのよ?
意味)そんな暗い顔してどうしてのよ?
「なして?」も「なした?」も相手を思いやるときに思わず出てくる、やさしい北海道弁です。使ってみると、ほかにも使う地域出身の人になら通じます。北海道で「なして?」や「なした?」を聞いたら、ぜひそのやさしさを感じてください。
【参考】
道南方言集(方言→標準語 な行) / 渡島総合振興局
ナ行 秋田弁単語集 / 能代市 環境産業部 観光振興課
北海道語について(Ⅱ) -十勝の方言を中心にして-
【画像】takeuchi masato、NOV、hirost、Graphs / PIXTA(ピクスタ)