なぜそこに車が…!? 大人を夢中にする、往年の名車たちの「奇妙な展示場」
北海道・栗山町から夕張に向かう道道3号を曲がった砂利道の先に、大人が少年や少女に戻る空間があります。廃校になった小学校の体育館に並べられているのは、時代を駆け抜けた名車たち。エンジンがかかる状態に整備され、再び走り出す日を待っています。
車好きの天国「日出クラシックパーク」を訪れました。
倉庫を購入したら体育館と校庭がついてきた「日出クラシックパーク」
「日出クラシックパーク」は、札幌で車の修理や販売を行う横山さん(有限会社横山商事)の私設ミュージアムです。廃校になった木造の体育館には、国内外の名車が25台も展示されています。
奇抜な展示場になったのは偶然の産物。「車の保管用に倉庫を買い取ったところ、体育館と校庭がついてきた」と言います。
「古い体育館には古い車が似合うだろう」と、1996年に「日出クラシックパーク」をオープンしました。
「日出クラシックパーク」は、横山さんのもとで長く働く今井幸恵さんと、侑佳さん親子が切り盛りしています。
横山さんの撮影をお願いしたところ、「幸恵店長を撮ってください」と言われ、素顔をさらしたくない幸恵店長は、侑佳さんにその役を命じました。「せっかくなのでお二人で撮りましょう」とお願いし、「マスクは外さない」という約束で撮影させていただきました。
公道を走る時を待つクルマたち
「走らなければ車とは呼べない」という横山さんのポリシーのもと、展示されている車はいずれも実働車です。1950~53年にかけて製造された『MG-TD』も動きます。しかも販売されているというから驚きです。クラッシックカーは、受け継がれていくことで存在し続けます。展示されている車が売れると別の車が展示されるなど、常に新陳代謝が図られています。
25台の中で気になる車をピックアップしました。
マツダの歴史を彩る「ロータリーシリーズ」
ロータリーエンジンは軽量・コンパクトなうえに、搭載位置の自由度が高く、均等な前後重量配分が可能なため、スポーツカーに最適です。国内でロータリーエンジンを搭載しているのはマツダだけ。1967年に世界初の2ローター・ロータリーエンジン搭載車の『コスモスポーツ』が発売されました。
『サバンナ』は、ロータリーエンジンシリーズの第5弾として1971年に発売されました。輸出名の『RX-3』と呼ばれることも多く、この系譜は『サバンナ』の後継『サバンナRX-7』(1978~1985年)や、2代目『サバンナRX-7』(1985~1992年)、『FD3S型』と呼ばれた『アンフィニRX-7』または『マツダRX-7』(1991~2003年)、その後継となる『RX-8』(2003~2013年)に続いています。
ここには歴代のRXシリーズが勢ぞろい。もうワクワクが止まりません!
オールアルミモノコック・ボディーは今でも高額
こちらは、イタリアの自動車メーカー・フィアットの『バルケッタ』というイタリア製2シーター*です。“小舟”という意味を持ち、とてもコンパクト。1995~2002年製造の、クラッシックカーと呼ぶには比較的新しい車両です。
*2シーター・・・運転手と助手席のみの2座席を有する車のこと。
その隣はホンダ『NSX』の書類つきボディです。『NSX』は1990~2005年まで販売されていた本格的スポーツカーで、市販自動車としては世界初の“オールアルミモノコック・ボディー”を採用していました。約800万円というプライスながら、ほとんどが手作業で組み立てられているという芸術品です。
驚くべきは『バルケッタ』の販売価格166万円に対して、『NSX』はボディだけで189万円のプライスがついていること。「なんてこった!」と、突っ込まずにはいられませんでした。
オリジナルグッズを販売
オリジナルTシャツや、ステッカーも販売しています。
古い車を維持するのは、お金も時間もかかるので容易ではありません。オリジナルTシャツを身につけていれば、趣味人同士、旧車好きとしてシンパシーを感じることでしょう。
一度食べたら病みつきになる「激うまオムライス」
「日出クラシックパーク」は、「cafe 麗燈露(レトロ)」を併設しており、カフェスペースのほか、展示スペースで車を見ながら飲食を楽しめます。
カレーが美味しいと評判ですが、今回は『オリジナルトマトソースかけBigオムライス』をいただきました。
米粒の一つひとつに味が染みわたっていて、口に入れた瞬間にトマトソースの美味しさが広がります。量も十分で満腹。お世辞抜きに、これまで食べた中で一番美味しいオムライスでした。
屋外で宝探し
体育館の中だけでなく、校庭に置かれている車もすごい。この車は、富山のタケオカ自動車工芸がインドのベンチャー企業・Reva Electric Car Company(現・マヒンドラ・エレクトリック)に委託生産し、日本に逆輸入されたEV(電動)車です。
原っぱには、車名が判断できなくなるほど朽ち果てたものもありますが、それが何であるのか推測するのもマニアックな楽しみです。隅々まで堪能してください。
再訪で自分探し
お帰りの際は、来館記念に写真を撮影してくれます。『名探偵コナン』のように「黒ずくめの組織に身元が知れると困る」という人以外は、気軽に応じてください。写真は館内のあちこちに貼られています。再訪した時は“自分探し”をしてみてください。
「日出クラシックパーク」では、60~80年代のクラッシックカーのオーナーを対象にした『オーナーズクラブ(JAPAN オールドカー オーナーズクラブ)』の会員を募集しています。「クラッシックカーを取り巻く文化に貢献するとともに、地域社会や経済に奉仕」を趣旨に、さまざまな活動を行っています。興味がある方は、仲間の輪を広げてみてはいかがでしょうか。
<施設情報>
■日出(ひので)クラシックパーク
■住所:北海道夕張郡栗山町日出230-1
⇒営業時間など詳細はこちら
*2023.07.18・・・記事内容に一部誤りがありましたので、変更いたしました。
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