北海道のサウナ仕掛人「北海道ホテル」林社長が語る!十勝のサウナが究極である理由
メディアが取り上げることも多く、盛り上がりを見せている“サウナ文化”。今回は、北海道をサウナで盛り上げようと奮闘する「森のスパリゾート 北海道ホテル(以下、北海道ホテル)」の林克彦社長(以下、林社長)にインタビュー!
お話を聞いてきてくれたのは、サウナ旅で帯広・十勝を訪れたファッションエディターの高橋志津奈さん(以下、高橋さん)・ファッションディレクターの渡辺由香さん(以下、渡辺さん)。
お話は、林社長の意外なカミングアウトから始まりました。
■林克彦(はやし かつひこ)
「北海道ホテル」取締役社長。日本サウナ学会理事。2019年6月に十勝で初めてフィンランド式のサウナを導入し成功させる。北海道をサウナで盛り上げようと、周辺施設へのアドバイスや地域を巻き込んだイベントを開催。■高橋 志津奈(たかはし しずな)
北海道・小樽出身、札幌育ち。ママ層のバイブル「VERY」連載を持つ大人気ファッションエディター。24歳・社会人、19歳・大学生、10歳・小学生の母。2女1男の母としての経験とセンスは多くのママ層からの支持を受ける。■渡辺 由香(わたなべ ゆか)
元「MERCURYDUO(マーキュリーデュオ)」のクリエイティブディレクター。2016年にはブランド「ELENDEEK」を立ち上げ、芸能人のファンも多数抱える人気ブランドに。そのほか、ブランドのPR、ディレクション等フリーランスとしても活動している。10歳・小学4年生の母。家族で北海道へ旅行に行くことが多く、とくに道東・十勝エリアへの旅行経験が多い。
実は「サウナ嫌い」だった!? 林社長がサウナに入る理由
林社長:実はもともとサウナは嫌いだったんですよ。
高橋さん・渡辺さん:え~そうなんですか!
林社長:そうです、この世で一番嫌いというくらい(笑) もともと肌が弱く、喉も強くなかったので、ドライサウナに入ると肌も喉もヒリヒリしてしまって苦手だったんです。水風呂だなんてもってのほか。「汗かきたいんだったら運動すればいいじゃん」と思っていました。
高橋さん:どうしてそこからサウナがお好きになったんですか!?
林社長:4年前くらいホテルがまだ赤字だったころ、ととのえ親方*にサウナに連れて行ってもらって変わりました。そのときに初めてウォーリュ*を経験したのですが、肌や喉がヒリヒリしないことに感動しました。
渡辺さん:その感覚わかります! 私もドライサウナは苦手だったんですが、ロウリュに出会ってからサウナが好きになりました。
林社長:そして騙されるように水風呂にも入りました。
水風呂って最初はハードルが高いですが、案外左胸上部を押さえて股を閉じると入れるんですよ。そして息をちゃんと吐く。息を吸って止めると血圧が上がるのでより寒くなってしまいます。だから息を吐きながら受け入れる感じですね。無になって深呼吸しながら。
初めての水風呂から出た瞬間は、ものすごくフラフラしたのですが、これが“ととのった”感覚だよ、と教わりました。するとその日の夜、寝られない日々が続いていたのに爆睡できたんです。
渡辺さん:そうだったんですね! 自律神経がととのうといいますもんね。
林社長:その後に出会ったのが、近所の病院の医師である“かとちゃん(加藤容崇氏)”で。『医者が教えるサウナの教科書』を書いた人です。ぼく、MBAの教授に師事していて、その先生に徹底的にロジカルシンキングを鍛えられていたので、何事もロジカルに説明が付かないと納得できなくて(笑) かとちゃんから、サウナがどうして良いのか、なぜ寝られたのかをロジカルに説明してもらえたことで、腑に落ちました。
高橋さん:理屈が分かれば、そのために時間を使おうとなりますもんね。それでサウナ―になったんですね。
*ととのえ親方・・・松尾大氏。複数の会社を経営する傍ら、サウナに関する番組やイベント、サウナ施設のプロデュースをしている実業家、兼プロサウナー。
*ウォーリュ・・・サウナ室の壁にロウリュをすること。「北海道ホテル」のサウナでも体験できる
「北海道ホテル」のサウナの魅力
林社長:ここ(「北海道ホテル」)のサウナには入りましたか?
高橋さん・渡辺さん:はい、入りました!
林社長:「北海道ホテル」のサウナは、モーリュ*が楽しめる珍しいサウナなんです。硫黄が入っている温泉でロウリュをするのはよくないのですが、モール温泉*なら可能。湿度が上がって、“天然の化粧水”ともいわれるモール温泉の蒸気を浴びることができます。
渡辺さん:私は水風呂もとても気に入ってしまいました! 自宅近くのジムのサウナによく入るのですが、水風呂の温度が高くてなかなかきまらないんです。
林社長:そうですね、水風呂の温度は16〜18度にしています。そのあたりが一番気持ちいいですね。
高橋さん:やっぱり、そこまでこだわっているんですね。
林社長:ちなみに……モール温泉は飲めるってご存じですか?
高橋・渡辺さん:え、そうなんですか!?
林社長:モール温泉は太古の植物が発酵したものが起源といわれていて、発酵茶であるプーアル茶に似ているんですよ。
高橋さん:たしかに「北海道ホテル」の温泉やサウナは甘い香ばしい匂いがして気持ちが良かったです! 匂いがちょっとなあ……という温泉も多いのですが。
林社長:チーズを磨く工程でモール温泉水を使っているラクレットチーズもありますよ。発酵物同士相性がいいんでしょうね。実は「北海道ホテル」の一部のパンにも温泉を練り込んでいます。
渡辺さん:そうなんですか、すごいアイデア!
林社長:「UNCLE MOORSEN’S(アンクル モールセンズ)」というおじさんの顔がロゴになったパンのブランドを作り、朝食でお出ししたり販売したりしています。パンを買いに来る地元の方も多くて、午後には売り切れていますね。『ガーリックフランス』や『寿あんバタフランス』、おすすめですよ。
*モーリュ・・・サウナストーンに水をかけて蒸気を発生させる“ロウリュ”をモール温泉で行うこと。
*モール温泉・・・太古に地中に埋もれた植物が黒炭に変化する際に生じる有機物が地下水に溶け出して湧き出す温泉
サウナの聖地と十勝はよく似ている
高橋さん:最近、十勝にはサウナが増えている印象がありますが、林社長がさまざまなことを手がけていらっしゃると聞きました。
林社長:サウナの聖地であるフィンランドのルカ(首都ヘルシンキから北に飛行機で1時間30分ほどの町)にいったときに、すごく十勝に環境が似ていると思いました。雪があって、白樺など針葉樹があって、チーズもあって……。サウナに入ったときに忙しい時期を聞いたら、「11月〜4月くらい。かつ世界中から男女関係なく若い人たちがたくさん来ますよ」とのことでした。そこで、環境が近い十勝で同じことをしたら、人が来るのではないかと思ったんです。
もともと十勝にはたくさんの温泉施設があったので、さっそく声をかけて、ロウリュやアウフグース*の導入をすすめました。今では十勝にロウリュを楽しめる場所が17か所ほどあります。
渡辺さん:まさに“サウナのまち”ですね! 都会だと料金が高いところや、混んでいるところが多いですが、十勝ならお手頃な施設も多くゆっくり楽しめそう。
林社長:そうですね。東京や大阪など大きな都市でお金をかければ、すごいサウナ施設ができあがるだろうとは思います。しかし聖地を見て感じたのは、“自然を感じながらするサウナが究極”ということでした。だから十勝の人たちにどんどん声をかけましたね。
そして究極はやはり“アヴァント*”です! 最近では、自分が“アヴァントプロデューサー”として十勝でアヴァントを楽しめるイベントを実施したりしています。凍った湖や川に穴を開けて、サウナで温まった後、そこに飛び込むんですが、もう“未知との遭遇”です(笑) 水風呂を超えてきますね。バリアができる感覚になって、その後外に出ても全然寒く無いんですよ。
高橋さん:え~凍った川に……! すごいですね。
渡辺さん:やってみたい!
*アウフグース・・・ロウリュを行った後に、立ち上った蒸気をタオルなどで仰ぐ行為のこと。
*アヴァント・・・凍った湖や川に穴を開けて、水風呂代わりにする文化。
林社長とのお話を通して、「北海道ホテル」や十勝の魅力をさらに知った高橋さんと渡辺さん。「また1週間後くらいに来ようかな!(笑)」とすっかり虜になってしまったようでした。
サウナの聖地に似ているという十勝でサウナを楽しむ旅に出かけてみてはいかがでしょう。
※本特集は、北海道観光振興機構の協力のもと実施しました。2022年12月27日まで『HOKKAIDO LOVE割』を実施中。詳しくはホームページへ。