偶然の出会いから生まれたwin-winな関係。岩塚製菓が北海道・千歳で紡ぐ地域連携とは

北海道Likersの連載『情熱の仕事人』では、北海道のさまざまな分野の“仕事人”を取り上げ、その取り組みや志、熱い想いなどを紹介しています。

今回お話をお伺いしたのは、新潟県に本社を置く大手米菓メーカー『岩塚製菓』の皆さん。同社は1990年に千歳市に工場を設立して以来、北海道を大切にしてきました。今回は、北海道事業部長・角地徹也さん、北海道支店営業サポート兼広報・渡辺道代さん、そして北海道工場直営店『ウタリちとせ』店長・椙山東昭さんの3名に、千歳という土地に根を下ろし、圧倒的な“ご縁”を引き寄せながら地域との絆を深め続ける情熱の根源に迫ります。

北海道工場直営店『ウタリちとせ』
画像:岩塚製菓株式会社

北海道事業部長・角地徹也(かくち・てつや)。
1972年生まれ。北海道旭川市出身、札幌市在住。旭川大学経済学部卒業。岩塚製菓入社20年。2016年北海道支店長着任、2024年より現職。ウタリちとせ立ち上げなど北海道全体の活動に携わる。

北海道支店営業サポート兼広報・渡辺道代(わたなべ・みちよ)。
1967年生まれ。北海道大樹町出身、札幌市在住。岩塚製菓入社15年、ウタリのオープンに関わり営業サポート・広報としてメディアに発信している。

北海道工場直営店『ウタリちとせ』店長・椙山東昭(すぎやま・のりあき)。
1969年生まれ。北海道札幌市出身、千歳市在住。札幌大学経営学部卒業後、岩塚製菓株式会社入社。北海道、東北で営業として働き、2024年5月のオープンより現職。

ピンチを救ったのは“ご縁”。win-winの関係を生んだ移転リニューアル

北海道や商品の話を楽しそうにするお三方。みなさんの愛が伝わってきます!
画像:北海道Likers

今回は、千歳インターチェンジを降りた高台にある、岩塚製菓の北海道工場にほど近い直営店『ウタリちとせ』でお話を伺いました。

以前の直営店は住宅街の中にあり、駐車場が5台分ほどしかなく、冬場の除雪や大型バスの乗り入れ、路上駐車などで近隣に迷惑をかけてしまうという限界を感じていたと振り返ります。移転先を1年ほど探すものの、なかなか良い土地が見つからない日々が続きました。

そんな時、工場の近くにある空き地について話を聞きに行ったところ、驚くべき展開が待っていました。

「隣のコンビニのオーナーさんが「ここ(隣)から出しなよ」と言ってくださったんです。もう二つ返事で、今の場所をお借りすることになりました。」

建物自体の土地を借り、駐車場はコンビニと共有するという形でのオープン。結果としてこれが大きな相乗効果を生みました。

「コンビニに来られたお客さんがついでにこっち(ウタリちとせ)に寄ってくれたり、その逆もあってですね。うちがお店を出したことによって、売上が伸びたんです。まさにwin-winですね。」

さらに、店舗で提供しているソフトクリームのミックス原料の仕入れ先や、お店のキャラクターを描いたデザイナーまでもが、このオーナーさんからの“ご縁”で繋がっていったと語ります。

「ウタリ」に込めた想い。「お米となかよし、地域となかよし」

店名『ウタリちとせ』の“ウタリ”は、アイヌ語に由来しています。

「千歳に支えられてここまでやってきたので、もっと地元に根差していこうという想いがありました。千歳アイヌ協会さんにお邪魔して相談した際、出していただいた候補の1つが『ウタリ』でした。」

岩塚製菓は企業として「お米となかよし」という言葉を掲げています。

「千歳アイヌ協会の方から「ウタリには仲間や同胞だけでなく、仲良しという意味もあるよ」と教えていただいたんです。お米となかよし、地域となかよしになっていきたいという意味を込めて、“ウタリ”という名前をつけさせてもらいました。」

100%国産米への並々ならぬこだわりと、道民に愛される「味しらべ」

画像:北海道Likers

岩塚製菓の看板商品といえば『味しらべ』。北海道における知名度は圧倒的です。なぜこれほどまでに道民に愛されているのでしょうか。

「昔、甘いものが貴重だった時代に、寒い中で甘さに癒やされるというベースがあり、それが『味しらべ』にも波及してきているのかなと想像しています。そして何より、先輩たちが一生懸命に売り込んで根付かせてくれた結果だと思っています。」

そして、同社の米菓づくりへの情熱を語る上で欠かせないのが国産米100%へのこだわりです。

大容量で販売されているのも工場直営店ならでは。大きな袋や段ボール箱いっぱいに詰めて帰るお客さんが多いそう
画像:北海道Likers

「米菓は米を焼いたり揚げたりして塩や醤油で味付けするだけのシンプルな加工なので、原料のお米の風味がそのまま出てくるんです。それを大事にするために、うちは国産米でいっています。外国産のお米は輸入に時間がかかり風味が飛びやすいですから。」

「会社がお米にこだわって作ってくれているものを、大事に売るのがこのお店の役割」と語るように、工場直営店である『ウタリちとせ』では、そんなこだわりの商品を、鮮度の高いうちに提供することに情熱を注いでいます。

狙ってやるのではなく“ご縁”から。広がる地域コラボレーション

『ウタリちとせ』では、北海道の様々な地域や団体とコラボレーションした商品も展開しています。しかし、それは企業側から強引に仕掛けたものではないと語ります。

「こっちからあえて狙ってやろうと言っているわけではないんです。東川町とのお取り組みも、10年以上前に「世に出せないお米をせんべいにできないか」と相談されたのがきっかけでした。東川町のお米の取り組みや真面目な姿勢が、岩塚製菓とすごく似ているなと思って」

プロバスケットボールチーム・レバンガ北海道とのコラボレーション
画像:北海道Likers

その後も、千歳の高校生との商品開発や、芦別市の名物・ガタタン風味の商品、当別町の規格外かぼちゃを使った商品、レバンガ北海道とのコラボレーションなど、人との繋がりから次々と新しい取り組みが生まれました。

「商品を通じてただ売るだけじゃもったいないんで、せっかくなら商品を通じて地域のために何か活動しようということはやっています。」

お客様の「うわぁ!」を引き出す。目指すはお菓子のテーマパーク

「こだわっていることは『お客さんが喜ぶ顔』ですね。そのために品揃えと値頃感にこだわっています。岩塚製菓の全商品を並べて、お客さんが来た時に『うわあ、すごい!』と言って喜んで帰ってくれる。その一言を引き出したいんです。」

商品パッケージとせんべいのオリジナルキーホルダーはお土産にもぴったり!
画像:北海道Likers

まるで「お菓子のテーマパークみたいだ」と言われることもあるという同店。今後の展望についてこのように語ります。

オリジナルキャラクターの『うすべぇ』
画像:岩塚製菓株式会社

「みんなに楽しんでいただける場所にしたいですね。親しみや愛着を持ってもらうためにキャラクターも作りました。安心で美味しい商品を提供するのは大前提として、今後はオリジナルの商品なども作れたらいいなと考えています」

スポット詳細

ウタリちとせ
住所:北海道千歳市大和4-1-2
営業時間:10:00~17:00(年中無休/年末年始を除く)
電話番号:0123-27-4111

北海道Likers編集部のひとこと

お話を伺って印象的だったのは、皆さんの口から何度も「ご縁」という言葉が出たことでした。 土地探しから商品の共同開発まで、すべてが人と人との温かい繋がりから生まれており、それらを決して無下にせず“地域となかよし”の精神で形にしていく姿こそが、岩塚製菓の皆さんの情熱そのものだと感じました。

100%国産米の風味を大切に守りながら、お客様の「うわぁ!」という笑顔のために奔走する皆さんの連携プレー。千歳に誕生した“お菓子のテーマパーク”から、これからも素敵なご縁と美味しい米菓が広がっていくことは間違いないはず。今後の展開に注目です。

取材・文/北海道Likers 取材協力/岩塚製菓