めちゃくちゃ進歩してる…スマホ一つでできる!? 北海道の「おいしい牛」

『北海道Likers』がお届けする新ラジオ番組『北海道Likers Voice〜北海道をもっと好きになるラジオ〜』。

「北海道でいちばん聴かれているラジオ局」として支持される『株式会社STVラジオ』と連携し、毎週土曜22:15〜22:30に放送。北海道を盛り上げている人や次のトレンドを創る人(=ライカーズ)をゲストに迎え、あふれる北海道愛を声(=Voice)で伝えます。

今回は2023年10月7日の初回放送をご紹介します!

メインパーソナリティー

田村みなみさん(以下、田村さん):『株式会社STVラジオ』
柳澤美空(以下、柳澤):『北海道Likers』プロデューサー

今回のゲスト

後藤貴文教授(以下、後藤教授):2022年12月より、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター教授。 代謝プログラミングにより前処理した牛を、衛星データを活用して緻密に管理しながら放牧し、草によって大きく育てることを目指している。

宇宙牛とは!? 北海道で実験を重ねる後藤貴文教授

今回の“ライカーズキーワード”は『宇宙牛』。北海道大学北方生物圏フィールド科学センター教授の後藤貴文教授をゲストに迎え、謎に包まれる『宇宙牛』について語っていただきました。

田村さん:さっそくですが、『宇宙牛』とは一体どんな牛なのでしょうか。

後藤教授:『宇宙牛』と聞くと、みなさん“牛の頭にマスクをかぶせて、月で牛を飼う”といった想像をされると思います。しかし実際はそうではなく、宇宙にある衛星のデータを使って、“地球レベルで牛を飼う技術”を作っていこうというものです。

田村さん:地球レベルで牛を飼っていく……!

柳澤:スケールが大きいですね!

後藤教授:私は放牧の研究をしています。放牧は広大な土地に牛を放すのですが、管理が難しいんです。牛は自由に暮らせてハッピーなのですが、どのくらい牛が太っているのか、どこに行っているのか、どのくらい歩いたのかなど、牛の状態を知ることが難しくなってしまうんですね。そこでこれからは、ロケットで飛ばした衛星を活用することで地球上のテータを取ろう。そしてそのデータをうまく使って、おいしいお肉がたくさんできるようにしていこうという取り組みです。

田村さん:『宇宙牛』という名前は後藤先生がつけられたんですか。

後藤教授:私だけではなくプロジェクトのメンバーで考え、これが一番キャッチーなんじゃないかと思いました。宇宙の技術を使って育てられる牛、それも放牧で地球上の植物を使って育てられる牛なので「スペースカウ」なども考えたんですけど……。

田村さん:「スペースカウ」かっこいいですね(笑) 宇宙から牛を管理するとおっしゃいましたが、具体的にはどのように管理するんですか。

後藤教授:2つポイントがあります。1つ目は、牛がどこにいるのか、何kmぐらい歩いたのかなどの管理です。今は毎日、実際に農家さんが牛の位置を確認しに行っているので、結構大変な労力が必要なんですね。それを衛星の技術を使って、簡単に把握できるようにしたいと思っています。

2つ目は、草の量の把握です。牛が草を食べると徐々に放牧地の草がなくなってきます。なくなってくると牛はお腹が減ってしまうので移動させなければいけません。それも、衛星のデータを使うことで、スマートフォンで家の中でも草の量を管理できるようにしたら良いのではないか。こういった技術を考えています。

柳澤:今までは人が動いていたものが、これからはスマートフォン1つでわかるようになっていくということですね。

センサーを付けた牛。 出典: 後藤貴文教授ご提供

田村さん:宇宙から衛星で牛を管理していくとなると、牛に何か付けたりするんですか?

後藤教授:牛の位置を確認するために、首輪にセンサーを付けます。昔はGPSが主流だったんですけど、今はいろんな衛星があり、牛の位置がすごく正確に分かるようになりました。その衛星データを感知できるセンサーを牛に付けることで、牛のいろんな行動状態、つまり位置だけではなく運動量なども把握していこうという試みをやっているところです。

田村さん:位置だけではなく、運動量も! 体の仕組みもわかるようになっていくんですか?

後藤教授:そうですね。位置がわかるセンサーと、“3軸加速度センサー”という傾きに近いものも測るセンサーも付けることで、牛の体勢もわかるようにしています。また、未来の技術なのですが、体温センサーをつけて体温もスマートフォンでわかる技術も今一緒に作ろうとしています。そうすることで牛の状態がとても精密にわかるようになるので。

柳澤:宇宙で、衛星を使って、牛の健康状態を管理できるようになるんですね。

後藤教授:家でくつろいで食事をしながら、旅行しながら、はたまた入院中にベッドの上からでも牛の状態がわかったり……。将来はもっと楽に牛飼いができるような状態にしたいと思っています。

田村さん:近未来というか、そういう時代がやってくると思うとドキドキしますね。ところでどうして『宇宙牛』を北海道でやろうとしているのでしょうか?

後藤教授:やっぱり北海道は日本の食料基地でもあるからです。まずは北海道の発展のために貢献して、ゆくゆくは日本全体の発展に貢献したいなと思っています。

柳澤:まずは北海道から盛り上げていこうという取り組みで、我々『北海道Likers』としても注目しているプロジェクトです。北海道で進んでいる宇宙開発にも関わってきているのでしょうか?

後藤教授:はい、昨年『HOKKAIDO SPACE SUMMIT2022』という会議に出席して、大樹町でのロケット推進事業について話を伺いました。大樹町のロケット開発とともに『宇宙牛』を発展させていきたいなと思っています。

田村さん:興味がどんどん湧いてきます。話が核心に近づいてきたところですが、続きは次回になります。

柳澤:北海道でのロケット開発のお話も伺いながら、『宇宙牛』について掘り下げられたらと思います。

田村さん:後藤先生、次回もよろしくお願いいたします!

後藤教授:よろしくお願いします。

ゲストからのコメント !後藤貴文教授より

Q. あなたの北海道“LIKE”は?

A. おいしい海鮮が大好きです!

Q. ラジオに出てみての感想や、話し足りなかったことなどあればお聞かせください!

A. ラジオで、専門の方だけではないみなさんに研究についてお話しできたことがとても嬉しかったです。

『宇宙牛』のプロジェクトは、代謝プログラミングも込みで、『宇宙牛』です。

哺乳期の栄養を変え、後は同じ餌で育った牛。代謝プログラミングにより生育状況に変化が出ることがわかる。 出典:後藤貴文教授ご提供

放牧だけでは、赤身肉しかできません。それに衛星での管理を使用したとしても、きめ細やかな産業としての牛肉生産はできないと思っています。代謝プログラミングにより前処理をしたうえで、衛星データをうまく使用して、一頭一頭に合わせた緻密な放牧管理をすることが大切です。

測位データとリモートセンシングデータをAIなどで解析し、一頭一頭に合わせた最適な補助飼料による飼育システムを提供したいと思っています。

 

『北海道Likers Voice〜北海道をもっと好きになるラジオ〜』は、『STVラジオPodcast』でも聴くことができます。次回分の公開もお楽しみに!

【画像】後藤貴文教授、株式会社STVラジオ

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