みのりの恵み

食パンとは思えない超リッチな味わい!十勝産小麦にとことんこだわる「日本一広いパン屋さん」【帯広市】

十勝は農業大国。豆・てんさい・とうもろこし・じゃがいもなど、さまざまな農作物が生産されています。そのなかでも生産量がダントツに多いのが“小麦”。道内で生産される小麦の約4割が十勝産。十勝は小麦の生産量日本一です。そんな十勝の小麦を使って作られたパンやお菓子は、子どもからお年寄りまで年齢問わず大人気。

今回は、十勝産の小麦にこだわってパンを作っている「満寿屋商店」を取材しました。「満寿屋商店」は日本で唯一、すべてのパンを十勝産小麦で作っているパン屋さんで、「満寿屋本店」「ボヌールマスヤ」「麦音」など、道内に数店舗を構えています。十勝産小麦100%を実現してから今年で10年を迎えるそう。

日本一広いパン屋さん

今回うかがった店舗は、帯広市にある「麦音(むぎおと)」。場所は帯広駅から車で10分ほど。「イトーヨーカドー」や「ビート資料館」のすぐ近くです。

バスで行く場合は、十勝バスの稲田橋が最寄り。

「麦音」は「満寿屋商店」の基幹店で、数ある店舗の中で最も広いお店です。その広さはなんと約3,300坪! 単独ベーカリーでは日本一の広さを誇ります。

その広い敷地の中では小麦も栽培されています。

普通の小麦だけでなく、古代種『スペルト小麦』も。紀元前9,000~5,000年頃から食べられている小麦の原種の一つで、中世頃まで一部のヨーロッパで食べられていました。

テラス席もあり、外でパンを食べられます。

こちらは小さい子どもが遊べるスペース。

ワンちゃんのリードを繋いでおけるスペースもあります。犬と一緒に食事できるお店は少ないので、ペット連れにはありがたいですね。

小麦が挽かれる音が聞こえるカフェスペース

店内では実際に小麦が挽かれています。

店内にはカフェスペースがあり、電子レンジやトースターを自由に使えるため、買ったパンを温めて食べることも可能。

コーヒーマシンやソフトドリンクの自動販売機も完備(1杯70円)。無料のお水もあります。

こだわりの材料で作られたパンたち

「満寿屋商店」で売られているすべてのパンは、100%十勝産小麦を使用。それ以外の材料も牛乳、バター、卵、チーズ、豆、砂糖、塩、油脂、肉、果物、野菜、イーストにいたるまで可能な限り十勝産、北海道産にこだわっています。

大人気『おぐらあんぱん』の餡ももちろん十勝産。

『あま酒菓子パン』の生地に使われている酒粕は、十勝の「上川大雪酒造 碧雲蔵(へきうんぐら)」で作られています。

一番人気のカレーパンは、テレビ東京の番組『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』でも紹介されました。サクサク生地の中にお肉や野菜がゴロゴロと入っていて、筆者も大好きなパンです。

こちらは十勝産チーズをたっぷり使ったチーズパンやピザ。

『キタノカオリ』という、甘みとモチモチ感のある小麦を使った、『麦音ネジリドーナツ』も人気です。

パン生地よりクリームの方が多い、「麦音」オリジナル商品の『クリーム王子』。中のクリームには、清水町「あすなろファーミング」の牛乳が使われています。

取材時は『ポテトロール』(下)と『かぼちゃのデニッシュ』(右)、セットで『クラムチャウダー』をいただきました。

『ポテトロール』は外がカリカリの生地で、中には十勝産のじゃがいもがギッシリ。

『かぼちゃのデニッシュ』は、サクサク生地の中に自然な甘さのかぼちゃ餡がたっぷり。フワフワすぎて、ちぎるのが大変なほどでした。

『クラムチャウダー』は、あさりの旨味がしっかりと出ている具だくさんスープ。

朝11時までは、モーニングサービスで『クラムチャウダー』と『フライドポテト』がプラス300円でいただけますよ。

数量限定!高級食パン「みのりの恵み」

「麦音」では、高級食パン『みのりの恵み』が数量限定で販売されています。

「満寿屋商店」広報課長の大川原さんにお話を聞きました。『みのりの恵み』販売のきっかけは、十勝で食品関連の事業を手がける「株式会社山本忠信商店」から、『みのりのちから』という小麦を使ってみてほしいと頼まれたことから。小麦は数値としてある程度の性質は図れても使ってみないとどのような用途に向いているかわからないそう。そこで、当時ブームになっていた高級食パンを作ってみることを思いついたそうです。

『みのりのちから』以外にも「あすなろファーミング」の牛乳、「よつ葉乳業」のバターと生クリーム、「日本甜菜製糖」のフラクトオリゴ糖と生イースト、そのほかグラニュー糖、油脂、卵黄など、ほぼすべて十勝産の原材料で作られた高級食パン。イーストまで十勝産にこだわっているお店はほとんどないのではないでしょうか。さらに、十勝「よつ葉乳業」のマスカルポーネチーズを加えることでパンに甘みやコクを出しています。

『みのりの恵み』は1年以上の試行錯誤の末、2021年6月に誕生しました。形をとどめる限界まで水分量を多くしているので、うまく膨らまなかったりしぼんでしまったり、焼くのがとても難しいそうです。「最初の頃は焼ける職人が少なく、とても苦労しました」と大川原さん。その苦労の分、やわらかく、きめが細かいしっとりとした食パンに仕上がっています。

普段使いというよりは、ちょっとしたご褒美や贈り物としても使われています。値段は、2斤1,500円(税込)と高すぎず安すぎず、ちょうど良いと感じました。

「高級食パンブームは終わりつつありますが、流行に追われず長く食べ続けてほしい。パンは朝食で食べられることが多いですが、ディナーにもおすすめです」と話します。毎日でも食べられる、飽きのこない味わいを目指した食パンです。

ほかのパンはオンラインでも販売されていますが、『みのりの恵み』は店頭販売のみ。数量限定なので、確実に手に入れるには予約がおすすめです(オンラインでも予約できます。在庫があれば当日予約もOK)。

「2斤はちょっと多すぎる」という方にはお試しのカット販売もあるのが嬉しいところ。

気になる「みのりの恵み」のお味は?

筆者も実際に『みのりの恵み』をいただいてみました。

包みから取り出しただけで、甘い香りが漂います。

焼きたて当日は切るのが難しいので、贅沢にちぎっていただきました。

「甘い!」というのが第一印象。食パンとは思えない濃厚な甘さを感じます。ジャムやバターを付けなくてもパンだけでおいしい。まるで菓子パンを食べているかのようです。

周りの耳の部分も、噛めば噛むほど味わい深くておいしい。もちもち食感でボリュームもあり、食べごたえと満足感があります。パンだけでおなか一杯になるのは初めてかも。

2日目は厚めに切ってトーストしてみました。半分はプレーン、半分はバターをたっぷりのせて。プレーンの方は、外はカリカリ・中はもちもちでパン本来のおいしさを楽しめます。

バタートーストはバターの塩味とパンの甘さがマッチしておいしい。パンの甘みが強いので、ジャムよりもハムやベーコン、ソーセージやチーズなど塩気のある具材が合うのではないでしょうか。

大川原さんは、塩コショウだけで味付けした目玉焼きをのせて食べるのがお好きなんだとか。甘じょっぱさがたまらないそうです。

3日目は冷凍にチャレンジしてみました。

1日冷凍したパンを凍ったままトースターに。冷凍すると甘さとモチモチ感がより強く感じられました。それ以外は前日に冷凍せずにトーストしたパンとほとんど変わりません。

日が経って少し固くなってしまったら、卵と牛乳たっぷりのフレンチトーストにするのもおすすめ。カリカリに焼いてラスクにもできます。一人暮らしで2斤は食べきれないと思いましたが、これなら大丈夫そう。

 

2025年、「麦音」の敷地の南側に、パンのテーマパークをオープンする予定の「満寿屋商店」。「2030年、十勝がパン王国になる」という目標を掲げています。

新たに設立されたという「とかちパン王国準備室」室長を兼任しているという大川原さんは「パンで十勝を盛り上げていきたいです。そのためにも十勝にパン屋がもっと増えてほしい」とおっしゃいます。十勝産小麦を使うパン屋さんがもっと増えて、十勝がパン屋の集まるエリアになるといいですね。

ぜひこだわりぬいて作られた高級食パン『みのりの恵み』を味わってみてください。きっと今まで持っていた食パンの概念が覆ることでしょう。

<店舗情報>
■満寿屋商店 麦音
■住所:北海道帯広市稲田町南8線西16-43
■電話番号:0155-67-4659
⇒営業時間など詳細はこちら

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