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よく聞くとめっちゃリアル!スーパーで流れているジンジンジンギスカンの歌の真相に迫る

2021.03.21

「ジンジンジンジン ジンギスカン~ジンジン ジンギスカン!」というジンギスカンの歌を、スーパーのお肉コーナーで聞いたことはありませんか?

北海道を中心にスーパーで流れているこの歌、よく聞くと内容がかなりリアルです。なぜ“ジンギスカン”をテーマにした歌が作られたのか、どうしてスーパーで流れているのか、制作者の方にお話を伺いました。

「ジンギスカン」の歌、歌詞がけっこうためになる!

YouTubeにてフルバージョンの歌を聞けます。その名も『ジンギスカン』。北海道のご当地ソングです。

一度聞いたら忘れられないメロディと、歌詞の「ジンジンジンジン ジンギスカン ジンジン ジンギスカン」と繰り返されるフレーズが印象的ですが、よく聞いてみると、かなりためになる内容になっています。

たとえば、家でジンギスカンをするときは、汁が飛んで汚れないようテーブルに新聞を敷くお作法は道産子にはおなじみですよね。

石狩川に洞爺湖、ススキノ、函館山……など北海道各地の地名も紹介されています。

歌詞にも出てくる“L-カルニチン”という成分は、羊肉に多く含まれ体に脂肪がつきにくい働きがあるため、「食っても肥えない」という歌詞にも納得です。

ほかにも、おにぎりと一緒の食べ方や、お花見・運動会といった食べるシチュエーションも出てきて、道産子にはなじみ深い歌詞となっているのではないでしょうか。

制作者・YUKI☆仁井山さんのプロフィール

楽曲の制作者であり、歌っていらっしゃるのがYUKI☆仁井山さんです。

YUKI☆仁井山(ユキ ニイヤマ)。職業:シンガー・ナレーター。2005年落語をラップにした楽曲『TOKISOBA』が注目され、ユニバーサルミュージックよりメジャーデビュー。楽曲制作や楽曲提供、イベントMC、TVCMナレーションを担当するなどさまざまな分野で幅広く活動。

「ジンギスカン」制作秘話

YUKI☆仁井山さんが子どもの頃、空手の合宿で1年に1度だけジンギスカンを食べる機会があり、それからずっとジンギスカンが大好きだったのだとか。ジンギスカンを愛する気持ちから、楽曲『ジンギスカン』を作ろうと思ったそうです。

ただ、ジンギスカンの知識がなかったため、札幌を何度も訪れて、さまざまなジンギスカン屋を巡りました。なんと1日5~6軒訪れたことも! とはいえ、ご自身で食べているだけでは、味やタレの違いしかわからなかったそうです。

そこで北海道のテレビ局に協力してもらい、いろんなジンギスカン関係の方に話を聞くことに。その中で、「ジンギスカンのときは茶碗でご飯ではなく“おにぎり”なんだよ」「お花見はジンパ(ジンギスカンパーティー)」「運動会でもジンギスカン」「誕生日はジンギスカン」「L-カルニチンが多く含まれているから太りにくいんだよ」など、リアルな声をたくさん聞いたそうです。

そんなたくさんの方々のアドバイスをたくさん散りばめて、YUKI☆仁井山さんの得意なアップテンポな曲調に乗せて『ジンギスカン』が完成! 2006年にリリースされました。

YUKI☆仁井山さんは「僕が作ったというよりは道産子の皆さんの気持ちが歌になった!と言った方が正しいのかもしれません」と語っていらっしゃいます。

曲が発表されてからの反響

今ではいろんなスーパーで流れている『ジンギスカン』ですが、発表当初はなかなか広がらなかったそうです。そんな折、再びテレビ局の協力で、YUKI☆仁井山さんがスーパーの精肉コーナーや「サッポロビール園」で歌うことになりました。

その後、北海道で放送されていたラジオのランキング番組で、連続1位を獲得! コンビニの“ジンギスカン”商品とコラボをしたり、札幌の商業施設のイベントに出演して歌ったり、北海道新聞の一面で紹介されたりとさまざまな活動によって楽曲が広まっていき、現在までに多くの方に知られるようになりました。

「ジンギスカン」のその後

2006年にリリースされた『ジンギスカン』ですが、10年以上経った2017年に大きな話題に。Twitterで「中毒性のある歌!」とスーパーで流れている動画が投稿され、リツイート数は24.7万に上りました。その結果、Twitter Japanが発表した2017年日本のTwitterで最もリツイートされた個人ツイートランキング第9位にランクイン。

徐々に浸透し、曲発表から15年経った今でも、ジンギスカンのイベントからYUKI☆仁井山さんにお呼びの声がかかり、歌うことがあるそうです。

道産子にとっては歌詞がリアルな描写で、中毒性のあるアップテンポなメロディも相まって、道産子の“心”に浸透したのかもしれませんね。

スーパーで流れている謎

そういえば、なぜスーパーでも曲が流れているのでしょうか。実は反響が広がって行く中、精肉コーナーで楽曲を使用したいと声がかかり、少しずつ広がっていったそうです。北海道だけでなく、東京や神奈川、埼玉、長野、福岡など全国各地のスーパーからも同様の連絡が! 道外で聞いたことがある方もいるかもしれませんね。

YUKI☆仁井山さんとしては、「スーパーに行くと自分の曲が流れている! そんなことがこの人生にあるんだな!ってとても嬉しく思っています」とのことでした。

YUKI☆仁井山さんからのメッセージ

「これからも楽しい楽曲をどんどん作っていきたいな! 日本全国! 東西南北! 宇宙に飛んでけ!! “ジンギスカン”」

YUKI☆仁井山さん、取材にお答えいただきありがとうございました! 楽曲への熱い思いが伝わってきました。

 

仁井山さんの曲作りに対する真摯な思いから、道産子のジンギスカン愛が伝わる楽曲ができあがったことがおわかりいただけたのではないでしょうか。その熱意が道産子、ひいては全国の人に伝わったのかもしれません。今度スーパーで耳にしたときは、ぜひ一緒に口ずさんでみてください。

【参考】カルニチン / 日本食品科学工学会誌 53巻 (2006) 6号

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