道民ならわかる!? 栽培に6年かかる北海道の食材「白いダイヤ」といえば…
北海道ではもうすぐ白い雪が降る季節になりますが、「白いダイヤ」が旬を迎えるのも同じころです。えっ、「白いダイヤ」ってなに? 北海道で栽培されているある食材です。買ったことはないけれど、食べたことがあるという人が多いのではないでしょうか。さて、どんな食材だと思いますか?
「白いダイヤ」ってなに?
「白いダイヤ」は茶碗蒸しやおせちなどに入っていると嬉しい食材です。ほくほくとして甘く、少しほろ苦い味わいが特徴。和食で用いられることが多く、生産がさかんな北海道ではスイーツにもなっています。栽培に6年かかることもあり、貴重さもダイヤ級といえそうですね。さて、どの食材かわかりましたか?
正解は「ゆり根」
ゆり根はその名前のとおり、ゆりの球根です。ゴツゴツとした形はまるで白いダイヤ。花のユリや、料理に入っているゆり根のひとかけらを見たことがある人は多いかもしれませんが、ゴツゴツとした状態を知っている人はあまりいないかもしれませんね。
ゆり根の球根は、花びらのような鱗片(りんぺん)がいくつも重なっていて、料理では鱗片を一枚ずつはがして使います。
ゆり根を食用にしている国は日本と中国だけ。和食の本場である関西では、ゆり根が多く販売されています。“鱗片がいくつも重なっていること”が“歳を重ねること”に通ずるということで、縁起を担ぎ、ハレの日であるお正月のおせちや茶碗蒸しにゆり根が入っていることも。旬は11~12月です。
ゆり根になるのは「コオニユリ」
日本でゆり根として栽培されているのは、おもに『コオニユリ』という花です。赤みがかったオレンジ色の花びらには濃い斑点があり、目を惹きます。下向きに咲き、花びらは上にめくれて、おしべがよく目立つ形。スーパーで買ったゆり根を球根として植えて、『コオニユリ』の花を咲かせてみたことがある人もいるようです。
昔は『オニユリ』という花のゆり根も育てられていました。しかし、『オニユリ』はアクによる苦みがあるのが難点。現在ではアクが少なく苦みもほとんど感じない、『コオニユリ』のゆり根が主流になっています。
ゆり根の99%は北海道で生産
関西で多く売られているゆり根ですが、約99%は北海道で生産されています。高温多湿が適さないゆり根を育てるには、本州よりも涼しい北海道が向いているようです。
北海道の中でも約3割の作付を占めるのが、後志地方にある真狩村。北海道の雪を思わせるような『白銀』という品種がメインです。ほかにも道北や道東など、北海道では広くゆり根が栽培されています。
【もっと詳しく】真狩村まるわかり情報【観光・グルメ】栽培に6年!? 手間暇かけて作られる
多くの作物は種を植えて、同じ年に収穫されますが、ゆり根はなんと出荷させるまでに6年かかることもあります。しかし、ずっと土に植えておけるわけではありません。春に植えて土のなかで栄養を蓄え、秋になると掘り返し、冬は保存。次の春にまた植えて……という作業を6年繰り返します。
しかも、球根に栄養が行き渡るように、花の蕾ができたら摘み取ってしまうのです。摘蕾(てきらい)作業といいます。蕾ができる真夏に、一日中花を摘み取るので、ゆり根の花は見られません。手間暇をかけて丁寧に栽培されたおかげで、ぷっくりと栄養を蓄えたゆり根ができあがります。
ゆり根のおいしい食べ方
ハレの日に食べることが多いゆり根ですが、栄養が豊富なので、日常的に食べるのもおすすめです。揚げるとほくほく感が増しておいしく、フライやかき揚げが人気。ほくほくとした食感のじゃがいものように、茹でて潰して揚げるコロッケにするのもおいしいようです。にんにくやベーコンと一緒に炒めれば、ジャーマンポテトならぬ、ジャーマンゆり根のできあがり。
ゆり根が生産される地域では、炊き込みご飯やスープなどの具材にもなります。また麻婆豆腐やスパニッシュオムレツ、ペペロンチーノなど外国の料理にも活用。
やさしい甘さを活かして、和菓子や洋菓子などスイーツ作りにも用いられています。お餅のあんになったり、スフレやシュークリームになったり……アレンジは無限大です。
ゆり根はどこで手に入る?
北海道のゆり根はオンラインの通販サイトや、自治体の直売サイト、ふるさと納税などで購入できます。実際に北海道を訪れたときにゆり根を購入したいなら、直売所や道の駅などの情報をチェックしてみてください。
真狩村の「道の駅真狩フラワーセンター(シダックスグループ受託運営)」ではゆり根の販売が行われています。またゆり根のかき揚げ丼やかき揚げそばなども食べられます。お土産には『ゆり根最中』、『ゆり根のパイ饅頭』や、北海道牛乳を使った『真狩村ゆり根愛す(アイス)』などのスイーツはいかが? 甘党ではない人には冷凍のコロッケなどもあります。
<施設情報>
■施設名:道の駅真狩フラワーセンター
■所在地:北海道虻田郡真狩村字光8番地3
■電話番号:0136-48-2007
「白いダイヤ」こと北海道で生産されているゆり根。これから旬を迎える季節に、お取り寄せしたり、足を運んで購入したり、アレンジ料理やスイーツを食べたりして、ゆり根のおいしさを存分に味わってみてくださいね。
【参考】ようてい農業協同組合、国立国会図書館、一般社団法人全国農業協同組合中央会、北海道、熊本大学、株式会社オザキフラワーパーク、真狩村、ホクレン農業協同組合連合会、真狩村観光協会、道の駅真狩フラワーセンター
「ゆりね王国」~ゆり根のココがスゴイ!!~ / JAようてい
ニンニクとゆり根は植物のどの部分を食べているのか。 / 国立国会図書館 レファレンス協同データベース
秋・冬の旬野菜ユリネ(百合根) / JAグループ
ユリ(百合) / 北海道 建設部まちづくり局都市環境課
コオニユリ / 熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース
オニユリ(鬼百合) / オザキフラワーパーク
ゆり根の生い立ち / 真狩村
ゆり根 / ホクレン きたやさい
ゆり根の生産状況 / ホクレン きたやさい
旬の時季カレンダー / 真狩村
大事に育てられてます / 真狩村
下ごしらえ&レシピ / ホクレン きたやさい
ゆり根レシピ / 真狩村
ゆり根愛す(アイス) / 真狩村観光協会
ゆり根どらやき / 真狩村観光協会
ゆり根のパイ饅頭 / 真狩村観光協会
ゆり根最中 / 真狩村観光協会
ゆり根のお買い求めは / 真狩村
道の駅真狩フラワーセンター
【画像】terumin K、マーボー、amaguma、Tiny Nature、川村恵司、kokano、よしだやすお、Edonna / PIXTA(ピクスタ)、道の駅真狩フラワーセンター
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