ラーメン

「兄貴の暖簾を掲げているのは自分だけ」札幌の名店・MEN-EIJIの味を受け継いだ、極上の一杯

小樽市稲穂にある「らー麺京や」は、天然素材の美味しさを最大限に引き出したスープと、自家製麺が評判のお店です。札幌の人気店がプロデュースしていますが、フランチャイズなどではなく、店主自ら師事して技術を習得しました。

松原店主に、札幌の名店「MEN-EIJI(麺エイジ)」の味を受け継ぐに至った足跡と地域への想いを伺いました。

飛び抜けた一杯を作る「兄貴」との出会い

「MEN-EIJI」のオーナー・古川淳さんと、「らー麺京や」店主・松原大輔さんの出会いは、2人が「らーめんてつや」で働いていた頃にまで遡ります。チェーン店ながら「平岡店は特に美味しい」と大人気。その店を任されていたのが、古川さんでした。

松原さんは「平岡店で勉強させてもらいたい」と会社に頼み込みます。当時は手稲店の遅番責任者を任されており、早朝4時に店を閉めてから清田区の平岡店まで行き、スープの仕込みなどを教えてもらいました。

「古川さんはがむしゃらに研究を重ねて、美味しくなるための工夫を取り入れていました」と、当時を振り返ります。自分と同じく、睡眠時間を削ってでも目標に向かって突き進む松原さんを弟のように可愛がってくれたそうです。この時から2人の関係が築かれました。

古川さんの仕事を目の当たりにして職人魂に火がついた

自分の道を目指すために「らーめんてつや」を退職したあとも、2人の師弟関係は続きました。松原さんは別の会社に入社し、2005年から営業していた「らー麺京や」を買い取って独立。古川さんは2006年に「MEN-EIJI」をオープンし、ラーメン業界を風靡しました。

「兄貴(古川さん)が台湾でダックラーメンの催事を行った際に、1か月ほど同行して手伝わせていただきました。『MEN-EIJI』はいくつかの小麦粉をブレンドした自家製麺で、スープによって複数を使い分けています。茹でる水にも気を配り、そのときに考えられる最高の一杯を作っていました」

古川さんの仕事を目の当たりにして松原さんは、「『MEN-EIJI』のようなラーメンを作りたい」「素材の美味しさを引き出したい」と強く思ったと言います。

「ラーメン屋なら自分で麺を作れ」と言う古川さんの言葉を受けて、小樽に戻り製麺機を導入。さらに「俺が持っている技術をすべて教えてやる」と指導を受けて、2020年1月にメニューを刷新した「新生・らー麺京や」をオープンしました。

「MEN-EIJI」を背負える大いなる喜び

暖簾には「Produce by MEN-EIJI」の文字が踊っています。「MEN-EIJI」の名前を出すことは諸刃の刃。メリットもデメリットもあります。古川さんからも「名前を出さない方がいいのではないか」と心配されたそうですが、松原さんは「それだけは絶対に嫌だった」といいます。

「兄貴の力を借りたことを隠すのは、お客さんに嘘をつくことであり、自分を裏切ることになる。『MEN-EIJI』の名前を使わせていただくことで、そのブランドを背負う決心を固めた」と松原さん。

「MEN-EIJIのコピー」という中傷もあるとそうですが、「まったく気にならない」といいます。「兄貴からすべてを学んで暖簾を掲げているのは私しかいません。しかも『MEN-EIJI』の手法は、普通のラーメン店に比べて何倍も工程が多い。真似できるものなら、真似してみろって感じですね」

オリジナルテイストを加えた「京鴨中華そば」

松原さんが「MEN-EIJI」のスピリットを受け継ぐきっかけになった『京鴨中華そば』をいただきました。滝川産の鴨と醤油が芳醇な香りを漂わせています。

『はるきらり』『春よ恋』『きたほなみ』の3種類の北海道産小麦をブレンドすることで、香りや味、歯ごたえなどベストなバランスの麺を作り出しています。

麺の美味しさが地域でも評価される

麺の状況は天気や気温によって変化するんだそう。松原さんは納得する麺を作るために何千回も作り直したそうです。

小麦粉・水・かんすいが、機械を通すと美味しい麺に変わる。そんな魅力に取りつかれたのは、現在、工場長を務める西川恵さん。

自家製麺だったイタリアンのお店が、「らー麺京や」の麺に切り替えるなど、ラーメン店以外にも高い評価を受けています。

地域で商店主との交流があり、協同でイベントなどを開催しています。

限定メニューとして、小樽を含む後志エリアの食材だけで作った一杯も提供しているそうで「最近では冷たいコンブ水のラーメンに小樽産のウニで作ったジュレと生ウニを載せた一杯を作った」とのこと。聞いただけで美味しそう。

 

「MEN-EIJ」とは独自の変化を遂げる「らー麺京や」。小樽で究極の一杯を味わってください。

<店舗情報>
■らー麺京や
■住所:北海道小樽市稲穂3丁目4-15
■電話:0134-27-0036
⇒営業時間など詳細はこちら

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